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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

義援金に関する税務 ~ 東北地方太平洋沖地震をうけて ~

【1】はじめに
国内や海外で天災による災害が続出しています。その被災者に対する義援金や救援金(=海外の被災者を救援する目的で募集するもの)は、法人の場合は「経費」に、個人の場合は確定申告をすることにより「寄附金控除」を受けることもできます。

【2】法人編

法人が義援金等を寄附した場合には、その義援金等が「国又は地方公共団体に対する寄附金」(国等に対する寄附金)や、「指定寄附金」に該当するものであれば、支出額の全額が損金の額に算入されます。

「国等に対する寄附金」や「指定寄附金」って、具体的にどんなもの?
「国等に対する寄附金」の具体例は、次のようなものになります。
  • 国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金等
  • 日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座へ直接寄附した義援金、新聞・放送等の報道機関に対して直接寄附した義援金等で、最終的に国又は地方公共団体に拠出されるもの
  • 社会福祉法人中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための基金」として直接寄附した義援金等
  • 募金団体を経由する国等に対する寄附金
「指定寄附金」の具体例は、次のようなものになります。
  • 社会福祉法人中央共同募金会の「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」(平23.3.15財務省告示第84号)として直接寄附した義援金等

 

【3】個人編
個人の方が義援金等を寄附した場合には、その義援金等が「特定寄附金」に該当するものであれば寄附金控除の対象となります。尚、具体例は法人と同内容になります。

【 税額軽減額の計算式 】
■所得税
[その年中に支出した特定寄附金の合計額※1] - 2,000円 × 所得税率(5~40%)
※1:但し、総所得金額の40%が限度額
■住民税
[その年中に支出した特定寄附金の合計額※2] - 5,000円 × 住民税率(10%)
※2:但し、総所得金額の30%が限度額になります。また、控除の対象となる寄附金については、都道府県・市区町村によって異なりますので、お住まいの市役所等にご確認下さい。

【 具体例 】
■総所得380万円、課税所得300万円、義援金3万円(1年間の総計)の場合
・今年の総所得金額の40%・・・380万円 × 40% = 152万円
・義援金額・・・3万円 < 152万円
・寄附金控除額・・・3万円 - 2,000円 = 2.8万円
・課税所得・・・300万円 - 2.8万円 = 297.2万円
よって所得税還付額は、2.8万円 × 10% = 2,800円
(※課税所得297.2万円は所得税率10%)

義援金等を寄附したら、損金算入(法人)又は寄附金控除(個人)の適用を受けるためにどうすればいいの?
法人の場合
確定申告書の所定箇所に記載の上、義援金等を寄附したことが確認出来る書類を保存する必要があります。

個人の場合
確定申告書の所定箇所に記載の上、義援金等を寄附したことが確認出来る書類を確定申告書に添付するか、提出時に提示する必要があります。

 

“寄附したことが確認出来る書類”って?
例えば、次の書類等が該当します。
・ 県災害対策本部や義援金配分委員会等が発行する受領証
・ 日本赤十字社等が発行する受領証又は募金団体の預り証
・ 郵便振替で支払った場合の半券(受領証)

※その振込口座が義援金の受付専用口座である場合に限ります。
・ 銀行振込で支払った場合の振込票の控え
※その振込口座が義援金の受付専用口座である場合に限ります。

注)郵便振替の半券や銀行の振込票控えの場合は、募金要綱、募金趣意書、新聞報道、募金団体ホームページの写しなど、義援金を振り込んだ口座が義援金の受付専用口座であることが分かる資料を併せて、確定申告書に添付して下さい。法人の寄附者につきましては、資料として保存しておいて下さい。
尚、日本赤十字社の「東北関東大震災義援金」口座、中央共同募金会の「各県の被災者の生活再建のための義援金」及び「地震災害におけるボランティア・NPO活動支援のための募金」口座への寄附金については不要です。

 

「ふるさと納税」を利用すると有利って聞いたけど?
「ふるさと」に貢献したい、「ふるさと」を応援したいという納税者の思いを活かすことを目的に制定された、都道府県・市区町村に対する寄附金制度です。この制度は、ふるさとに限らず任意の県や市区町村に寄附をすると、その寄附金のうち、5千円を超える部分について、住民税所得割の概ね10%を限度として、その寄附した金額のかなりの部分を住民税から控除できるというものです。

注)複雑な制度ですので、詳しくは総務省のホームページをご参照下さい。
http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/080430_2_kojin.html

 

【4】最後に

地球規模で天候異変が起き、災害は増える傾向にあります。当然、義援金や救援金を送金する回数も増えてくるでしょう。寄附金控除を活用して義援金や救援金を送金し、被災者の方々を少しでも励まそうではありませんか。

2011.05/24

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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