大家さん、管理会社様の賃貸不動産経営支援サイトREPROS(リプロス)

トップページ ≫ ノウハウ ≫  弁護士・亀井英樹先生の法律ノウハウ ≫ 特定商取引法の改正について

弁護士・亀井英樹先生の法律ノウハウ

特定商取引法の改正について

出典:経済産業省ホームページ
http://www.no-trouble.jp/#1253882401019

1 はじめに
特定商取引法が、平成20年改正され、平成21年12月1日より施行されております。今回の改正はかなり大がかりな改正であり、賃貸業務に対しても影響が及ぶことが懸念されております。
そこで、今回は、改正の内容について、経済産業省のホームページから引用して紹介したいと思います。

2 規制の抜け穴の解消
 (1) 指定商品指定役務の撤廃

  1. 規制の後追いから脱却するため、これまでの指定商品・指定役務制を廃止して、訪問販売等では原則すべての商品・役務を規制対象とした。(特定商取引法第2条関係 割賦販売法第2 条関係)
  2. これまでの特定商取引法では、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売に関する規定については、それぞれ政令で定める指定商品、指定役務、指定権利だけを規制対象としてきました。指定対象でない商品や役務は、消費者トラブルが顕在化した場合に、政令で追加して対象としていた。
    この方法では商品や役務が多様化し提供方法が複雑化するにつれて、適切に規制を図ることが難しくなります。また悪質業者は、とかく規制対象になっていない商品や役務に目をつけようとします。その結果、制度的にどうしてもある程度の消費者被害の発生を余儀なくされていた。
    そこで今回の改正で、消費者被害を未然に防止するために、原則として全商品・全役務を規制対象とし、必要に応じて適用除外を設けることにした。
    また、あわせて、割賦販売法においても、クレジット規制の対象を不動産の販売を除く全ての商品・役務に拡大することとした。

(2) クーリングオフ制度の対象除外

  1. その上で、クーリング・オフになじまない商品・役務等は、規制の対象から除外します。(特定商取引法第26 条関係 割賦販売法第35 条の3 の60)
  2. 一定期間、無条件で、申込の撤回や契約の解除ができるクーリング・オフ制度は、消費者保護を目的に制度化されました。ただし、クーリング・オフになじまない商品・役務等は、以下のように規制対象から除外します。
    1. 全面的に適用除外とするもの
      すでに他の法律によって消費者保護が適切に図られている商品の販売や役務の提供については適用を除外します。例:金融商品取引法に規定されている、金融商品販売業者が行う商品の販売や役務の提供等
    2. 部分的に適用除外とするもの
      1. 書面交付義務とクーリング・オフ規定を適用除外とするもの
        キャッチセールスによって営業員に飲食店内へ誘われ(訪問販売に該当します)、そのままそこで飲食する場合の外食など。注文すれば間もなく飲食することとなり、普通はオーダー毎に書面が交付されるようなことはありません。またこういった役務の提供ごとに書面を交付することは、消費者にとっても不要かつ煩雑なため、適用除外とします。
      2. クーリング・オフ規定のみ適用除外とするもの
        • 乗用自動車等……契約を結ぶまでに時間がかかることが一般的で、その間に消費者の購入意思が安定すると考えられるため。
        • 葬儀等……他の法律で供給義務が課せられている場合や、すみやかに役務を提供しないと消費者に著しく不利益となるもの。
        • 化粧品、健康食品等……いわゆる消耗品など。
        • 生鮮食料品等……数日で腐ってしまうなどで商品価値が著しく減損するもの。
        • 現金取引で3,000 円に満たない場合。
    3. その他の適用除外とするもの
      勧誘目的の来訪とその他の目的の来訪の区別が難しく、特定商取引法を適用するとその他の来訪にまで過度の影響が考えられるため除外するもので、「株式会社以外が発行する新聞」がその具体例です。また弁護士の職務は、行政処分になじまないため適用が除外されます。

      (注)割賦販売法における個別クレジット契約のクーリング・オフの適用除外
      以上のとおり、特定商取引法のクーリング・オフの適用除外とされているものについては、割賦販売法における個別クレジット契約のクーリング・オフの適用除外とする。個別クレジット契約のクーリング・オフ制度では、後述のとおり、個別クレジット契約と販売契約を一体として解除することを認めているため、特定商取引法で販売契約のクーリング・オフが認められる範囲と同一の範囲とした。

(3) 割賦の定義の拡張

  1. 割賦の定義を見直して、これまでの「2カ月以上かつ3回払い以上」の分割払いのクレジット契約に加えて、「2カ月以上後の1回払い、2回払い」も規制対象とする。(割賦販売法第2 条関係)
  2. 割賦販売法におけるクレジット(割賦購入あつせん)規制の対象は、従来、「2 カ月以上かつ3回払い以上」の分割払いのケースに限定されていました。しかし最近の被害事例を見てみると、ボーナスを含めた2 回払いのケースや、一括払いのケースも少なくありません。そこで今回の改正で「2 カ月以上の与信であれば、一括払いも含めすべて」を規制の対象とします。「購入した翌月の一括払い」のケースは、単なる決済手段としての性格が強いため、規制対象からは除外されています。
    規制対象として一括払いも含まれたため、分割払いを規定するための「割賦」という言い方は意味をなさなくなりました。現在、規制対象となっているものはすべて「信用」を供与することで契約が成立しています。
    そこで、今まで「割賦購入あっせん」と定義していたものの中で、クレジットカード等を使用し、総合方式やリボルビング方式で契約する場合は、カード契約時など事前に信用調査が行われ、包括的に与信の限度額などが設定されるため「包括信用購入あっせん」と定義されます。クレジットカード等を使用しない場合は、個別の契約ごとに与信が行われるため「個別信用購入あっせん」と定義されます。
    なお、いわゆる自社割賦(割賦販売)、ローン提携販売については、現在までのところ消費者トラブルが多く発生してはいないため、従来通り、「2ヵ月以上かつ3回払い以上」の分割払いを規制対象としています。

