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リプロス代表・松尾充泰の賃貸経営ノウハウ

収益物件の購入の失敗例

 収益物件の売買が盛んに行われていますが、最近、収益マンションを購入して失敗された大家さんの話を不動産業者の友人から聞きました。

 どうしてその大家さんが失敗したのか、その失敗例から皆さんに学んで頂きたいと思います。

失敗1.土地の評価額に惚れて物件を購入した
 土地の評価額が高いことを基準とした物件購入が全て失敗とは言いません。

 しかし、土地の評価が良いだけで収益性が悪ければ意味がありません。

 また、評価が高いと固定資産税など税の評価も高くなり、保有コストが増加するだけです。

失敗2.賃料の合計を営業純利益と勘違いした

 売買契約時点ではこのマンションは満室だったのですが、引き渡し後、1か月もしないうちに4件の解約が発生しました。

 そして、新たに募集をしようとしたところ家賃が下落していて、これまでと同じ賃料では募集できない事が判明したのです。

 これでは予定していた収益は上がりません。

 こんな事にならない為にも、物件を購入する場合は、すべての部屋について“現在募集したらいくらであれば契約できるか”を計算することにより、収益性を図るべきです。

失敗3.不十分な調査
 満室だった物件なのに1か月もしないうちに4件の退去が発生したと書きましたが、これにはカラクリがありました。

 すべての契約ではありませんが、本来空室であるはずの部屋に、高い賃料での架空の契約を行うことによって満室に見せかけた形跡がありました。

 証拠はありませんが、契約内容などが不自然なものがあったのです。

 また、引渡後に家賃滞納があることも判明しました。

 この大家さんは月収約100万円の予定だったのですが、この結果、第1回目の収入はいくらだったと思いますか?約30万円ですよ。

 ローンさえ払えません。

 契約前に賃貸契約書を確認したり、出入りする入居者をチェックしていれば、未然に防げた可能性が高い問題です。

 後日、この物件を管理する事になった管理会社と一緒に現地で聴き取り調査をしたところ、この物件には、日本語学校に通う外国人や風俗店に勤める人、水商売、風俗の事務所などが入居していたようです。

 現在もそのような人が入居しています。

 よって、家賃滞納やトラブルが多いのもあたりまえです。

 収益マンションを購入して大家さんになるという事は、新規事業を立ち上げる事と同じぐらい調査をして事業計画を立てる必要があります。

 素人はマンション経営を辞めなさい!とは言いません。

 むしろ投資する資金があるなら、投資対象として、収益マンションの購入をお勧めします。ただし、所有と経営を分離するのか、また、自分で経営もするのかを、購入前に決める必要があります。

 そして、経営するのであれば、それなりの知識を身につけてから行いましょう。
 また、自分で調査や事業計画を立てることのできない大家さん(投資家)は、信頼できる管理会社や不動産コンサルタントなどのパートナーを見つけてから購入する事をお勧めします。

 安い買物ではありません。

 失敗してからでは遅いのです。

2005.04/26

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松尾充泰 (まつおみつひろ)
(賃貸不動産経営コンサルタント)
昭和43年大阪生まれ。
96年に賃貸不動産業界での職務経験を生かし、賃貸不動産業界向けソフトウェア開発会社、アクセス株式会社を設立。その後、賃貸不動産会社に対する業務コンサルティング、大家さん・賃貸不動産業界のビジネス支援サイトを運営する、株式会社リプロスを2003年に設立。