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特集記事

イベントレポート

賃貸仲介料ゼロ時代からの賃貸管理業の累積経営

主催:全国賃貸管理ビジネス協会 関西支部

講師:
株式会社三好不動産
代表取締役社長
三好修氏

 去る5月19日(木)、全国賃貸管理ビジネス協会 関西支部が主催するセミナー「賃貸仲介料ゼロの時代からの賃貸管理業の累積経営」が開催されました。フローからストックの時代へ・・・業界のこれからを、多彩な戦略と独自の経営ノウハウで躍進される、九州の雄・三好修氏が鋭く分析。リプロス編集部の特別取材でこのセミナー内容の一部をご紹介します。

「貸してやる」から「借りていただく」の時代へ
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 戦後、昭和20年以降の我が国の人口と住宅構造の推移を見てみますと、昭和20年に7000万人だった人口が、50年後の平成7年には1億2000万人と、50年間で5000万増。実に毎年100万人の人口増で推移してきたことがわかります。こうした急激な人口の増加をスラムを一つも作ることなく吸収しきった奇跡は、偏に戦後の都市開発政策の素晴らしさと言えます。しかしながら、逆に今後50年間は、俗にいう少子化問題などを背景に、人口が3~5000万人も減ると予想される時代。戦後型の都市開発政策で、相変わらず土地とハコの供給を増やしていけば、失敗するのは当然と言えるわけですね。 こうした時代背景に加え、東京ルールに代表される原状回復問題や、大手賃貸仲介業者などが積極的に掲げる、“仲介料0敷金0戦略”を踏まえて見た時、昔ながらの天道説的な発想・・・いわゆる「貸主中心の時代」は明らかに終わりを告げていると言えるでしょう。つまり、オーナー様をはじめ、我々仲介業者には非常に厳しい時代と言えなくもないのですが、だからと言って、ただ戦々恐々としているわけにもいきません。時代の性質を見極め、お客様の声に耳を傾ける柔軟な発想・・・これこそが、今もっとも必要な事由の一つと言えるのではないでしょうか。

 

弱体化していた三好不動産の営業力~強化への第一歩

 具体的な対策として、我が社がまず最初に取り組んだことは、「仲介料0よりもお得」と感じていただけるサービスの追及です。他の業者ではなく、三好不動産を通すことで得をした・・・と感じていただけるような付加価値の創造。
ご承知のとおり、業績=手数料+広告料+関連売上という図式が成り立つわけですが、三好不動産の場合は、もっとも大きな問題が営業力の低下でした。これを補うために施したのが、 (1)管理物件中心の営業 (2)業者サービス課設立による他業者への問い合わせの一本化、そして、(3)物件力向上のための明確な目標設定です。1店舗1000件の物件登録を目標とし、断固としてこれを死守する。出来るだけたくさんの物件を持つことが営業力を補う近道・・・引いては成功への一つの鍵になる。そうした意識の現れでした。

 

フローからストックの時代へ
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 地道な物件数強化を推し量ってきた甲斐あって、お陰様で平成16年には当社賃貸管理物件戸数は23,500を越すに至りました。現在、三好不動産の手数料収入には、(1)売買手数料、(2)賃貸仲介手数料、(3)コンサルタント料、(4)管理料、(5)リフォーム料、(6)サービス手数料、(7)建築企画料、(8)その他手数料の8種がありますが、まさに管理物件こそが、三好不動産の事業基盤と言えるまでになったと思います。また現在、1物件あたり管理料5%、周辺業務2.5%の手数料を頂戴しているのですが、これに付加価値を+1%加えることが当面の目標でもあります。例えば、賃料が安ければ当然管理料も下がるわけで、我々管理業を営む者は非常に苦しいことになるわけですが、これに周辺業務の手数料があった場合は、お客様の安心感を深めれば深める程に手数料が増えていくことになります。基本的な仲介手数料や管理料だけではなく、こうした周辺に目を向けて行くこともこれからの時代には特に必要なことだと考えます。

 

リノベーションという発想

 ご承知のとおり、賃貸住宅を長期間、安定して経営していくためには様々な作業が必要になります。いわゆる保守・管理ですが、現在、当社が特に力を入れているのが、リノベーションという考え方です。 (1)メンテナンス ・・・価値の低下速度を弱める作業(維持) (2)リフォーム  ・・・建物の完成時に回復させる行為(補修) (3)リノベーション・・・完成時の価値を上回る価値を創造する

 

 経年とともに時代に合わなくなった機能や性能を、時代の変化に合わせて、新築時の機能・性能以上に向上させる…。つまり、新築時以上の価値を引き出す=「価値を高める」ということ。これにより、長期修繕計画とバリューアップのご提案をまとめて行うことが出来、お客様のニーズを的確に捉えることが可能となります。
 

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不動産業は金融サービス業へ

 私ども三好不動産が、物件数の向上と平行して特に注力したものの一つに、外交戦略・・・つまり、企業としてのPR活動があります。一般的には広告戦略ということになるのでしょうが、当社ではほとんど広告には頼りません。ではどうやって名前を売るのか・・それが当社の場合は、三好塾を中心としたセミナーの積極的な開催につながっていきました。

 三好塾には当社に管理を任せていただいている家主様に限らず、当社が管理をしていない家主様・地主様へもご案内をし、ご参加いただいております。家主様にとって有益な情報をご提供する三好塾を月に一回開催するなかで、セミナーを通じてご相談を受けることがしばしばあります。

  そうした意味においては、広告費に無駄なコストを掛けずとも、よりダイレクトに、より効果的なPR活動が可能でした。

 さらに、こうした様々なオーナーの方々と意見を交換しあう中には新たな発見もありました。それが「不動産業」という一つの枠にとらわれない事業の多角化です。そもそも資産とは何か?という観点で考えてみた時、不動産だけにこだわる必要など全くないのですね。資産には現金や証券、生命保険といった様々なものがあります。不動産という大きな資産を預けてくださるお客様へ、三好不動産として更に一歩進んだご提案が出来ないか。証券会社や保険会社と提携することで、より深いサービスをご提供させていただけるのではないのか。

 こうした発想の転換は、当社を不動産業から金融サービス業へと意識転換させてくれました。賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介の三本柱に加え、個人様や法人様の所有地の最有効利用について、企画・運営・管理、そして金融等のご提案までをトータルに行う、不動産コンサルティングという四本目の柱を持ったことで可能性はどんどん拡がっていきます。時代を見極めるということは決して簡単なことではありませんが、我々の業界にも、大きな時代の変革期が訪れていることは紛れもない事実です。私は日々、その中に見え隠れするビジネスチャンスを逃さぬよう啓蒙していきたいと考えます。

 

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詳細・関連

三好修プロフィール

昭和30年生まれ
昭和52年 積水ハウス株式会社入社
昭和55年 株式会社三好不動産入社
平成10年 株式会社三好不動産 代表取締役社長就任
財団法人 日本賃貸住宅管理協会 理事 兼 九州支部長
社団法人 全国賃貸住宅経営協会 副会長 兼 福岡県支部長
NPO法人 九州定期借地借家権推進機構 理事長
全国賃貸管理ビジネス協会 理事

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