3 訪問販売規制の強化
(1) 拒絶者に対する勧誘継続等の禁止

  1. 訪問販売業者に「契約しない旨の意思」を示した消費者に対しては、契約の勧誘をすることを禁止した。(特定商取引法第3条の2 関係)
  2. 訪問販売での消費者被害では、高齢者をねらった執拗な勧誘と販売によって高額な被害の事例が増えています。高齢者の中には、判断力の低下した方や一人暮らしの方も多く、そのような方々の被害パターンでは、事業者の勧誘が始まってしまうときっぱり断ることが難しく、言葉巧みな話術に乗せられたり、数時間も粘られたあげく、最終的に契約してしまうケースが多発しています。
    こうした被害をなくすためには、まず勧誘に関する消費者保護のための救済措置を強化することが必要です。
    そこで、?勧誘開始の段階で相手方(消費者)に勧誘を受ける意思があるかどうかを確認することを努力義務とし、?「契約を締結しない旨の意思」を表示している相手方に対しては勧誘の継続や再度の来訪による勧誘をしてはならないこととします。
  3. 訪問販売においては、?訪問販売の事業者が消費者宅を訪問して勧誘を告知する?その結果、招き入れられた場合に事業者が勧誘を実行するというプロセスがあります。
    今回の改正では、?の段階では、消費者が勧誘を受けるか受けないか判断する機会を確保することが、より適正な訪問販売取引の実現につながることから、事業者は勧誘開始につき消費者の意思を確認するよう努めることとしています。
    さらに?の段階では、消費者の意思として「勧誘が続くことを許容するかしないか」と「最終的に契約を結ぶつもりがあるかないか」という二つが考えられます。改正法では後者の意思を捉えて、「契約を締結しない旨の意思を表示した者に対しては、勧誘してはならない」としました。
    これは、訪問販売の現場では来訪そのものが問題の端緒であることが多いため、事業者が勧誘の際に扱う契約に関し、消費者が契約しない意思を明確に表示した場合には、その場における引き続きの勧誘と再度来訪して同じ契約に関する勧誘をすることの両者を禁止することが重要であると考えられるからです。
    なお、同じ契約に関する勧誘であったとしても、消費者が断ったからといって未来永劫勧誘が禁止になるといったものではなく、扱う商品の季節性やその契約から想定される一般的な期間等といった社会通念に照らして相当と考えられる期間、再訪が禁止されることとなります。
(2) 過量販売の撤回・解除権
  1. 訪問販売で、通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入契約した場合、契約後1年間は契約を解除できることとします(ただし、消費者にその契約を結ぶ特別の事情があった場合は例外とします)。(特定商取引法第7条、第9条の2 関係)
  2. 最近の被害事例として多いのが「過量販売」あるいは「次々販売」です。一度でも不用意に買うと、次々と契約を押しつけられてつい過剰な商品等を買わせられたり、事業者が入れ替わりやってきて被害がさらに拡大するケースもあります。こうした消費者被害では過量販売、つまり通常では考えられない過剰な量の商品を売りつけられ、ずさんな与信審査によるクレジットと相まって、気がつくと生活を圧迫する高額な支払いを迫られている被害が増えています。
    そこで改正法では、事業者に対して、正当な理由もなくこうした「過量販売」につき勧誘する行為を行政規制の対象とするとともに、消費者がこのような契約を締結させられてしまった場合、契約後1年間は契約の解除を主張できる制度を導入します。ただし、消費者にこのような契約を締結することにつき特別の事情があったことを事業者が立証する場合は例外とします。
  3. 補足
    1. 事業者の配慮義務について
      過量販売解除規定と併せて創設した行政規制においては、事業者に対し、顧客の財産状況等に配慮して商品等を販売する責任を求めています。同様の例は、金融法制で顧客保護のために導入されつつある「適合性原則」で、金融商品販売業者に、投資家の知識、経験、財産力等に適合した勧誘と販売を求めるものがあります。
    2. 「日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える」(過量)について
      特別な事情がなければ、一般消費者が行う事態が稀にしか生じないような取引です。
    3. 事業者の売り方による過量販売の2パターンについて
      1. ある事業者の1回の販売行為が過量な商品等の契約となる場合、消費者がその過量な商品等の契約を締結するに当たり特別な事情がない限り、過量という外形的な要件で解除が認められます。
      2. 過去の消費者の購入の累積から、ある事業者の販売行為によって過量になること、もしくはすでに過量であることを知りながらさらに販売する場合──知りながら販売を行ったという悪意性が要件として付加されます。
    4. 消費者が過量販売を必要とする特別の事情とは
      例えば、消費者が「親戚に配る」など過量な契約を必要とする事情を事業者が確認して立証できた場合には解除が認められません。これは事業者側の取引安全とのバランスを配慮したものです。
    5. 契約解除の期間について
      民法の売買などの取り扱いを参考に、契約後1年以内とします。
    6. 契約解除後の清算ルール
      特定商取引法の第9条によるクーリング・オフ制度の清算ルールを踏襲します。

4 クレジット規制の強化
(1) 登録制の導入と行政による監督

  1. 個別クレジットを行う事業者は登録制とし、立入検査、改善命令など、行政による監督規定を導入します。
  2. 登録制の導入
    1. 個別クレジット業者(個別信用購入あっせん業者)に対しても登録制を導入して、登録を受けた法人でなければ営業できないようにします。(割賦販売法第35 条の3 の23 〜35 等)
    2. 個別クレジット(個別信用購入あっせん)は、クレジット取引の中でも特に苦情相談が多く、消費者トラブルが生じやすい取引類型となっています。こうした状況を踏まえ、悪質なクレジット業者を事前に排除するとともに、登録事業者を行政が監視・監督することにより、消費者トラブルの未然防止を図るために、個別信用購入あっせん業者に対する登録制が導入されました。
      具体的には、登録要件として、一定の財産的基礎を有していること、貸金業法に違反して罰金を科された法人や暴力団員が介入しているような法人ではないこと、割賦販売法の遵守や苦情処理のための社内体制が整っていること等が必要となります。
      また、登録は3年ごとの更新制となるため、財産的基礎などの要件を継続的に維持する必要があります。
      なお、包括信用購入あっせん業者(クレジットカード業者)に関しては従来の法律でも登録が義務づけられていましたが、今回の法改正にともない、登録要件の内容が強化されます。包括信用購入あっせん業者に関しても、暴力団員が介入していないような法人であること、割賦販売法の遵守や苦情処理のための社内体制が整っていること等の要件が追加されます。
    3. 個別信用購入あっせん業者への登録制の導入及び包括信用購入あっせん業者の登録に関する追加規定については、公布後1年6ヵ月以内に施行となっていますが、施行時に既に個別信用購入あっせんを行っている事業者及び既に登録を受けている包括信用購入あっせん業者については、施行後6ヵ月以内に登録手続きの申し出をする必要があります。
  3. 個別信用購入あっせん業者等への行政の監督
    今回の改正において、個別信用購入あっせん業者や包括信用購入あっせん業者に対して、各種義務を課すことになりました。その実効性を確保するため、行政が監督するための権限や措置が導入されました。(第35 条の3 の23、第40 条及び第41 条など)
    1. 個別信用購入あっせん関係
      個別信用購入あっせん業者が過剰与信防止義務等の法的義務を履行しない場合に業務改善命令を下し、それに違反した場合、業務の停止命令や登録の取り消しを行います。各種義務が履行されているかを確認するため、立入検査や帳簿・書類の徴求も行います。あわせて、販売契約などの勧誘に関わる調査、調査の結果、不実告知等の不適正な勧誘があった場合における個別クレジット契約の締結禁止に関する規定の履行状況の調査に限り、加盟店等に対して立入検査や資料提出の命令もします。
    2. 包括信用購入あっせん関係
      個別信用購入あっせんと同様、過剰与信防止義務等の法的義務が守られない場合に包括信用購入あつせん業者に対して業務改善命令を下すこととなりました。それに違反した場合、登録の取消を行います。また、クレジットカード業務の一部を他の業者に委託する場合が見られるため、委託先への報告徴収と立入検査も可能としています。
    3. その他への報告徴収と立入検査
      クレジットカード情報の管理状況に関してクレジットカード発行業者(イシュアー)、加盟店管理業者(アクワイアラー)に対し、報告徴収と立入検査を可能とします。

