青色事業専従者給与の未払については、最近税務調査でしつこく指摘されています。まだ指摘されていない方もおありになるかと思いますので、留意していただきたいと思いましてご紹介いたします。
事業的規模とは?
事業的規模で個人が事業を行い、その個人の生計を一にする(簡単に言えば財布が一つということです)妻や子などに給与を支給するような場合には、青色申告の届出をしている場合には、青色事業専従者給与として必要経費に算入できることとなっています。事業的規模については、例えばアパートとかマンション経営をしておられる方にとっては、5棟10室基準があります。すなわち、事業的な規模と言えるためには、アパートを5棟持っている、あるいはアパートを全部で10室持っているというような方が、事業的な規模と言えます。例えばアパートをお一人で9室しか持っておられなければ、それは青色事業専従者給与を支給することができません。すなわち、10室以上持っておられる方について、この青色事業専従者給与が認められます。
源泉税の納期の特例
源泉税は一般的に、源泉のつど、源泉した翌月の10日までに納付すべきこととされています。しかし、源泉する方の人数が10人以下の場合には、申請をすることにより、「源泉税の納期の特例」が認められることになります。これは例えば、1月から6月までの源泉税を7月10日にまとめて納付することができるというものであり、この特例を利用されている方も多いと思います。
奥様に対する専従者給与を未払にしたら?
例えばアパートマンションをご主人の名義で建てておられて、奥様が専従者給与をもらっておられるというような場合ですが、アパートに空室が多くなったり、あるいは修繕にたくさんお金がかかったりというようなことも、最近は増えてきています。そのような時に、源泉税だけを一旦は納めておいて、専従者給与の全額を経費に算入されている方もあるようですが、青色事業専従者給与は、現実に給与を支給したものでなければ必要経費に算入できません。
どうしてもお金が不足するような場合には、未払いで源泉税だけ払うというケースが出てくるということもあると聞いていますが、そのような場合は、税務調査で最近は指摘を受け、否認をされています。というのは、専従者給与は、現実に給与を支給したものでなければ必要経費に算入できないからです。
未払にした場合に、その未払になった経緯に相当の理由があり、かつ短期間に現実の支払が行われているような場合(例えば月末払いの専従者給与を月末の資金繰りの関係で翌月の10日に支払った等の場合)を除いて、専従者給与を必要経費に算入することはできないとされています。
奥様に一旦は専従者給与を払い、奥様から借り入れたら?
そうしましたら、一旦は奥様に専従者給与として支払って、その後直ちに事業資金として借り入れるというようなことを実際にした場合に、その場合は、専従者給与として損金算入が認められますか?ということが問題となります。この場合は、事実認定の問題ですが、親族間においての金銭の貸借について返済期限を定め、利率等をきっちりと定め、その返済期限通り返していたり、利息についてもきっちりと支払っている。また、利息を受け取ったご主人の方で雑所得で申告しているというようなことがきっちりとなされているのであれば、それは給与の支払いがあったということを抗弁できると思われます。
結論
一般的には、預金口座を通して必ずご主人の預金口座から同額を引き出して、奥様の預金口座に同額を同日付で入金してもらうというようなことを癖付けしていただけるということが必要だと思います。この辺りのことにつきまして、またご質問がありましたら、具体的にご質問いただければ、ご一緒に考えさせて頂きたいと思います。