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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

請求書と領収書の記載内容と保存 ─内容は明らかに、大事に保存を─

1.はじめに

企業又は個人事業者が、取引先から受取る書類のひとつとして、請求書と領収書があります。それらは、当事者同士の取引を証明する書類であり、税法では適用するときの根拠書類となります。税法の根拠書類とするには、一定の内容を記載し、一定の期間保存しなければなりません。
では、税法の根拠資料とするためには、どんな内容を書くのか、どれくらいの期間保存すればよいのか、説明します。

2.請求書の記載内容

請求書とは、購入した商品や提供を受けたサービスの対価の請求を受けるときの書類です。
記載内容は、1.相手の事業者名、2.日付、3.請求者の氏名、4.具体的な取引内容、5.取引金額です。
 

【例:株式会社甲(決算期:5月31日)は、塗装業を営む株式会社乙に本社事務所の塗装工事を依頼し、5月15日に工事完了の報告を受け、6月15日に請求書を受け取った】
 


 

★注意点
 

○日付の書き方によって、税務調査で期ずれの指摘を受ける可能性あり
調査官は、決算期をまたぐ取引について、費用を前倒し又は繰延べをしていないか、いわゆる期ずれを確認します。その方法として、請求書の日付を見ます。そのため、請求書の日付を費用が発生した日の5月15日にする事により、期ずれの指摘を受ける可能性が低くなります。
 

○取引事実を具体的に書く
例えば、消費税の仕入税額控除等の適用要件として、帳簿等の書類は、整然と、かつ、明瞭に記録しなければならないとされています。その事から、「事務所塗装工事」の様に具体的に書き、取引内容を第三者でもわかるようにしましょう。
 

3.領収書の記載内容

領収書とは、商品を購入したときやサービスの提供に対して金銭を支払う際に受取る書類です。
記載内容は、1.日付、2.宛名、3.金額、4.但し書き、5.収入印紙、6.発行者です。
 

○記載例
【例:甲株式会社は、丙食堂に10名で食事にいき、食事代金として現金5万円を支払い、領収書を受取りました】
 


 

★注意点
 

○宛名は、上様としない
宛名は上様や空白ではなく、株式会社甲のように正式な名称を書いてもらいましょう。その事により、当事者間(甲と丙)でやりとりした根拠書類になります。
 

○但し書きは、具体的に書く
例えば、法人税の規定で、1名あたり5,000円以下の飲食費を交際費等の範囲から除外する規定があります。この規定の適用を受けるためにも、「10名分飲食代」と具体的に書いてもらいましょう。
 

○収入印紙は、金額に合わせて貼ってあるか確認する
領収書は、印紙税法上課税文章に該当し、領収した金額が5万円以上の場合、金額に応じた収入印紙を貼り、消印する必要があります。印紙が貼付されていないときには、発行側が納付すべき印字税額の3倍、また印紙の消印がなされていないときは、その印紙税相当額が過怠税として徴収されます。
 

4.保存期間

税務調査が入ったとき、根拠資料となる書類の開示を必ず求められます。そのためにも、以下のように、一定の期間は書類を保存しておきましょう。
 

1.法人税法では、帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注)保存することを規定しています。
(注)繰越欠損金の税制改正に伴い、平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度の帳簿書類の保存期間は9年間です。
 

2.消費税法では、課税事業者は、帳簿をその課税期間の申告書の提出期限の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間、事業者の納税地又はその事業に係る事務所等に保存することを規定しています。
 

5.最後に

今回は、税法で規定されている書類の記載内容と注意点、書類の保存期間について説明しました。
国税の裁判で、書類の記載不備や帳簿等の不存在により、仕入税額控除の規定の適用を認めないとした事例もあります。こうした事例もあるので、税法の規定を受けるためには、書類の記載内容は取引事実を明らかにし、一定の期間保存してください。書類の保存方法として紙ベースだけでなく税務署へ届け出することにより、電子データ保存やスキャナデータ保存も可能です。
また、領収書は取引金額によっては収入印紙の貼付と消印が必要です。収入印紙の貼り忘れと消印忘れは過怠税が徴収されるので、御自身が領収書を発行する場合には、ご注意ください。

2017.05/16

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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