(2) 加盟店の勧誘行為の調査義務

  1. 個別クレジット業者に、訪問販売等を行う加盟店の勧誘行為について調査することを義務づけ、不適正な勧誘があれば消費者への与信を禁止します。
  2. 個別信用購入あっせん業者に訪問販売等を行う加盟店(販売業者)の行為について調査を義務づけ、不適正な勧誘があったと認められる場合、消費者に対する与信を禁止します。(割賦販売法第35 条の3 の5 〜7 関係)
  3. 個別信用購入あっせんの場合、取引そのものの勧誘は販売業者が行っています。しかし個別信用購入あっせん業者は契約等を通じて、販売業者の勧誘行為については事前に知りうる立場にあります。そこで、個別信用購入あっせん業者に、契約を締結するにあたっては販売業者の勧誘行為についての調査を義務づけます。
    調査はクレジット取引で多数の消費者被害が発生している訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売(マルチ商法)、特定継続的役務取引(エステや外国語教室等)、業務提供誘引販売(内職商法やモニター商法等)が対象となります。それらの取引において、偽りの説明(不実の告知、重要事実の不告知)や居座り(不退去、退去妨害)など特定商取引法第6条等で禁止され、また消費者契約法で取消権が認められる勧誘行為があるかどうかについての調査を義務づけます。
    具体的な調査の範囲や方法は、今後、省令等で定める予定ですが、訪問販売業者等と加盟店契約を締結するときに勧誘方法として想定されるものについて調査し、さらに、個別のクレジット契約を締結するたびに、消費者に対して実際にどのような勧誘行為が行われたのかを消費者に問い合わせる等により調査することを想定しています。また、この調査結果は記録を作成して保存することが義務づけられます。
    調査の結果、不適正な勧誘があったと認められる場合、個別信用購入あっせん業者は消費者に対する与信をしてはなりません。
    以上の調査義務や与信禁止の義務に違反した場合は、行政処分(業務改善命令)が下されます。

(3) 書面交付義務の強化

  1. 個別信用購入あっせん業者に対して、書面交付に関する義務が強化されました。通信販売を除くすべての特定商取引において契約の申込時と締結時に書面を交付する法的責任を負うことになります。( 割賦販売法第35 条の3 の8 〜9 関係)
  2. これまで個別信用購入あっせんについては、購入者と直接相対する販売業者が契約申込時と締結時に、書面を交付することとしていました。しかし、不意打ち性が高く消費者の自発的な意思表示が困難となりがちな訪問販売等の特定商取引において、支払総額の記載が空白である等の不備書面が多発しており、消費者トラブルの原因となっているとの指摘がありました。交付書面は消費者にとって、トラブルがあった場合には事後的な対応をとるために重要であり、特定商取引においては消費者が特に混乱に陥りやすく、申込時点においても契約内容を確認する機会を提供することが適当であることから、申込段階や契約締結段階において、販売業者のみならず個別信用購入あっせん業者に対しても、書面交付義務を課すこととしました。
    また、今回の改正で書面交付義務を強化し、販売業者における書面記載事項も拡充します。特定継続的役務取引であれば役務の提供期間等、連鎖販売であれば取引の条件等、また与信契約のクーリング・オフの通知によって販売契約もクーリング・オフができることなど、購入者にとって重要な事項を書面に記載しなければなりません。
    個別信用購入あっせん業者は、通信販売を除くすべての特定商取引において申込を受けた時と契約を締結する時に、購入者に書面を交付しなければなりません。販売業者の交付書面と記載事項はほぼ同じですが、加えて、販売契約の勧誘等についての調査の内容とその結果を記載した書面を交付する必要があります。
    また個別信用購入あっせん業者が交付する書面は、与信契約のクーリング・オフ制度の導入にあたって、クーリング・オフ期間の起算点を確定する機能も持つことになります。この点からも、個別信用購入あっせん業者に適正な書面を交付することが求められることになります。
    なお、申込時の書面の交付時期については、個別信用購入あっせん業者は消費者と直接対面する機会がないため、「遅滞なく」交付することとします。

