8~10%の利回りがあればいいとは限らない まずNOI(年間の手取りの賃料収入)を正確に推測しよう
不動産から得られる年間の手取りの賃料収入(これをNOI=Net Operating Incomeといいます)を推測することから始めます。
賃貸経営にもランニングコストがかかります。
毎月の管理費、修繕積立金、不動産運営管理会社への手数料などのランニングコストを年間の賃料収入から引いたものがNOIということです。
このNOIを不動産の取得額で割って100を掛けた数字が実質投資利回りとなります。
ここで注意することがいくつかあります。
まず、家賃が確定したものなのか、予定(潜在賃料)なのかです。
すでに賃貸中の中古物件なら家賃は確定しているわけですが、新築の場合は想定賃料にすぎません。
7万円で募集したけれど、実際には6万5000円になってしまった、なんていうこともよくあります。
空室損も見込んでおかなければなりません。
入居者は一生そこに住んでいるわけではないので、次の入居者が決まるまで賃料収入はありません。
この空室損を最低でも年間の賃料収入の5%は見積もっておくべきです。
また、不動産取得の際には不動産取得税、仲介手数料、契約書にはる印紙税、登記のための登録免許税、司法書士報酬、火災保険などの費用がかかりますから、これらは不動産の取得価格に織り込んでおかなければなりません。
さらに、ローンを組んだ場合は返済金もランニングコストです。
ただし、賃料収入に対するローンの返済額の割合は慎重に考慮しましょう。
この実質投資利回りですが、通常、マンション投資の本などでは、8~10%あれば投資してよいというようなことが書かれていますが、それは一般論としてはまちがってはいませんが、一概にすべての場合にあてはまるとは言い切れません。
投資判断には、3つのポイントがあります。それは1実質投資利回り、2ローン条件(融資比率、金利、返済期間)、3売却額です。いくら利回りがよくても、ローンを組むときに、たとえば物件の築年数がたっているので、長期の返済期間で金融機関が融資してくれないことがあります。
すると、ローンの返済額が多額になりますので、キャッシュフローが悪いということがあります。
また、利回りがそこそこあっても、物件の市場価値(売却額)が保有期間中に下落していれば、それは実は大きな含み損を抱えたまま賃貸運営をしていることになります。
売却価格を考慮すれば最終的な利回りはマイナスであることもあります。
世にあるいわゆる「投資本」にはこの視点が欠けています。
皆さんは、本書でしっかりとこの概念を学んでいただきたいと思います。
記事提供:主婦の友社
「200万円からはじめるマンション投資術 」
藤澤雅義 著 定価:1,575円
http://www.shufunotomo.co.jp/