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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

土地等および建物等の譲渡損失と他の所得との損益通算および繰越控除廃止!?

 平成16年度の税制改正大綱が発表され、個人の土地等および建物等の譲渡損失と他の所得との損益通算および繰越控除が、禁止されることになりそうです。
平成15年度までは、不動産を売却し、売却損が生じた場合には、その売却損は、他の所得と相殺できました。

損益通算および繰越控除禁止!
 例えば収益用物件を保有しており、その物件を売却して売却損が三千万円生じたと仮定します。その売却した年の事業所得、不動産所得、あるいは給与所得の合計が千五百万円であったとした場合に、売却損三千万円と、このプラスの千五百万円と相殺することができました。
 しかし、平成16年度からはこれが改正されそうです。さきほどの不動産を売った損失は、他の不動産の売却による利益としか相殺が認められなくなりそうなのです。
 このケースのように事業所得、不動産所得、給与所得等で千五百万円あったとしても、不動産の売却損の三千万円を相殺することができなくなるということです。これは大変な増税となります。
また、平成15年度まではこの不動産の売却損の三千万円とプラスの所得の千五百万円を相殺してそののち、なお、相殺できずに残った損千五百万円については、青色申告者であれば、翌年以降3年間その損失を繰り越すことができました。
 したがって、翌年以降の給与所得とか、事業所得、不動産所得などと、相殺することができたのです。
 つまり、平成15年度までは、値下がりした不動産を処分することにより、その処分した年度と翌年以降3年間、すなわち、合計4年間についての所得税ならびに住民税の減額を考慮することができました。バブルの時に高い投資をしたけれど税金が4年間助かるから、まぁいいかというような実質的に減税額をも加味してキャッシュフロー計画を立てるケースも多かったわけです。

  平成16年度から 平成15年度まで
マイホームを譲渡した場合で、
他の要件を満足する場合
一定の要件のもとで損益通算および繰越控除可能 一定の要件のもとで損益
通算および繰越控除可能
上記以外の場合 不動産の譲渡益との通算は可能だが、繰越控除は
できない


 しかし、このたびの改正が可決されれば平成16年度以後に売却した場合には、その売却年の翌年以降の繰越は認められなくなります。つまり、当年度に不動産の売却益と相殺しきれなかった不動産の売却損は、切り捨てられることとなるのです。(なお、マイホームの売却損についてだけは別途手当てが設けられています)
 そうなれば、自宅以外に不動産を所有しており、その不動産を売却して、多額の損失が生じる場合には、何らかの対策を考えなければなりません。

可能なら、相続対策を実施することにより売却損の切り捨て防止を!

 すなわち、バブル時に購入した、収益用物件を売却して三千万円の損が出る場合を考えてみましょう。この三千万円の損を繰り越すことができない、また給与所得、事業所得、不動産所得等と相殺できないということになりましたら、この損の見合として三千万円の売却益を計上できないか、と考えたわけです。
 すなわち、相続対策が必要なお客様にとっては、後々の世までも第三者に売却せずに次の世代に引き継いでいきたいと考える土地があると思います。そのような土地を不動産保有法人、あるいは、不動産管理法人(子供や孫がその法人の持分のほとんどを有している)にその不動産を移すのです。当然、そのような土地は先祖代々の保有土地ですから、取得原価は非常に安く、法人に譲渡しましたら、多額の益が出ます。この不動産の売却益と不動産の売却損は相殺できますので、この損がたつときに益をたてて、ずっと将来にわたり次の世代の人に持ち続けてほしい不動産を、子供や孫が出資者となっている法人に移転するという方法です。相続対策を実施することにより、売却損の切り捨てを防いでいこうということです。

2005.01/18

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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