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リプロス代表・松尾充泰の賃貸経営ノウハウ

東京都の原状回復問題に関する条例公布「東京ルール」を考える≪管理会社≫

 東京都が2004年3月31日に原状回復問題に関する紛争を防止するための条例を公布し、2004年10月1日から施行される事になりました。

 いわゆる『東京ルール』と呼ばれるこの条例は、宅地建物取引業者に対して住居の賃貸契約に伴い、あらかじめ明らかにすべき事項について書面を交付し、重要事項と併せて口頭でも説明することを義務づけたものです。

 東京都の原状回復問題に関する条例の考え方は、国土交通省の「原状回復をめぐるガイドライン」を、更に一歩踏み込んでいます。

 条例では特約がなければ原状回復費用は賃貸人(大家さん)が負担するものであり、消費者が負担する必要がない事を書面にて公布し説明しています。

 また、特約をつけ消費者に原状回復費用を負担させる場合は、原状回復部分の書面を公布し消費者に説明し納得した上で契約を締結する事になります。

 これらによって、退去時のトラブルを未然に防ぐのが条例の狙いです。

 尚、宅建業者が説明する時に使う書面の雛形と消費者に示す原状回復費用負担割合の目安になるガイドラインについて、9月頃発表を目処に東京都が作成しているということです。

  宅地建物取引業者にとって、非常に厳しい条例のように思えますが、逆にこれらを説明したうえであれば特約は有効であると考える事もできます。

 また、最近では消費者契約法を意識して契約条件を複数用意し、消費者自身に契約条件を選択させ、一方的に消費者が不利な契約条件で締結したことには当たらないとする契約方法をとった貸し方もでてきています。

例)契約条件1:賃料は10万円、退去時の費用負担あり
契約条件2:賃料は13万円、退去時の費用負担なし

もちろん、どのような契約方法をとっても消費者契約法により取り消しや無効とされる可能性があります。

 いずれにしろ、消費者もインターネットやマスコミの報道などで知識を得ており、消費者のことを考えていない業者は敬遠される時代になっています。

 また、この東京都の条例のようなものが、他の政令指定都市にも公布される事が予想されます。

 まずは、東京都の条例運用を見守っていきたいと思います。

 説明義務及び書面公布が必要なものを東京都規則より以下に抜粋しました。
(東京都規則第92号 第2条1号・2号より抜粋)
●退去時における住宅の損耗等の復旧については、当事者間の特約がある場合又は賃借人の責めに帰すべき事由により復旧の必要が生じた場合を除き、賃貸人が行うとされていること
●住宅の使用及び収益に必要な修繕については、当事者間の特約がある場合又は賃借人の責めに帰すべき事由により修繕の必要が生じた場合を除き、賃貸人が行うとされていること
●当該住宅の賃貸借契約において賃貸人の負担となる事項
●賃借人の入居期間中、設備等の修繕及び維持管理に関する連絡先となる者の氏名及び住所

≪詳細資料≫
・以下のサイトから「東京都公報」  
東京都総務局 http://www.soumu.metro.tokyo.jp/

・東京都条例第95号 [PDF 13.1KB] 

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東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例
・東京都規則第92号 [PDF 17.7KB]

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東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例施行規則
・東京都住宅局 発表資料 [PDF 9.42KB]

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平成16年2月6日 民間住宅に関する「東京ルール」の推進について
※上記PDF資料をご覧になるにはAcrobat Readerが必要です。

2004.04/09

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松尾充泰 (まつおみつひろ)
(賃貸不動産経営コンサルタント)
昭和43年大阪生まれ。
96年に賃貸不動産業界での職務経験を生かし、賃貸不動産業界向けソフトウェア開発会社、アクセス株式会社を設立。その後、賃貸不動産会社に対する業務コンサルティング、大家さん・賃貸不動産業界のビジネス支援サイトを運営する、株式会社リプロスを2003年に設立。