(4) クーリングオフの拡大

  1. 与信契約をクーリング・オフすれば販売契約も同時にクーリング・オフされるようになりました。(割賦販売法第35 条の3 の10 〜11)
  2. 個別信用購入あっせんにおいて、訪問販売・電話勧誘販売による与信契約、連鎖販売(店舗等を用いず個人間で行われるものに限る)・特定継続的役務提供等契約・業務提供誘引販売契約による与信契約についてクーリング・オフを導入し、同時に販売契約もクーリング・オフされる仕組みを設けます。購入者は、個別信用購入あっせん業者に対してのみクーリング・オフを通知し、個別信用購入あっせん業者は販売業者にその旨を通知しなければなりません。
    与信契約のクーリング・オフの効力の発生時期は、通知を発送した時点です。クーリング・オフ期間の起算点は与信契約の書面受領日となります。その際、個別信用購入あっせん業者や販売業者が不正をしたり、消費者に誤解をさせたりなどのクーリング・オフ妨害があった場合はクーリング・オフ期間は起算しません。ただし、特定商取引法で適用除外とされるものについては、与信契約のクーリング・オフも適用除外となります。(※補足参照)
    なお、クーリング・オフ後に個別信用購入あっせん業者・販売業者・購入者の関係を一括で清算できる規定も定めます。購入者は、個別信用購入あっせん業者にすでに支払った金額の返還を受けることができます。また、個別信用購入あっせん業者は、販売業者に支払った立替金に相当する額を購入者に請求することはできません。一方、購入者は商品を販売業者に返還し、販売業者は頭金やすでに受け取った金額に相当する額を返金しなければなりません。なお、販売業者は個別信用購入あっせん業者から支払われた立替金を返還することとします。
    また、連鎖販売については、連鎖販売に付随する商品販売契約、特定継続的役務提供契約に付随する関連商品の販売契約についても、クーリング・オフ制度が適用されます。ただし、基本契約に係る与信契約がすでにクーリング・オフされていること、基本契約についてクレジット契約をした個別信用購入あっせん業者と販売契約についてクレジット契約をした個別信用購入あっせん業者が同じであることを条件とします。
  3. 補 足
    1. クーリング・オフの期間
      • 訪問販売等は8 日。
      • 特定連鎖販売個人契約・業務提供誘引販売契約は20 日。
    2. クーリング・オフの適用除外
      • 乗用自動車等……契約を結ぶまでに時間がかかることが一般的で、その間に消費者の購入意思が安定すると考えられるもの。
      • 葬儀等……他の法律で供給義務が課せられている場合や、すみやかに役務を提供しないと消費者に著しく不利益となるもの。
      • 化粧品、健康食品等……いわゆる消耗品などで、使用又は消費してしまった場合。
      • 生鮮食料品等……数日で腐ってしまうなどで商品価値が著しく減損するもの。
    3. 消費者保護の観点から、引き続き存続される規定
      • 販売業者の商品等の返還費用負担。
      • 役務が提供された場合の役務提供事業者による不当利得返還請求の禁止。
      • 役務提供事業者の代金等返還義務。
      • 申込者等の販売業者に対する原状回復請求。

(5) 過量販売の契約の解除

  1. 訪問販売業者等が虚偽説明等による勧誘や過量販売を行った場合、個別クレジット契約も解約し、すでに支払ったお金の返還も請求可能にします。
  2. 通常必要とされる分量を著しく超える商品の売買契約や役務の提供契約(過量販売)に対する与信をしないことを個別信用購入あっせん業者に対して義務づけ、そのような契約は、1年以内であれば解除できることとします。解除した場合、すでにクレジットで支払われた金額は返還されることとなります。(割賦販売法第35 条の3 の12 および20)
    1. 「過量販売」による消費者被害を防止するために、特定商取引法で訪問販売業者による過量販売に対する行政規制を導入するとともに、契約締結後1年間は過量販売の契約の解除を主張できる制度が導入されました。過量販売被害事例をみると個別信用購入あっせんが利用されている場合が多いことから、割賦販売法においても、個別信用購入あっせん業者に顧客の財産の状況等を配慮して過量販売に個別信用購入あっせんが利用されないよう確認する義務を課すとともに、消費者が契約締結後1年間は過量販売契約のための個別信用購入あっせんを解除することができる規定を設けます。
      なお、特定商取引法と同様に、消費者が通常の必要量以上の購入をする特別の事情がある場合は例外としますので、個別信用購入あっせん業者は消費者の契約意思が真意に基づくものかどうか、その背景事情を確認することが望ましいと考えられます。
      また対象となる個別信用購入あっせんの契約の解除後の清算関係を明確にするため、清算ルールを次のように定めます。
      個別クレジット契約が解除された場合、原則として、
      1. 与信契約に関する損害賠償が制限されます。
      2. 個別信用購入あっせん業者は、立替金相当額を消費者に請求できません。
      3. 販売業者は、立替金を個別信用購入あっせん業者に返還しなければなりません。
      4. 個別信用購入あっせん業者は、消費者から受け取った既払金を消費者に返還しなければなりません。
    2. 補 足
      クレジット業者から既払金の返還を受ける場合、販売契約の解除がされていないと、販売契約に基づく代金支払債務が残存することになるので、あわせて、販売契約の解除を販売業者に対して行うことが重要です。この際、まず与信契約の解除をし、同時またはその後に販売契約の解除をすることで、割賦販売法の清算ルールの適用を受けることができます。(与信契約に先立って、販売契約が過量解除、またはクーリング・オフされた場合には、特定商取引法第9条第6項の清算ルールに基づいて、販売業者は速やかに立替金相当額を消費者に返還すべきとされていることから、上記の清算ルールの規定は適用されないこととされています。しかし、実務においては、販売業者、クレジット業者、消費者の三面関係の清算を同時に行うことが適当であると考えられます。)
  3. 訪問販売業者等が虚偽の説明をした場合に、販売契約に加えて、与信契約を取り消すことを認めることにより、訪問販売業者等と密接な関係がある個別信用購入あっせん業者から既払金の返還を受けることを可能にするルールを導入します。(割賦販売法第35 条の3 の13 〜16)
    イ.個別信用購入あっせん取引においては、特定商取引法第9条の2(改正後の第9 条の3)等の「不実の告知」などを理由に販売契約を取り消しても、これまでの割賦販売法のルールではクレジット代金の未払分については、クレジット業者からの支払請求を拒絶することができましたが、既払金の返還を求めることはできませんでした。その結果、悪質勧誘を行った訪問販売業者等は倒産・行方不明などで販売代金の返還を行わないため、消費者は実質的な救済を受けられないのが実情でした。
    しかし、これらの悪質勧誘を行った訪問販売業者と提携してクレジットを与えた個別信用購入あっせん業者は、販売業者に勧誘をさせたり、申込書面の取次をさせるなど、販売勧誘に密接な関係を持っています。また、悪質な勧誘の結果による契約かどうかについて調査をすれば通常はわかる立場にありながら、悪質な勧誘によって締結されたクレジット契約から利益をあげています。実態としては、個別信用購入あっせん業者が与信契約締結のために販売業者の勧誘行為を利用しているといえることから、その範囲で民事責任を負わせる改正を行うこととしました。
    具体的には、販売業者がクレジット契約の勧誘を行うに際して、支払総額・支払回数等のクレジット契約の内容や、商品の品質・性能等の販売契約に関する重要事項等について不実の告知などの不適正な勧誘を行った場合には、与信契約を取り消すことができることとします。
    さらに契約の取消後の清算関係を明確にするため以下のような清算規定を定めます。
    与信契約が割賦販売法によって取り消され、かつ、販売契約が特商法の取消権等により無効となった場合には以下の清算規定を適用します。
    1. 個別信用購入あっせん業者は、立替金相当額を消費者に請求できません。
    2. 個別信用購入あっせん業者が販売業者に支払った立替金は、販売業者が個別信用購入あっせん業者に対して返還義務を負います。
    3. 購入者が個別信用購入あっせん業者に支払った既払金については、個別信用購入あっせん業者に返還を請求できます。

