大家さん、管理会社様の賃貸不動産経営支援サイトREPROS(リプロス)

トップページ ≫ ノウハウ ≫  弁護士・亀井英樹先生の法律ノウハウ ≫ 不動産広告と宅建業法について

弁護士・亀井英樹先生の法律ノウハウ

不動産広告と宅建業法について

広告料名目の取得と宅建業法
 以前、宅建業者に対して、いわゆる家主広告料徴収に関して、東京都住宅局から営業停止の行政処分が課せられたことがありました。そこで、当事務所にも、家主広告料名目で仲介手数料以外の報酬を業者が受け取ることは、東京都以外においても宅建業法違反に問われる恐れがあるのかという問い合わせがよくあります。

 この点、宅建業法46条1項によれば、宅建業者の報酬の額は、「建設大臣(国土交通大臣)の定めるところによる」と定められており、これを受けて、同条2項は、宅建業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならないと定めています。
 そして、大臣の定める報酬告示によれば、1売買・交換の媒介、2売買・交換の代理、3賃貸の媒介、4賃貸の代理、5権利金の授受、以外について、宅建業者は、原則的に、報酬を受け取ることができず(第6本文)、例外的に、「依頼者の依頼によって行う広告の料金に該当する額」のみを報酬告示の枠外にて、請求できると定められています(第6但し書き)。
 また、昭和45年10月23日の計宅政発211号計画局長通達によれば、宅建業者が、案内料、申込料、依頼者の依頼によらず行う広告の料金に該当する額の報酬を受領することを禁じています。
 さらに、上述の例外として許容される 「依頼者の依頼によって行う広告の料金に該当する額」として宅建業者が依頼者に請求できる場合とは、裁判例によれば、「通常行う程度の広告料金でなく、大手新聞における広告の掲載料等、通常の必要経費の範囲を超えるものであること、そして、その広告について依頼者からとくに依頼があり、費用の負担について事前に依頼者の承諾があるか、または、これと同視しうるような事後における異議なき承諾があった場合に限られる」とされています(東京高判 昭和57年9月28日)。
 以上の点からすれば、東京都以外であっても、宅建業者が、家主から広告費を受け取ることは、上記報酬告示の例外として許容される場合を除き、原則として宅建業法46条1項及び2項に違反することになります。

管理促進費等と宅建業法 

 次に、いわゆる家主広告料という名目以外にも、たとえば管理促進費(入居後の町内会との調整やクレーム対応などの対価として、入居者斡旋時に、毎月の管理料とは別に賃料の1ヶ月~数か月分を受け取るケース)を取得する場合や、大手ハウスメーカーや管理会社からいただく広告料など、仲介手数料以外の報酬と見られる恐れのある手数料名目をやり取りする商慣習がありますが、これらは宅建業法に抵触するのかという質問もよくあります。
 この点、まず、管理促進費について、名目の如何を問わず広告と対価性を有する金銭を受け取る場合は、前述の広告料等の規制に関する脱法行為として、宅建業法に抵触する可能性があります。
 また、管理促進費が広告と対価性を有しない金銭の授受である場合でも、前述の報酬告示、計画局長通達の趣旨からすれば、依頼者の特別の依頼により支出する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものに限られますので、管理促進費を報酬とは別に請求することはやはり宅建業法46条1項及び2項に抵触する可能性があると考えられます。
 したがって、管理促進費を仲介報酬とは別に受領することは、宅建業法46条1項・2項に抵触する可能性がありますのでご注意下さい。

2005.11/08

関連記事

亀井英樹(かめいひでき)
東京弁護士会所属(弁護士)
昭和60年中央大学法学部卒業。平成4年司法試験合格。
平成7年4月東京弁護士会弁護士登録、ことぶき法律事務所入所。
詳しいプロフィールはこちら ≫

【著 作 等】
「新民事訴訟法」(新日本法規出版)共著
「クレームトラブル対処法」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修
「管理実務相談事例集」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修
「賃貸住宅の紛争予防ガイダンス」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修