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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

雇用促進税制の創設について ~税額控除を受けられます~

【1】はじめに
「平成23年度税制改正法大綱」で示された改正予定項目は、(1)「一部を改正する法律」と、(2)「改正項目とされたため未成立となっている法律案」とに分かれています。 (1)の法律で改正が実施された項目のうち、雇用の維持・促進を図る目的で雇用促進税制が創設されました。これは、雇用者数の増加に応じて税額控除できるもので、事業の規模拡大を検討している企業にとって有効な制度といえます。 しかし、制度の適用には、事業年度開始時と終了時にハローワークへの書類提出等の手続が必要なため、制度適用を検討するには、早めの対処が必要です。 今回は 創設された雇用促進税制について説明します。

【2】雇用促進税制の概要

青色申告書を提出する法人・個人が、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度(個人事業主の場合は、平成24年1月1日から平成26年12月31日までの各暦年)において、一定の要件をすべて満たすときは、基準雇用者数に20万円を乗じた金額を特別税額控除できるものです(限度額あり)。

【3】適用要件

この制度の適用を受けるためには、下記の(ア)から(オ)までの要件を全て満たしていることが必要です。

  1. ア.前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと。
  2. イ.基準雇用者数≧5人(中小企業者等については2人)
    基準雇用者数とは、次の算式により計算した数をいいます。
    基準雇用者数=当期末の雇用者の数―前期末の雇用者の数
  3. ウ.基準雇用者割合≧10%
    基準雇用者割合とは、次の算式により計算した割合をいいます。
    基準雇用者割合=基準雇用者数/前期末の雇用者の数
  4. エ.給与等支給額≧比較給与等支給額
    a.給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される給与等(雇用者に対して支給するものに限られます)の支給額をいいます。
    b.比較給与等支給額とは、次の算式により計算した額をいいます。
    比較給与等支給額=前期の給与等の支給額+(前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%)
  5. オ.「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に定められている風俗営業および性風俗関連特殊営業を営む事業主ではないこと。

(注1)前期とは、当期開始の日前一年以内に開始した各事業年度をいいます。
(注2)(エ)について、前期の月数と当期の月数とが異なる場合には、所要の調整が必要です。
(注3)「雇用者」とは、雇用保険の被保険者に該当する方です。従って、役員は含まれません。

【4】税額控除額の計算

この制度による税額控除額は、次の算式により計算します。

税額控除額=基準雇用者数×20万円
限 度 額=当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額

 

【5】控除を受けるために必要な手続きと確定申告までの流れ

 

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【6】税制を利用するためのポイント

  1. 雇用増の見込みがあり、利益のあがる会社については、雇用増加予定数を記載した雇用促進計画を提出しておきましょう。
    事業年度開始後2ヶ月以内(平成23年4月1日から8月31日までの間に事業年度を開始する法人の場合は平成23年10月31日まで)の提出が必要です。
    (個人事業主の場合は平成24年1月1日からの適用になります。)
  2. 未達でも罰則はありません。
    年度末時点で増員になっても、促進計画を出していなければ適用は受けられません。
    罰則はないので、年度初めにはとりあえず雇用促進計画を出しておきましょう。
  3. 達成状況の確認は早めに。
    事業年度終了後2ヶ月以内に確認を受けることにはなっていますが、相当の日にちを要するため、確定申告に間に合うよう早めに確認を受けることが必要です。

雇用促進計画の作成・確認等については、本社・本店を管轄する労働局又はハローワークへ、税額控除制度については、最寄りの税務署・税理士までお問い合わせください。

 

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2011.10/04

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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