(6) 支払能力を超える与信の禁止

  1. クレジット業者に対し、指定信用情報機関を利用した支払能力調査を義務づけ、消費者の支払能力を超える与信契約の締結を禁止します。(割賦販売法第30 条の2 〜3、第35 条の3 の3 ~ 4、第35 条の3 の36 〜59)
  2. 多重債務問題対策の一環として、今回の改正により、クレジット業者に対して、購入者の支払可能と見込まれる額の調査が義務づけられ、その額を超える契約は締結できないようになります。
    包括信用購入あっせん(クレジットカード取引)については、カードを交付したり、カードの使用限度額を増額する際に、「包括支払可能見込額」を調査する必要があります。「包括支払可能見込額」とは、利用者の年間の収入や預貯金、また過去のクレジット債務の支払状況や借入金の状況などを基礎として合理的に算定した、1年間にクレジット債務の支払が可能と見込まれる額であり、ここには利用者が居住している住宅や生活を維持するために必要な額は含まれないことが法律上明記されています。つまり、クレジット債務を返済するために、利用者が現に生活している住宅まで奪われず、最低限度の生活を維持でき、債務を持続的に支払可能と見込まれる額です。カードの限度額が包括支払可能見込額に一定割合(注)を乗じた額を超える場合、カードを発行することはできませんし、そのような限度額に増額することはできません。
  3. 一定割合を乗じることについて
    クレジットカード取引では限度額に基づいて与信管理を行っていますが、1年間当たりの支払可能額を基準としてどの程度の限度額を設定することが適当かどうかは、カード債務の支払期間の長さによって決まるものと考えられます。カード債務の支払期間は消費者の利用の仕方によって異なるため、一つに決めることは難しいので、マクロデータを基礎として経済産業大臣が定める割合を用いることとしています。具体的数値については、今後経済産業大臣が定める予定です。
    個別信用購入あっせんに関しても、同様の「個別支払可能見込額」を調査する義務があり、その額を超える年間の支払を必要とする個別クレジット契約は締結できません。
    また、今回の改正では、クレジット業者が支払可能見込額の調査を行うにあたり、他社のクレジット債務の額や支払状況を調査するために、指定信用情報機関の提供する信用情報を利用することを義務づけます。このため、指定信用情報機関制度を創設します。まず、経済産業大臣により信用情報機関が指定されます。また、指定信用情報機関に加入した場合、信用購入あっせん業者は、指定信用情報機関に対して信用情報を提供する義務があり、契約を締結する際には購入者から信用情報を提供してもらうことに同意してもらわなければなりません。指定された情報機関は、加入した信用購入あっせん業者が信用情報を目的外に使用しないよう監督します。指定信用情報機関同士の情報交流に関しても規定が設けられ、加入した信用購入あっせん業者に対して差別的な取扱いをすることも禁じられます。
  4. 補 足
    支払能力調査及び支払能力を超えるクレジット契約の締結禁止に関する規定は公布後2 年6 カ月以内に本施行することとなっています。

5 インターネット取引等の規制の強化
(1) クーリングオフの導入

  1. 返品の可否・条件を広告に表示していない場合は、8日間、送料を消費者負担で返品(契約の解除)を可能にします。(特定商取引法第11 条、第12 条、第15 条関係)
  2. これまでも、通信販売では広告において返品特約を明記することを義務づけてきましたが、実際には、返品・交換に関するトラブルは多発していました。とはいえ通信販売は訪問販売と違って不意打ちの勧誘等を受けるものではなく、消費者の購入の自主性が尊重されていることから、クーリング・オフ規定を導入することは適切ではありません。
    そこで通信販売においては、消費者からの「商品」または「指定権利」の売買契約の申込の撤回を原則可能としますが、事業者が通信販売の広告で返品特約に関する記載を経済産業省令で定めたルールにより行った場合はその限りではないとします。
    なお、契約の申込の撤回や解除は、購入者が商品等を受け取った日から8日までとし、返品のための送料は購入者負担となります。

(2) オプトイン規制の導入

  1. 消費者があらかじめ承諾・請求しない限り、電子メール広告の送信を原則的に禁止します。(特定商取引法第12 条の3 関係)
  2. これまでの電子メール広告規制では、電子メール広告の受信を拒否する意思を伝えた消費者に対して一方的に電子メール広告を送りつけることを禁止する規制(オプトアウト規制)をとっていました。しかし、オプトアウト規制の導入後も迷惑広告メールは増加の一途を辿っています。
    特に、拒絶の意思をメールで伝えると、そのアドレスが現に使用されているものだと事業者に通知することになってしまい、他の事業者から迷惑広告メールが集中してしまうという現象が見られ、オプトアウト規制には実効性がないことが明らかになっています。
    そこで、消費者が事業者からの電子メール広告の送信を事前に承諾しない限り、電子メール広告の送信を原則的に禁止する「オプトイン規制」を導入します。消費者からの承諾に基づいて電子メール広告を送信する場合には、当該広告メールには、消費者が電子メール広告の提供を受けない旨の意思を表示するために必要な事項の表示を義務づけ、消費者が拒絶の意思表示をした場合には、電子メール広告の送信を禁止します。
    また、オプトイン規制の実効性を確保するために、消費者からの請求や承諾に関する記録を作成し保存することを事業者に義務づけます。
  3. 補 足
    未承諾の電子メール広告が許容される場合について原則として、消費者の事前承諾のない電子メール広告は禁止されますが、次の3つのケースの場合には、その電子メール広告は禁止されません。
    1. 消費者の請求に基づき電子メール広告をするとき
    2. 消費者に対し、契約の内容や契約履行に関する事項を通知する場合に、電子メール広告をするとき
      事業者と消費者が既に取引関係にあって、その取引を円滑に進めるための連絡を電子メールで行う場合、例えば、消費者に送る受注確認メールや発送完了メールの中に事業者の商品の宣伝が入っているようなケースです。
    3. 電子メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められるケース
      広告が掲載されていることについて、消費者側の納得感があり、消費者の利益を損なうおそれがない方法での電子メール広告として、フリーメールを利用した場合やメールマガジンを利用した場合などが想定されています。

