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不動産・コンサルタント倉橋隆行先生の不動産投資ノウハウ

間違いだらけの賃貸管理

管理が杜撰(ずさん)なサブリース会社

 よく建築会社や地元の工務店などが家賃保証をしているケースがあります。

 要するに、自社の建てた賃貸住宅物件をサブリースにしているわけですが、言い方を換えれば、サブリースを条件に建築営業を行なっているわけです。

 サブリースは、賃貸物件を所有したオーナーにとって賃料が確定し安定した収入が入ってくるという大きなメリットがあります。

 しかし、管理ノウハウを持っていない建築会社等が(サブリース会社となって)貸主となるわけですから、管理はすべて管理会社に委ね、いわば他社任せとなります。

 それではどうしても、建物の劣化への対応や入居者管理が杜撰(ずさん)になりやすく、実際、そうしたオーナーさん本位の管理をおろそかにしているサブリース会社が目立つようになっています。

事例

 ハウスメーカーに10年間サブリースしていたアパートオーナーさんからの相談案件でした。

 そのオーナーさんは、この物件の建築施工から管理までをすべてそのハウスメーカーに任せていました。ところが、オーナーさんは10年経ったのを機に、自分の建物がどうなっているのかを見にいったところ、室内の壁紙が適当に貼られ、破損部分も補修されていないなど、原状回復がでたらめだったのに驚かされたというのです。

 また、ハウスメーカーはサブリースという貸主の立場で、オーナーさんに断わらずに賃料半額のキャンペーンをやったりしていました。しかし、市場を踏まえた入居促進の努力を怠っているので、いつしか空室が目立つようになり、保証している賃料より安くなっていました。

 それが慢性化してきたので、ハウスメーカーはオーナーさんに20%の保証賃料の値下げを求めてきたというわけです。

 それに対し、オーナーさんは、杜撰(ずさん)な建物管理のこともあり、怒って、ハウスメーカーとのサブリース契約を破棄し、とりあえず自主管理に切り換えました。

 しかし、入居者募集をかけても空室は埋まりませんでした。さきほど述べたように、退居時の原状回復がきちんとされていなかったことが大きな要因で、相談を受けた時点では、すべての部屋を改修しなければなりませんでした。

 それに加え、既存入居者についても、ハウスメーカーが委託していた管理会社が甘い入居審査で募集をしていたので、不当な入居者が多いことが分りました。そんな手におえない状況になって、当社へ相談に来たわけです。

 当社はこうしたオーナーさんの悩みを解決するノウハウをもっていますので、早急に対応し、不当な入居者に対しては法的手段を用いて退去してもらい、部屋の内装もきちんと改修して、今度は当社のネットワークで入居者募集をかけたところ、適正な相場賃料で空室を埋めることができました。

 この事例のポイントは、サブリースといっても管理会社次第で、オーナーさんにとってプラスばかりではないということです。

事例

 もう一つ、サブリースに関する事例を紹介します。サブリースをしている建築会社がオーナーさんに不当に高い建築金額を請求し、なおかつ、入居者に対しても相場に合わない高い賃料を設定しているというのです。

 それでも、素人のオーナーさんは騙されて契約してしまうようです。そのオーナーさんから相談を受けた案件です。

 その物件は、最寄り駅からバス便、しかも山の上のような場所でアパートでも経営が難しいと思えるところに建つワンルームマンションでした。

 それで、オーナーさんが持参した見積書を見せてもらったところ、通常坪単価60万円位で施工できるマンションが坪100万円を超えた見積となっていました。

 それに加え、いろいろな備品も買わされ、設備投資も通常の倍以上のコストとなっていました。

 もう一方の問題、サブリースの賃料はどうかというと、われわれ専門家が判断しても相場より20%高く設定されていました。悪い立地条件にこれでは、どう考えても集客できません。

 さらにオーナーさんにサブリース契約の内容を聞いてみると、当初、10年とか20年とかうたってあったのにもかかわらず、3年も経たないうち賃料の値下げ交渉があったといいます。

 契約書で詳しく確認すると、賃料の値下げおよび値上げはいつでもできるというように記載されていました。

 最終的に、サブリースによる賃料収入が銀行へのローン返済額を下回ったために、そのマンションを手放さざるを得なくなったわけです。

 結局、当社がそのワンルームマンションを引き受けることになりました。

 その処分にしても、結果的に、抵当権抹消の資金が足りないため、他の資産まで売却しなければなりませんでした。というわけで、これは賃料設定などサブリース事業における計画の失敗例の見本みたいなものでした。

 

 サブリース物件に限らず、賃料を決める上で忘れてならないことは「借主は、いつも賃料の相場をみて物件を探している」ということ、つまり相場です。

 供給サイドのA社とB社の力関係で賃料が決まるわけではありません。

 ですから、当初の相場より20%高い賃料で事業計画をスタートしても大丈夫といった上手い話は世の中にあるはずはないので、そのサブリース会社は、はじめからオーナーさんを騙し、高いコストの建物を建てさせることが第一の目的であったということが考えられます。

 当社がオーナーさんのために賃貸住宅の新築プランを立てる場合、他社とは異なり、建物の価格査定は築5年にして計算します。なぜ、新築なのに“築5年”と思われるかもしれませんが、新築のプレミアムは将来の補修費用や外壁塗り替え代、メンテナンスコスト等にとっておくのです。これがオーナーさん本位の賃貸経営の事業計画だと確信しているからです。

 

 ほかにも、サブリース事業を行なう会社には問題点が残っています。

 空室のリスクは全面的にそのサブリース会社が背負いこむので、空室は即、会社の損失につながります。そのリスクを避けるため、何がなんでも早く空いている部屋を埋めようと、入居審査を甘くし、なおかつオーナーさんの意向にあわない「ペット可」とか「外国人居住可」とかを掲げて入居促進をはかろうとするわけです。

 それでは、オーナーさんはどんな人を入れられるのか分りません。こうした事業経営の仕方は、当社のように不動産投資を専門とする管理会社から判断すれば、ただ賃貸住宅の資産価値を下げるだけです。そして、建物の資産価値が減少した分、結果的にはオーナーさんの負担が増えることになります。

 というわけで、オーナーさんはサブリースにしたといえども、自分が所有する建物ですから、常にどのように管理されているのか目を光らせておく必要があります。

2006.07/11

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倉橋隆行 (くらはしたかゆき)
1958年9月25日生
96年に(社)全国賃貸住宅経営協会横浜南部支部支部長に就任し、翌年、同協会の神奈川連合会の創設に伴い副会長に就任。98年、不動産業界に関するシンクタンクである不動産体系研究所創設に伴い、取締役所長に就任。99年、総合的な月貸し賃貸の運用会社である(株)月極倶楽部を創立、代表取締役に就任。同時に(株)三春情報センターを退職。そして、資産運用管理会社である(株)CFネッツを創立し、代表取締役に就任。2001年、2002年JREM国際CPM協会副会長就任。2003年4月、IREM(全米不動産管理協会)より、CPM(公認不動産管理士サーティファイド・プロパティマネージャー)の称号を日本で初めての公式試験受験による取得者となる。現在、グループ企業4社の代表取締役と取締役、その他公益法人の役職をこなし、超多忙な仕事をこなしている。
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