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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

年末まで! 株式の大整理の時期

平成13年9月30日以前から保有している上場株式等については一定の価額を取得費とできる特例が平成15年より設けられています。あまり知られていない制度ですがこの年末には廃止されることになりました。今回はその影響と対策についてご案内いたします。

【1】取得費の特例とは
zu_01.gif株式を譲渡(売却)した場合、譲渡対価から、株式の取得に要した金額(取得費)を引いて譲渡損益を計算します。
この取得費は購入代価に支払手数料などの購入費用を合計して求めるのが原則ですが、個人が平成13年9月30日以前から引続き保有(相続等の場合も含む)している上場株式等については、その上場株式等の「平成13年10月1日における価額の80%相当額」を取得費とすることが特例として認められています(以上、「表?」参照)。
今回、この特例がこの年末で廃止されることが決まりました。この特例を受けるためには上場株式の年内の売却が必要になります。

【2】その影響は?

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ここに相続で取得したA社の株式1000株があります。取得時期は相続前の昭和30年頃で取得費は額面の50円でした。この株式を1株3215円(4月30日終値)で売却しました。
表?をご覧ください。原則通りに計算すると売却益は316万5000円となり、税金は31万6500円となります。
ところで、この株式は平成13年9月30日以前より引き続き保有していますので、取得費の特例が使えます。特例を使った場合、取得費は1株3208円(平成13年10月1日における価額4010円の80%)となり売却益は7000円、税金は700円となります。特例の効果で税金は31万円以上低くなります。
また、取得費が不明の場合には譲渡損益が明瞭に計算できる(税務署より否認を受けることがない)という副次的効果もあります。

【3】平成13年10月1日における価額はどこで調べるの?
インターネットで「平成13年10月1日における上場株式等の株価一覧表」と入力して検索すると、国税庁または東証が提供する株価一覧表を見ることができます。

【4】特定口座に入っていたら
特定口座に入っている上場株式等については、この取得費の特例は適用できません。売却する前に、特定口座より引き出す必要があります。引き出しの手続き等については、お取引先の証券会社にお問合せください。
なお、すでにこの特例を用いた価額で特定口座にいれた上場株式等については、今年末までに限定されず、この価額が引き続き取得価額とされます(従って、年内の売却は不要です)。

【5】株券電子化の対応はお済ですか?
平成22年1月に株券電子化が実施されました。いわゆる「タンス株」について電子化への対応がまだの場合、お手元の株券は現在、ただの紙切れになっています(そのままでは、譲渡できません)。譲渡のためにはタンス株が本人名義であっても、株券電子化のための所定の手続きがまず必要です。本人名義でない場合は、名義回復のための複雑な手続きが別途必要です。これらの手続きの詳細は、株主名簿管理人(信託銀行等)、またはお取引先の証券会社にお問合せください。かなりの日数を要する場合があります。相続等でタンス株のまま所有している方は早目のご対応が必要です。

【6】最後に
今回ご紹介の取得費の特例は、残念ながら年内一杯で期限が切れます。来年以降になって、「残念!忘れていた」ということがないようにご注意ください。なお、実際の適用にあたっては税理士等へのご相談をお勧めします。

2010.09/07

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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