(3) 規制対象事業者の拡大

  1. ? 電子メール広告に関する業務を一括して受託する事業者についても、規制の対象とします。(特定商取引法第12 条の4関係)
    ? 近年、電子メールによる広告が行われる場合に、販売業者等が、電子メールによる広告に関する業務を、電子メールによる広告業務を専門に行う事業者(電子メール広告受託事業者)に委託するケースが一般的となっています。
    また、電子メール送信行為については、電子メールの配信業務を専門に行う事業者が行うことが多く、販売業者等、電子メール広告受託事業者、電子メール配信事業者という、三層構造になっていることがあります。
    現行の特定商取引法では、販売業者等のみを規制対象としていますが、オプトイン規制の実効性を確保する観点から、このような構造の下では、販売業者等の義務を解除し、販売業者から電子メール広告に関して、一定の業務を一括して委託されている電子メール広告受託事業者を規制対象とすることにより、販売業者等と電子メール広告受託事業者との責任の所在を明確にしています。
    具体的には、電子メール広告受託事業者が、以下の業務の全てを一括して受託する場合には、当該電子メール広告受託事業者が規制対象となり、消費者からの承諾取得義務、記録保存義務、表示義務を負うことになります。
    1. 電子メール広告の送信について、消費者からの請求を受け付けたり、承諾を得る業務
    2. 消費者からの請求や承諾があったことの記録保存の業
    3. 消費者からの受信拒否の連絡先等を電子メール広告に表示する業務
    ただし、販売業者等が免責されるのは、あくまで、上記の業務を「一括」して委託している場合であり、これらの業務を個別に委託に出していたり、一部のみ委託している場合には、結局、販売業者等が電子メール広告の提供において、手配・アレンジを主体的に行っているということとなりますので、そのような場合には、販売業者等が規制対象になることとなります。

(4) 行政処分・罰則

  1. オプトイン規制に違反した場合は、行政処分や罰則の対象になります。(特定商取引法第14 条、第15 条、第72 条関係)
  2. オプトイン規制に違反した通信販売業者等に対しては、国や都道府県から、指示(業務改善命令)または業務停止命令が発せられることとなり、違法な電子メール広告の送信行為や、その広告になされている商品の通信販売等の業務の停止等が求められることとなります。
    また、通信販売の業務を直接行ってはいない、電子メール広告受託事業者に対しても、国等から、指示(業務改善命令)または業務停止命令が発せられ関係業務の停止が求められることとなります。
    これらの行政処分に違反する場合には、刑事罰として、指示(業務改善命令)違反の場合は100万円以下の罰金、業務停止命令違反の場合は2 年以下の懲役または300万円以下の罰金あるいはその両方を科すことが措置されています。
    また、これらの行政処分違反のみならず、違法な電子メール広告の提供行為自体にも、刑事罰が科されます。
    具体的には、電子メール広告の送信について承諾等をしていない消費者または電子メール広告の送信を拒絶した消費者に対して電子メール広告を送信した場合や、承諾等の記録を作成・保存しなかったり虚偽の記録を作成した場合は、その販売業者等や電子メール広告受託事業者には、100万円以下の罰金を科すこととします。
    また、違反行為の中でも特に悪質と思われるものについては、罰金刑だけではなく、より重い懲役刑も措置することとなっています。具体的には、オプトイン規制に違反して送信した電子メール広告において、表示すべき事項を表示していない場合や、その電子メール広告の中に、虚偽・誇大広告などをした場合です。このような場合には、その違反者に対し、1年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいはその両方の処分を科すこととします。

(5) クレジットカード情報の不正取得等の処罰

  1. クレジットカード会社等に対して、個人情報保護法ではカバーされていないクレジットカード情報の保護のために必要な措置を講じることを義務づけるとともに、カード番号の不正提供・不正取得をした者等を刑事罰の対象とします。(割賦販売法第35 条の16、第35 条の17、第49 条の2)
  2. インターネット取引が拡大している中、クレジットカードについて漏えい事件や不正利用が多発しています。そこでクレジットカードを取り扱う業者に対して、カード番号などが漏えいしたり、不正に利用されたりしないように、必要な措置を講じることが義務づけられます。クレジットカードを取り扱う業者とは「包括信用購入あっせん業者」「二月払購入あっせん業者」(マンスリークリアカードを用いた翌月払いを取り扱う業者)「立替払取次業者」(利用者がクレジットカードを利用した時に、包括信用購入あっせん業者、二月払購入あっせん業者のために、自分の名前で販売業者に対して料金を立て替える業者。アクワイアラー)を指します。
    こうした事業者は自社の従業員、退職者などが容易にクレジットカード番号等を漏えいしたり、不正に利用できないように適正に管理する必要があり、そのための措置を講じることが義務づけられます。また、自社だけでなく、加盟店や業務を委託している業者に対しても、適切な管理が図られるよう、指導等の措置を講じなければなりません。
    一方、カード番号等は不正に利用すれば財産的に価値のあるものを手に入れることが可能であり、逆に失う被害者もでてきます。そこでカード番号等を保護するために、不正な利益を図る目的でカード番号等を不正に流出させたり、取得した人を処罰することにします。
    具体的には、まず、カード番号等を業務上保有している会社の従業員や退職者が、自分のためもしくは第三者の不正な利益を図るために番号を不正に提供した場合に処罰されます。
    次に、詐欺や無権限での複製の作成、不正アクセスなど、不正な手段を用いてカード番号等を取得した場合も処罰されます。
    また、漏えいしたカード番号等が売買され、転々と流通するのを防ぐため、カード番号を正当な理由無く売買した者はもちろん、有償で提供する目的でカード番号等を保有していた場合も処罰されます。
    いずれの場合も法定刑は3 年以下の懲役または50 万円以下の罰金となります。

