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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

平成23年度の税制改正 ~中小企業・個人編:法人税・所得税 ~

【1】はじめに
前回は、平成23年度の税制改正大綱のうち、特に資産家に関連する項目について重点的に説明しました。今回は、税制面で中小企業及び個人に関連する項目についてご説明いたします。

【2】法人税率の引下げ
国際的に見て高すぎる法人税率が主要国並みに引下げられる予定です。

  1. (1)概要及び適用時期
    基礎控除とは、相続税の総額を計算する場合に、不動産・預貯金などのプラスの財産から、借入金・葬式費用などのマイナスの財産を控除した純資産から差し引く控除額のことです。

     

    現    行

    改  正  案

        年800万円以下   年800万円以下

    普通法人

    30%

    25.5%

    中小法人

    30%

    22%(18%※1

    25.5%

    19%(15%※2
    ※1 平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する事業年度に適用されます。
    ※2 平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。
    なお、中小法人の平成23年4月1日前に開始し、同日以後に終了する事業年度は、
    経過措置として現行の税率が適用されます。
  2. (2)具体例(法人の課税所得が800万円の場合:法人住民税の均等割は除く)

    ? 改正前

     

    法人税

    800万円 × 18% = 144万円

     

    法人住民税

    144万円 ×(5%+12.3%)≒ 25万円

     

    合 計

    144万円 + 25万円 = 169万円

    ? 改正後

     

    法人税

    800万円 × 15% = 120万円

      法人住民税

    120万円 ×(5%+12.3%)≒ 21万円

     

    合 計

    120万円 + 21万円 = 141万円

    ? 増減額
      ? - ? =

    △28万円(減税)

【3】給与所得控除額の見直し

昨年の平成22年度税制改正において、特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度が廃止されましたが、個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するために平成23年度税制改正大綱で給与所得控除額が見直される予定です。

  1. (1)概要
    1. 1.その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除額は、245万円の上限が設けられます。
    2. 2.その年中の給与等のうち、給与等の支払者の役員等が支払を受ける役員給与等の収入金額が2,000万円を超える場合の役員給与等に係る給与所得控除額は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める金額とされます。

      役員給与等の収入金額

      給与所得控除額

      1,500万円超2,000万円以下 245万円
      2,000万円超2,500万円以下 245万円-( 役員給与等の収入金額の2,000万円超の部分 × 12% )
      2,500万円超3,500万円以下 185万円
      3,500万円超4,000万円以下 185万円-( 役員給与等の収入金額の3,500万円超の部分 × 12% )
      4,000万円超 125万円
  2. (2)イメージ図
  3. (3)適用時期
    平成24年分以後の所得税及び平成25年度分以後の個人住民税について適用されます。

【4】退職所得等の見直し

短期間で退職を繰り返し、税制上有利な退職金を受け取るいわゆる「天下り・わたり」の税負担回避を防ぐために以下の見直しが予定されています。

I . 役員退職手当などに関わる退職所得の課税方法の見直し

  1. (1)概要
    その年中の退職手当等のうち、退職手当等の支払者の役員等(役員等としての勤続年数が5年以下の者に限る)が、その退職手当等の支払者から役員等の勤続年数に対応するものとして支払を受けるものに係る退職所得の課税方法については、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置を廃止します。
  2. (2)具体例( 退職金 2,000万円 勤続年数 5年の場合 )

    ? 改正前

     

    退職所得

    (2,000万円 -

    40万円 × 5年

    )×

    1/2

    = 900万円

     

                             (退職所得控除額)改正点

     

    所得税

    900万円 × 23% - 63.6万円 = 143.4万円

    ? 改正後

     

    退職所得

    (2,000万円 - 40万円 × 5年)=1 ,800万円

      所得税

    1,800万円 × 33% - 153.6万円 = 440.4万円

    ? 増減額
      ? - ? =

    297万円(増税)

  3. (3)適用時期
    平成24年分以後の所得税について適用され、個人住民税は平成24年1月1日以後に支払われるべき上記の役員退職手当等について適用されます。

II . 退職所得に係る個人住民税の10%税額控除の廃止
平成24年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用されます。

【5】まとめ
今回の法人税等の税率の引下げは、全法人が対象となりました。しかし、給与所得控除額の見直しなど、個人に対しては、増税になるものも含まれています。
給与所得控除額の見直しでは、1,500万円÷12ヶ月=125万円(月額)までの役員報酬であれば影響はありませんが、それ以上の役員報酬を支給すると改正後の税制の影響を受けてしまいます。
今回取り上げていない項目もありますので、その他の項目については、顧問の税理士等に内容を確認する必要があります。

2011.04/26

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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