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特集記事

業界の動向

消防法改正によるリスクマネジメントでリスク低減と収益アップ

取材:リプロス代表 松尾充泰

消防法改正(平成18年6月1日)により、住宅に火災警報器(火災報知機などを含む)の設置が義務化されたことは、不動産業界に関係する皆さんは既にご承知の事だと思います。
その後、管理会社はどのような対応策をとっているのか気になる業界の動向をレポートします。そこには、リスク低減と収益拡大のチャンスが見えました。


■リスク

1. 住宅用火災警報器の設置猶予期間に間に合わない場合のリスク
猶予期間に設置が間に合わない場合は、作業員を増員するなどして、どうしても、設置しなくてはならず、その場合にコストが増加します。また、万一、設置が遅れている状況のもと火災が発生し、逃げ遅れによる死傷者がでれば、確実に訴えられると考えるので、リスクも増加します。

2.火災警報器の設置は、義務化のためではない

消防法改正によって火災警報器の設置が義務化されましたが、火災警報器を設置することで、火災を初期段階で発見することができ、結果的に物件の被害を最小限に抑えることができる上に、死傷者を出す確率も下がります。こうしたことを賃貸経営の観点から見れば、義務だから設置したというよりも、リスクを軽減する為に設置していると考えるべき。そうすれば、設置したからそれでOK、という発想から、如何にして火災を予防するのかという考えに発展させることができます。つまり、火災警報器の設置に伴い、入居者に火災警報器の定期点検を義務付けるなど、火災予防に繋がる啓蒙活動もできます。

■収益アップ

1.火災警報器の販売
設置を積極的に進めることのできている各管理会社では、まとめ買いをすることで仕入コストを抑え収益性を高める工夫をしています。実際、当社(リプロス)でも、火災警報器を大手量販店よりも格安で販売していますが、まとめて買って頂く場合には、更に特別価格で販売しています。

2.火災警報器の設置作業費用

積極的に火災警報器を設置している各管理会社は、設置する作業費用をオーナーに負担して頂いており、僅かではありますがこれも収益に繋がる、と言います。

取材に基づき、当社が行ったシミュレーションによるとファミリータイプ1室から発生する収益は以下の通りです。

火災警報器1台 6,000円(設置費用含む)×3台(居室2部屋、台所)=18,000円
売上18,000円-仕入原価※1(2,800円×3台)=9,600円
3,000室×9,600円=28,800,000円

※1:仕入原価仕入原価2,800円は、当社が大量購入されるお客様に販売している価格です。通常は、3,300~3,800円が仕入価格かもしれません。

A社のアドバイス

すべての部屋に住宅用火災警報器を設置
住宅用火災警報器の設置義務があるのは、市町村によって違いますが、概ね、寝室と寝室のある階の階段や廊下、台所ということになっています。しかし実際には、居室が複数ある2DKや3DKの場合は、入居者がどの部屋を寝室として使うかはわかりませんし、この部屋を寝室にしてくださいと指定することもできません。また、コンセントがあり家電がある箇所はどこでも失火する可能性があるので、火災予防の観点から考えれば、すべての部屋に住宅用火災警報器の設置が必要です。ただし、すべての部屋に設置するとなると費用負担が嫌で設置の同意を渋るオーナーもいますが、入居者が寝室として使用している部屋に火災警報器が設置されておらず、火災発生時に逃げ遅れて死傷することで訴えられた場合のリスクや入居者の安全を確保することが顧客満足に繋がり、賃貸経営にとっては重要であることを説明すれば、今のところすべてのオーナーが設置に同意してくれています。

B社のアドバイス

火災警報器の交換の目安は8年以上10年未満
火災警報器の交換期限※2は、「最大10年を目途」とされているので、設置から8年を超えて退去した部屋の火災警報器は交換する、ということで予めオーナーの了承を得、交換にかかる手間と交換作業のコストを削減するようにしています。仮に10年を超えてから、交換するとすれば、入居者に入室の許可をとり、入居者の在宅に合わせて交換することになるので、手間と交換作業のコストが増加します。また、10年前後になると電池切れが発生します。そうした場合は、火災警報器の交換を早急にする必要がありますので、これらもコストを増加させる要因と考えています。こうしたコスト増加は結果的にオーナーが負担することになるので、そうなるくらいなら退去の際になるべく交換した方が、交換作業のコストを抑える事になり、その結果、オーナーの出費を抑えることにもつながります。

※2:交換期限平成17年1月25日に消防庁防火安全室長が各都道府県の消防防災主管部長に出した『住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令の公布について』の運用上の留意事項に以下のように記載されています。住宅用防災警報器等の交換期限は、出荷時等を起点として最大10年を目途として「年月」を明示するものであること。

詳細・関連

●消防庁のホームページ
http://www.fdma.go.jp/
●消防法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO186.html
●火災警報器販売サイト(リプロスストア)
http://www.repros.jp/shop/

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