6 その他の改正点
(1) クーリングオフと対価請求の禁止

  1. クーリング・オフがあった場合、仮に商品を使用していた場合でも、事業者はその対価を原則請求できないことになりました。(特定商取引法第9条関係)
  2. 特定商取引法第9条の制定時は、クーリング・オフ期間は8日間以内という短期間を想定していました。しかしクーリング・オフ妨害に対処する法改正の結果、契約時から数カ月後のクーリング・オフを認める裁判事例も多くなっています。こうしたクーリング・オフ期間の長期化にともなって、消費者が商品を使ったことによる「使用利益」問題が発生していました。
    そこで、清算ルールの対象に商品を加え、クーリング・オフがあった場合には、仮に商品を使用していた場合でも事業者はその対価を請求することはできないこととし、クーリング・オフにともなう消費者利益を守ることとします。

(2) 罰則の強化

  1. 違反事業者に対する罰則を強化します。
    1. 特定商取引法を厳正に執行するため、販売業者とその密接な関係者に対して「物件提出命令」を新設、販売業者等と取引する者への「報告徴収命令」を新設します。悪質な「不実告知」「重要事項不告知」「威迫・困惑行為」など、特定商取引法違反を構成する中核的な罪に対する罰則は、他の法令の罰則水準も踏まえて「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」へと引き上げます。(特定商取引法第66 条、第70 条関係)
    2. 特定商取引法を厳正に執行するために、違反が疑われる事業者から物件を提出させる規定を新設します。同じく取引形態が複雑化し、手口が巧妙化していることから、違反事実に関わる関連資料を提出させる規定も新設し、販売業者、その密接な関係者、あるいは取引する者に対する特定商取引法の法定権限を強化します。
      罰則に関しては、平成11 年改正で懲役・罰金を引き上げました。しかし、特定商取引法関連事件の被害額は当時よりもさらに高額化し、1事件当たりの被害額は、平成8年には約1.6 億円でしたが、平成18 年には約2.2 億円となっています。悪質事業者には罰則による抑止効果が十分に働いていないのが現状であり、悪質性が高い行為について罰則の上限を引き上げ、その他の罰則も必要に応じて見直します。
      中でも「不実告知」「重要事項不告知」「威迫・困惑行為」については、特定商取引法違反を構成する中核的な罪であり、これまで行政処分を行った事件のほとんどのケースで行われている極めて悪質な違反行為であることから、他の法令の罰則水準も踏まえて「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、又はその併科」へと引き上げます。さらに最近、マルチ商法や悪質エステ商法で摘発例が目立っている、消費者を複数の勧誘者が取り囲んで行う威迫勧誘なども、「1年以下の懲役又は200 万円以下の罰金、又はその併科」へと引き上げます。
    3. 補 足
      1. 物件提出命令の対象となる「物件」について
        違反事実を調査するために必要なもので、「セールストークマニュアル」「営業職員研修用ビデオ」「顧客・解約リストのCD-ROM」「販売商品」「機械・器具・装置」「契約書面」等を予定しています。
      2. 報告徴収命令の対象となる「取引する者」について
        金融機関、オフィス賃貸業者、クレジット会社等を予定しています。
    4. 行政処分の強化
      1. 通信販売における事業者のさまざまな違反行為に対しては必要な行政処分(指示、業務停止命令等)を行うとともに、電子メール広告受託事業者に対しても、同様の行政処分の対象とします。(特定商取引法第14 条、第15 条関係)
      2. 電子メール広告規制の改正にともなって、オプトイン規制に違反する行為、記録作成や保存義務違反、表示義務違反を、新たに主務大臣指示の対象に加えます。また契約の解除によって生ずる返金債務の不履行に対する指示も規定しました。さらに電子メール広告の受託事業者を独立した義務対象として規制の中に位置づけ、販売業者と同様の行政処分(指示、業務停止命令)の規定を新たに設けます。
    5. 割賦販売法の罰則の見直し
      1. 割賦販売法の罰則は、昭和59 年の改正時以来ほとんど見直されていなかったため、今回の改正にともなって、全体を見直すことになりました。( 割賦販売法第49 条~第55 条の3)
      2. 解 説
        1. 罰則水準の見直し
          貸金業法や金融商品取引法など、他の法令の罰則水準を参考に、クレジットカード業者が無登録で営業した場合の罰則を1 年から3 年にする等、割賦販売法の罰則を全体的に引き上げます。
        2. 罰則の新設
          今回の改正で新設された措置に違反する行為であって、無登録営業、業務停止命令違反などについては、懲役刑付きの罰則を設けます。また、確実に収益を上げられるような違反行為に対しては、懲役刑だけでなく罰金刑も併せて科せるようにします。
          また、罰金額は近年の立法が最低水準を30 万円以下としていることを参考に、違反行為が消費者の被害に直結しない場合は30 万円以下、消費者の被害に直接つながる場合は50 万円以下としています。
          他の法令においても罰金刑のみの違反は、今回の法改正においても罰金刑のみとします。また、その行為が秩序違反にとどまるものについては、刑罰ではなく過料とします。

(3) 自主規制団体認定制度の導入

  1. クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度を導入します。(割賦販売法第35 条の18 ~24 )
  2. 現在、クレジット業界の各社・各団体は、自主的にルールを作り、運用、苦情処理、情報収集や提供を行っていますが、いまだ深刻な被害にあう消費者があとを絶ちません。
    クレジット業界の発展と消費者の利益を守るためには、行政の厳格な法の執行とともに、業界が一体となって公正な取引の実現に取り組むことが必要です。そこで、一定の体制や財産的な基礎のある一般社団法人を国が認定し、行政の監督のもと、自主的な取り組みを進めていくこととします。
    認定割賦販売協会は、加盟店調査の厳格化、不適正与信の防止、クレジットカード番号などの適切な情報管理など、公正なクレジット取引の確保のため、業界として自主的に取り組む点を整理して自主ルールを制定します。また協会は、消費者トラブルを引き起こした加盟店の情報(取引停止情報等)の交換制度を構築し、会員が必要に応じて当該情報を閲覧して加盟店調査に活用できる環境を整えることとします。
  3. 補 足
    認定割賦販売協会の適切な運営と、協会を利用した不正行為を防ぐための規定も定められます。
    社員名簿の閲覧と名称の使用の制限、消費者苦情や加盟店情報の漏えいを防ぐための役職員に対する秘密保持義務、法律違反を犯した場合の会員の除名手続きや監督命令に関する規定などが設けられます。
    また、協会は、会員の行う業務に関する消費者からの苦情の処理や消費者に対するクレジットに関する広報等を行うこととなっています。

