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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

年末調整業務の電子化について

1.はじめに

 今年も年末調整の時期が近づいてまいりました。令和2年の年末調整から新たに「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の用紙が加わり、制度がより複雑になった印象があるのではないでしょうか。
 今回は制度の複雑化を解消すべく、年末調整の電子化について説明したいと思います。

2.年末調整の概要

(1) 年末調整とは

 年末調整とは、源泉徴収された税額の年間の合計額と、年税額を一致させる精算の手続です。
 年末調整の対象となっているのは、原則として、勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している人ですが、給与の収入金額が2,000万円を超える人など、一定の人は年末調整の対象とはなりません。
 この精算の手続をするためには、「扶養控除等申告書」のほか、「基礎控除申告書」、「配偶者控除等申告書」、「所得金額調整控除申告書」、「保険料控除申告書」又は「住宅借入金等特別控除申告書」を勤務先に提出する必要があります。

(2) 従来の年末調整手続

1.従業員(給与等の支払を受ける方)が、保険会社、金融機関、税務署等から控除証明書等を書面(ハガキ等)で受領
2.従業員が、保険料控除申告書又は住宅ローン控除申告書に、1で受領した書面(ハガキ等)に記載された内容を転記の上、控除額を計算し記入
3.従業員が保険料控除申告書及び住宅ローン控除申告書など、年末調整の際に作成する各種申告書(以下「年末調整申告書」といいます。)を作成し、控除証明書等とともに勤務先(給与等の支払者)に提出
4.勤務先が提出された年末調整申告書に記載された控除額の検算、控除証明書等の確認を行った上で、年税額を計算
以上のような流れで進められていました。

3.年末調整業務の電子化について

(1) 実施方法の検討

年末調整手続きの電子化に向けては
・どこまで電子化するか(完全電子化か、まずは一部のみ電子化するか)
・電子化に当たり、どのシステムを利用するか(国税庁の年末調整ソフトか、民間の年末調整システムか)
・従業員が年末調整の書類を作成するのに、勤務先のPC等を利用するのか、各自のPC、スマートフォンを利用するかなどをまず決めていきます。

(2) 完全電子化と一部電子化

 完全電子化とは、これまで紙ベースで行ってきた2-(2)の手続、1.控除証明書等の取得、2.従業員による年末調整申告書の作成、3.勤務先への提出、4.勤務先によるデータ入力を全て電子化し、年末調整手続を簡素化しようとするものです。
 これに対し、一部電子化とは、上記1から4の手続のうちの一部を電子化するものです。
完全電子化した場合、年末調整はこのように変わります。

(3) 一部電子化の導入

 今回は、従業員がハガキで控除証明書を受領し年末調整申告書を年調ソフトで作成する方法をご案内します。

公式アプリストアからの入手

 スマートフォンやご自宅(またはオフィス)のパソコンで年末調整申告書を作成することが可能で、質問形式での入力補助など紙での直接記入よりわかりやすい作りとなっています。
 作成後は、事業主に電子メールで提出または印刷して紙で提出することになります。
 なお、「年調ソフト」から出力した年末調整申告書は、国税庁ホームページに掲載されている扶養控除申告書などの様式と異なりますが、法令上問題はありません。

4.最後に

 年末調整の完全電子化は、各種控除証明書と紐づけされるマイナンバーの普及とともにスタンダードになっていくことが予想されます。
 完全電子化が実現すれば業務の効率が大幅に改善し、給与担当者の年末行事が1つ減るぐらいのインパクトがありますが、年末調整電子化の流れは近年始まったばかりであり導入に向けてまだまだ高いハードルがあります。
今回は少しでも年末調整業務の負担を減らしていただくため、国税庁の年調ソフトを紹介させていただきました。

2021.11/16

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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