はじめに、前回私が、土地活用のポイントとしておさえておくべき4つの要素(「場所」、「企画・計画」、「運営」、「タイミング」)のうち、1つ目に挙げていた「場所」について、以下の通り訂正をさせていただきます。
<訂正前>
1.場所(立地・形状)
2.企画・計画
3.運営
4.タイミング
↓
<訂正後>
1.土地(立地・形状・広さ)
2.企画・計画
3.運営
4.タイミング
さて、すでに申し上げた通り私の見解は「これら4つのポイントを抑えずに土地活用を行うことで大半の土地活用は、土地活用を始める前から失敗している」というものですが、逆に「この4つのポイントを抑えると成功の確率が飛躍的にアップする」と考えてもいます。
では、今回はまず1つ目の土地(立地・形状・広さ)に絞ってお話をしましょう。
土地(立地・形状・広さ)
土地活用にとって、もっとも重要なポイントが「立地」・「形状」・「広さ」です。
では、これらによって何が違ってくるのでしょうか?
当たり前の事ですが、基本的に土地の「立地」は変えることができません。
そして、この変えることのできない「立地」は更に「形状」や「広さ」によって、最適な活用法が変わってきます。
例えば、「立地」に限定して考えるなら、駅前の商業地なら事業用としてのオフィース・店舗などの需要があるでしょうし、交通量の多い国道沿いなら、ファミリーレストランやドラッグストアーの需要があるかもしれません。
そして、住宅地なら一般的には住居です。また、それだけではありません。
同じ住宅地でもファミリー世帯の需要があるのか、単身世帯の需要があるのかでも計画は違ってきます。
先ほどは「立地」に限定して説明をしましたが、本来はそんなに単純な話ではありません。
形状や広さなどを加味して総合的にどのような土地活用が有効かを考えなくてはなりません。
例えば、奥行きが浅くても間口が広いことで事務所より店舗に向いている場合や、また、「形状」と「立地」によっては、店舗、事務所よりもコインパーキングに向いている場合もあります。
同じ集合住宅を建てるにしても上下が別世帯になるアパートより、上下が同じ世帯になり戸建て感覚で住んでもらえるテラスハウスが向いている場合など「立地」、「形状」、「広さ」によってベストな土地活用は違ってきます。
皆さんがお持ちの土地の「立地」、「形状」、「広さ」を総合的に考えてベストな土地活用方法を考えてください。
もちろん、オーナーの投資リスクやリターンに対する考え方によっても、活用方法が違ってくることは言うまでもありません。
こちらも例を挙げて説明すれば、単身者用物件の供給が過剰気味の環境であってもデザイン性を高めることにより、多少投資リスクがあっても高いリターンを得ようとする判断もあります。
しかし、それは立地による需要を理解した上で考えるべきことなので、まず、その地域の需要を見極めることが一番重要だと申し上げたいのです。
言い換えれば、需要が低く事業としてリスクの高い土地活用はしてはいけないと言う事です。
先祖から相続した土地のすべてが、良い土地活用ができるような土地とは限りません。
この部分で失敗する方が多くいます。
無理に土地を子孫に残そうとするから、このようなことが発生するのだと思うのですが、土地活用に向いていない土地はあっさりと売却し、違う土地を購入して土地活用を行う決断力が必要です。
幸い、平成20年度までは特定事業用資産の買換え特例が延長され、売却時の譲渡益に対する80%の課税を繰り延べることができます。
この特例は過去にも延長されていますので、今回がラストチャンスになりそうです。
そもそも税制というものはいつ変わるか誰にもわかりません。
後になって更に良い特例が出てこないとも限らず、この点においては責任を負いかねますが、「現在活用が難しい土地の買換えを検討中の場合はこの機会を見逃さないようにしたい」という見方については、私の周囲の税理士の方々とも意見の一致するところです。
ところで、今この記事をお読みの皆さんが広い土地を所有していたとします。
それらをすべて土地活用することを前提に考えたりしておられないでしょうか?
ご自身の人生設計において、いつお金が必要なのか、相続人が何名いるのか、負債を含めて資産をいくら残すのか、などといったことを考えて土地活用をする必要があります。
広い土地をすべて活用するのではなく、一部を売却してその資金を建設資金に充当したり、土地建物を分割して相続できるようにしたりするなどの工夫が必要なのです。
次回は企画・計画についてご案内します。