(4) 訪問販売協会による自主規制の強化

  1. 訪問販売協会による自主規制の強化を図ります。(特定商取引法第27 条、第27 条の2、第29 条の2関係)
  2. 社団法人日本訪問販売協会は、特定商取引法に位置づけられた自主規制の実施主体として、協会会員の業務に関する消費者の苦情の解決や自主行動基準の策定等を実施してきました。その訪問販売協会による消費者利益の保護を推進するため、会員が訪問販売の契約解除にともなう返金をしないトラブルなどがある場合は、会員が支出した基金の範囲内で、協会が消費者に対して金銭を補償することとします。また、会員として必要最小限の条件を満たさない事業者を排除するなど、協会の管理体制を強化します。
  3. 補 足
    金銭を補償するケースとして協会では、以下のようなケースを想定しています。
    ・クーリング・オフしたのに既払金が返金されない。
    ・合意で解除したのに合意条件に基づく返金がされない。
    ・特定商取引法違反などにより契約が法的に取り消されたが、既払金が返金されない。

7 実際の質問事例と回答
質問(1)
管理会社がオーナー様に伺い、設備工事(インターネット設備・地デジ工事・リフォーム工事等)を提案する場合、事前にクーリング・オフ等の説明が必要か否か? 事前説明なしで成約となった後、クーリング・オフの申し出があった場合の対応はどうするのか?

(回答)

  1. 前述のように、この度の特商法の改正によって、指定商品・指定役務の限定列挙が廃止されましたので、ご質問の「インターネット工事、地デジ工事、リフォーム工事」も、争いなく特商法の対象役務となります。
  2. そこで、以下、
    1. 本件の設備工事等が、特商法の「訪問販売」に該当するか、
    2. aに該当した場合、特商法の適用が除外される例外規定の適用を受けるか
      について、ご説明いたします。
  3. 本件の設備工事が特商法の「訪問販売」に該当するか
    訪販法第2条第1項によれば、「訪問販売」とは、
    「販売業者・サービス提供業者が「営業所等以外の場所」で商品の販売契約やサービス、権利指定の提供契約をすること」
    をいいます。
    このご質問のケースが、オーナ宅で
    1. 管理会社が設備工事の提案をして(勧誘行為)
    2. オーナーから契約の申し込みを受けた場合、又は、
    3. その場で設備工事の契約を締結した場合
    であれば、上述の「訪問販売」に原則として該当します。
  4. 本件が例外規定の適用を受けるか
    ご質問のケースは、賃貸物件のオーナーが対象ですので、原則的に、オーナーの賃貸営業のために、役務の提供を受けたものと考えられます。
    この点、「訪問販売」に該当する場合であっても、「営業のためにもしくは営業として」に役務の提供を受けている場合は、例外として、特商法の適用が除外されます(特商法26条1項)。
    本件のご質問のケースでは、オーナーの賃貸営業のためと考えられますので、特商法第26条1項の例外規定により、原則的に、特商法の適用が除外されると考えられます
    したがって、本件のケースは、オーナーの賃貸営業のために設備工事を契約する場合には、特商法の適用が除外されると考えられますので、クーリングオフの事前説明は必要ないと考えられます。
    但し、「営業のためにもしくは営業として」の解釈は、実質的な判断となりますので、形式上賃貸物件のために契約をしたというようなケースであっても、実質的には専ら自ら使用することを目的として、契約したというような場合には、「営業のためにもしくは営業として」とは認められず、原則に戻り、特商法の適用を受け、クーリングオフ等の説明が必要になります。

質問(2)
入居申込者に対して店頭でアクト安心24や浄水器等の付帯商品を販売する場合、事前にクーリング・オフ等の説明が必要か否か?事前説明なしで成約となった後、クーリング・オフの申し出があった場合の対応はどうするのか?

(回答)

  1. 店頭での物品の販売ですので、原則的には訪問販売には該当せず特商法の適用はないと考えられます。
  2. 但し、キャッチセールス(営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させること)や、販売目的隠匿型アポイントメントセールス(契約の締結について勧誘する目的であることを告げずに営業所その他の場所への来訪を要請すること)、有利条件提示型アポイントメントセールス(他の者に比して著しく有利な条件で契約を締結することができる旨を告げ、営業所その他特定の場所への来訪を要請すること)に該当する方法で、店頭において付帯商品の契約を締結したというような場合は、「特定の誘引方法による顧客については、営業商等において」契約を締結したものとして、特商法2条1項号により、「訪問販売」の一種となります。
    したがって、このような場合には、「使用・消費により価値が著しく減少するおそれのある商品」(例・防虫剤・殺虫剤等)を除き(特商法第26条4項1号)、クーリングオフの対象となります。
    この場合、クーリングオフの要件にしたがって、事前の説明をした文書の交付がなければ(前述の一覧表にある訪問販売のクーリングオフ期間(8日間)は、事前の説明をした書面の交付の翌日から開始されます。)、理論上は、いつまでもクーリングオフできることになってしまいます(但し、買主の側があまりに長期間放置していたような場合は、権利濫用や権利失効による制限は考えられます)ので、ご注意下さい。

質問(3)
オーナー様への提案と入居申込者への付帯商品販売に対するクーリング・オフへの対応は同様でよいのか?
異なる場合はどのような点に注意したらよいか? 

(回答)

  1. オーナー向け提案について、賃貸事業のための提案である場合は、たとえ訪問販売に該当しても、営業のための販売として、特商法から除外され、クーリングオフの対象とならないと考えられます。
    しかし、オーナー向け提案であっても、オーナーの個人使用目的であれば、本文販売に該当しクーリングオフの対象となります。
  2. 入居申込者向け付帯商品の販売については、店頭での販売であったとしてもアポイントメントセールス等に該当する場合には特商法の適用を受けることになります。このため、入居申込者への販売の勧誘については、特商法の適用を受けることを前提としたクーリングオフの書面を準備し、交付すべきであると思量致します。

以上

2010.04/13

関連記事

亀井英樹(かめいひでき)
東京弁護士会所属(弁護士)
昭和60年中央大学法学部卒業。平成4年司法試験合格。
平成7年4月東京弁護士会弁護士登録、ことぶき法律事務所入所。
詳しいプロフィールはこちら ≫

【著 作 等】
「新民事訴訟法」(新日本法規出版)共著
「クレームトラブル対処法」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修
「管理実務相談事例集」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修
「賃貸住宅の紛争予防ガイダンス」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修