個人事業者に相続が発生した場合においては、通常の確定申告と異なる取扱いが少なくありません。
特に届出書や申請書については、その提出期限が細かく規定されていますので、注意が必要です。
■開業の届け出
相続人が被相続人の事業を承継して新たに事業を開始した場合には、「個人事業の開廃業届出書」を事業開始の日から1ヶ月以内に所轄税務署長に提出しなければなりません。
■青色申告承認申請
被相続人が青色申告をしていた場合であっても、その効果は相続人に及ばないため、相続人が被相続人の事業を承継して新たに事業を開始した場合には、「青色申告承認申請書」を提出しなければ、青色申告をすることはできません。
この場合に重要になるのが、青色申告承認申請書の提出期限です。
下記の表は、相続があった場合の青色申告承認申請書の提出期限をまとめたものです。
1相続人が事業を行なっていなかった(新規開業)場合
相続人がこれまで事業を行なっておらず、相続により被相続人の事業を承継した場合には、被相続人が白色申告であったか、青色申告であったかが一つのポイントになります。
2相続人が既に事業を行なっており、白色申告であった場合
相続人が、相続開始時点で既に事業を行なっており、かつ、白色申告であった場合には、相続開始日が提出期限のポイントになります。つまり、相続開始日が1月1日から3月15日の場合には、提出期限はその年3月15日になります。相続開始日が3月16日から12月31日の場合には、その年における申請期限(3月15日)が既に経過しているので、その年は青色申告の適用を受けることができません。このように、相続人が白色申告の場合には、被相続人が白色申告か青色申告であるかは、提出期限に影響しないことになります。
◆青色承認申請書の提出期限
対象者・申告状況等 | 相続開始日・青色承認申請書提出期限 | |||||
被相続人 | 相続人 | 1/1~1/15 | 1/16~3/15 | 3/16~8/31 | 9/1~10/31 | 11/1~12/31 |
白色申告 | 白色申告 | 3/15 | 相続開始年適用なし | |||
白色申告 | 新規開業 | 3/15 | 相続開始日から2ヶ月以内 | |||
青色申告 | 白色申告 | 3/15 | 相続開始年適用なし | |||
青色申告 | 新規開業 | 相続開始日から4ヶ月以内 | 12/31 | 翌年2/15 |