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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

確定申告に向けて ~ポイント再確認~

今年も個人の確定申告の時期がやってまいりました。申告期間は2月16日から3月15日(贈与税は2月1日から3月15日)です。
今回は申告にあたって気になる項目を簡単にお伝えします。

【1】事業を営んでいる方
事業所得・不動産所得・山林所得のある方は青色申告制度が利用できます。

  1. (1)青色申告をしましょう!
    帳簿類をきちんと整えられている方、青色申告をされていますか? 青色申告をすると、各種の税制上の優遇措置が受けられ税金が大幅に減少することもあります。手間と税理士報酬等の費用がかかることもありますが、コスト比較の上で、青色申告をお勧めします。
  2. (2)家事費はきちんと区分を
    個人の方はどうしても、ポケットが一つのため事業経費と家事費が混同されがち。水道光熱費のなかに自宅で使われている分が入っていませんか? 自動車、家庭で使用していることはありませんか? 税務署は鋭く突いてきます。
  3. (3) 青色事業専従者給与の注意事項
    青色申告の主なメリットの一つ、青色事業専従者給与。一般に経費計上ができない親族に対する給与支払が、届出をすることで経費計上できます。利用されている方も多いこの制度、専従者の変更や支給額の増加の際の変更届出の提出漏れが目立っています。届出がない場合、専従者給与の全額否認もあります。ご注意ください。また、専従者給与は実際に支給することが必要です。不景気のおり、身内ということもあり支払を長期止めておられる方もいるのでは?その場合、否認の可能性がでます。支払をするとともに、通帳等で支払の跡を残す努力を。
  4. (4) 修繕費に注意!
    Aさんは、アパートの屋根を全面的に補修しました。費用は200万円かかりました。修繕費200万円として全額費用計上、今年の所得税はかかりません?
    普段、修繕、修理、補修などと呼んでいる支払のなかには、資本的支出といって費用計上できないものもあります。修繕等を行うことにより、その価値の増加や使用期間の延長があった場合は、資本的支出にあたるとされます。
    先ほどのAさんの例では、雨漏りをなくすために、特別の樹脂で屋上をコーティングした費用が150万円含まれていました。従って、150万円は資本的支出に該当し、全額の費用計上はできません。Aさんは納税する必要がでてきてしまいました。
    修繕費等が費用計上できるか否かは、実務上とても判断が難しい問題です。金額はどうしても大きくなりがちですし、税務署のチェックも厳しくなります。十分に注意して対応してください。

【2】会社員の方
会社員の方は、勤務先が年末調整を行いますので、他に収入がない場合は、原則、確定申告は不要です。

  1. (1)医療費控除は確定申告で
    ところで、年末調整では医療費控除はやってくれません。そこで、多額の医療費がかかった方は確定申告の検討をお勧めします。年収700万円で、配偶者・子供一人の場合、医療費が20万円であれば、住民税も含め最高3万円税金が減る可能性があります。手間はかかりますが、やってみる価値はあるのでは。
  2. (2)年末調整に漏れがあったなら
    年末調整の後にお子様が生まれて扶養親族の数に違いが生じたり、保険料控除の証明書の添付漏れがあったり。そんな場合は確定申告を行い修正することが可能です。

【3】上場株式等の取引がある方

  1. (1)譲渡損失の繰越控除
    上場株式等の譲渡損失については、3年間の繰越控除が可能ですが、確定申告をして所定の書面を添付することが必要です。お忘れなく。ただし、一定の場合は救済措置があります。
  2. (2)配当と譲渡損失の損益通算
    先月号でお伝えしましたが、平成20年度より、上場株式等に限り、その配当と譲渡による損失との通算が可能になりました。譲渡損失が生じた方は今年も多いのではないでしょうか?配当は10%の源泉税が天引きされています。源泉税を取り戻すチャンスです。なお、この損益通算も確定申告をすることが必要です。
2011.01/25

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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