【1】はじめに
前回は、平成23年度の税制改正大綱のうち、特に資産家に関連する項目について重点的に説明しました。今回は、税制面で中小企業及び個人に関連する項目についてご説明いたします。
【2】法人税率の引下げ
国際的に見て高すぎる法人税率が主要国並みに引下げられる予定です。
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現 行 |
改 正 案 |
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年800万円以下 | 年800万円以下 | |||
普通法人 |
30% |
25.5% |
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中小法人 |
30% |
22%(18%※1) |
25.5% |
19%(15%※2) |
? 改正前 |
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法人税 |
800万円 × 18% = 144万円 |
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法人住民税 |
144万円 ×(5%+12.3%)≒ 25万円 |
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合 計 |
144万円 + 25万円 = 169万円 |
? 改正後 |
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法人税 |
800万円 × 15% = 120万円 |
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法人住民税 |
120万円 ×(5%+12.3%)≒ 21万円 |
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合 計 |
120万円 + 21万円 = 141万円 |
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? 増減額 | ||
? - ? =
△28万円(減税) |
【3】給与所得控除額の見直し
昨年の平成22年度税制改正において、特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度が廃止されましたが、個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するために平成23年度税制改正大綱で給与所得控除額が見直される予定です。
役員給与等の収入金額 |
給与所得控除額 |
1,500万円超2,000万円以下 | 245万円 |
2,000万円超2,500万円以下 | 245万円-( 役員給与等の収入金額の2,000万円超の部分 × 12% ) |
2,500万円超3,500万円以下 | 185万円 |
3,500万円超4,000万円以下 | 185万円-( 役員給与等の収入金額の3,500万円超の部分 × 12% ) |
4,000万円超 | 125万円 |
【4】退職所得等の見直し
短期間で退職を繰り返し、税制上有利な退職金を受け取るいわゆる「天下り・わたり」の税負担回避を防ぐために以下の見直しが予定されています。
I .
役員退職手当などに関わる退職所得の課税方法の見直し
? 改正前 |
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退職所得 |
(2,000万円 - 40万円 × 5年 )×1/2 = 900万円
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(退職所得控除額)改正点 | ||
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所得税 |
900万円 × 23% - 63.6万円 = 143.4万円 |
? 改正後 |
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退職所得 |
(2,000万円 - 40万円 × 5年)=1 ,800万円 |
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所得税 |
1,800万円 × 33% - 153.6万円 = 440.4万円 |
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? 増減額 | ||
? - ? =
297万円(増税) |
II . 退職所得に係る個人住民税の10%税額控除の廃止
平成24年1月1日以後に支払われるべき退職手当等について適用されます。
【5】まとめ
今回の法人税等の税率の引下げは、全法人が対象となりました。しかし、給与所得控除額の見直しなど、個人に対しては、増税になるものも含まれています。
給与所得控除額の見直しでは、1,500万円÷12ヶ月=125万円(月額)までの役員報酬であれば影響はありませんが、それ以上の役員報酬を支給すると改正後の税制の影響を受けてしまいます。
今回取り上げていない項目もありますので、その他の項目については、顧問の税理士等に内容を確認する必要があります。