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不動産・コンサルタント倉橋隆行先生の不動産投資ノウハウ

間違いだらけの賃貸管理

相続対策もPM業務の一環

 たとえば、賃貸住宅を経営している地主さんから相続対策の相談を受けたとします。その際、単に地主さんの所有地にアパートやマンションを建てることを提案するのではなく、その地主さんの資産全体を捉え、その組み変え等も選択肢の一つとして相続対策を考えるのもプロパティマネジメントです。被相続人である地主さんの敷地に銀行からの借入金でアパートを建てれば、土地の評価が下がり、借入金という債務が増えて相続財産が減少する可能性が高い。

 しかし、相続対策にはいろいろな可能性が考えられます。その中でベストな対策を提案するのがPM業務なのです。一例を挙げれば、アパートを建てても安定した賃料収入が見こめない敷地については、むしろ建物を建てるよりも売却し、ほかに優良物件を購入し資産に組替えることの方が良いわけです。

 そして、こうした提案をできることがPM能力に長けた管理会社の相続対策といえます。

 また、横浜の地主さんが、将来の相続税を準備するために不動産投資を行ない、東京都内のホテルや1棟物のマンションを保有したりするケースがあります。こういうケースでは、長期展望に立ったPM事業を行なえる管理会社が入っていないと、投資を確定するということはできません。

 しっかりしたPM事業を行うということは、オーナーさんに対し将来の相続税というリスクを回避したり、不動産所得を上げて相続の納税額を確保したり、また子供に対する資産継承を円滑にするために資産の分割や増加などの作業が計画的に出来るわけです。PM事業のノウハウを持っていない賃貸管理会社は、こういった作業はできないし、出来たとしても成功することは難しいはずです。

事例

 私と20年近くお付き合いしている地主のAさんの話です。

 現在、Aさんは当社およびグループ会社「月極倶楽部」の株主にもなっています。そんな当社と深い関係となった経緯等を述べてみたいと思います。

 私が独立する前、某会社でPM事業を任せられていた時、アパートを経営していたAさんが「入居者が賃料を滞納して困っている」と私のところへ相談にやってきました。

 話を聞くと、私にとっては手馴れた案件でしたので、即刻対応し、Aさんの滞納問題を解消させることができました。それがきっかけとなり、Aさんから相続対策を依頼されました。そこで私は正確に現状認識するために、税理士の先生にAさんの予定相続税の計算をお願いし、私自身が計算したものと照合しました。すると、概ね7億5千万円で一致し、この巨額な相続税への対策に取り組むことになりました。

 当時のAさんの家賃収入は年間2000万円に満たず、対して、固定資産税は700万円を超えていたので、事業収支はトントン状態、このままでは7億5千万円の納税額を預金で支払うことは絶対無理でした。

 そこで私が提案したことは資産の組み替えです。無駄な敷地の240坪を売却し、そのお金で優良資産を増やす戦略をとりました。その土地は2億円で売れたので、それを原資に、まず湘南地域の駅前ビルを1億5千万円で、次いで、都内のホテルを4億5千万円で購入しました。この優良な2つの物件を買うことにより改善されたことは、相続税が5億円を切ったこと、そして家賃収入が一挙に8900万円に増えたことでした。

 さらにそのあと、自宅周りの敷地と既存アパートの敷地の区分を明確にし、私有地の評価を下げることに成功しました。加えて、Aさんは非課税事業を営んでいたので、その非課税財産の土地枠を広げて、この私有地の評価も下げることにしました。またさらに、Aさんが他に所有していた“竹林”を造成し、売却することで、資産を圧縮し現金を増やしていくようにしました。

 これら諸々の相続対策を積極的に行ったことで、結果的に、現在の家賃収入は9000万円を超え、他の事業収入を加えると、年間1億5千万円の収入を得ることになり、かつ相続税は1億円を切る資産状況となっています。

 以上のような相続対策と共に、当社は不動産投資のノウハウをオーナーさんや一般投資家に提供しています。当然ながら、アパートや賃貸マンションへの投資分析については、他社に比べて、優位に立っているというのが当社の特徴でもあります。

 ですから、不動産投資に関する相談も当社には多く入ってきます。その相談の多くは、資産を増やしながら投資していく、といった趣旨ですが、一番の問題はファイナンスです。これはプロパティマネジメントの範疇ではなくアセットマネジメント、いわゆる資産の管理分野に入ってくるわけですが、それにも当社は対応しています。

 資産管理のベースになるのはキャッシュフローの計算、いわゆる収入と支出および資産と負債のバランスです。相続税に関しても、当社は、将来の負債として追加し、負債欄に計上して事業計画を考えることにしています。つまり、そこから投資事業が成立つのかどうかの指標を計算するわけです。

 いずれにしても当社は賃貸管理の枠に囚われることなく、資産運用という立場でオーナーさんや投資する人たちへ提案できる会社であると自負しています。

2006.12/12

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倉橋隆行 (くらはしたかゆき)
1958年9月25日生
96年に(社)全国賃貸住宅経営協会横浜南部支部支部長に就任し、翌年、同協会の神奈川連合会の創設に伴い副会長に就任。98年、不動産業界に関するシンクタンクである不動産体系研究所創設に伴い、取締役所長に就任。99年、総合的な月貸し賃貸の運用会社である(株)月極倶楽部を創立、代表取締役に就任。同時に(株)三春情報センターを退職。そして、資産運用管理会社である(株)CFネッツを創立し、代表取締役に就任。2001年、2002年JREM国際CPM協会副会長就任。2003年4月、IREM(全米不動産管理協会)より、CPM(公認不動産管理士サーティファイド・プロパティマネージャー)の称号を日本で初めての公式試験受験による取得者となる。現在、グループ企業4社の代表取締役と取締役、その他公益法人の役職をこなし、超多忙な仕事をこなしている。
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