今回は、新設された所得税法における「住宅耐震改修特別控除と「地震保険料控除」についてご説明します。
「住宅耐震改修特別控除」制度の概要
平成18年度税制改正において、「既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除」が創設されました。 本制度の概要は、居住者が、平成18年度4月1日から平成20年12月31日までの間に、一定の計画区域内において、その者の居住する家屋(昭和56年5月31日以前に建築された、一定のものに限ります)の一定の耐震改修をした場合には、その者のその年分の所得税の額から、当該住宅耐震改修に要した費用の額の10%相当額(最高20万円)を控除することとされました。
左記の「一定の計画区域」とは、次に掲げる計画に定められた区域をいいます。
1地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法に規定する地域住宅計画(住宅の耐震改修のための一定の事業を定めたものに限ります)
2建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定する都道府県耐震改修促進計画(住宅の耐震のための一定の事業を定めたものに限ります)
3住宅耐震改修促進計画(地方公共団体が地震に対する地域の安全を確保する見地から独自に定める計画で住宅の耐震改修のための一定の事業をさだめたものをいいいます。
「住宅耐震改修特別控除」の手続
確定申告で還付を受けられる人は主に次のようなケースに当てはまる場合です。
本制度の税額控除の適用を受ける手続きとしては、「住宅耐震改修特別控除の計算明細書」で計算をし、確定申告書の住宅耐震改修特別控除の欄にその控除金額を記載します。
なお、この住宅耐震改修特別控除を受けるにあたっては、「住宅耐震改修特別控除の計算明細書」、「住宅耐震改修証明書」、「住民票の写し」を確定申告書に添付する必要があります。
「住宅耐震改修特別控除」制度の適用について
1「住宅耐震改修証明書」は対象物件について地方公共団体(市町村)に申請することにより、地方公共団体の長から発行されます。なおその証明書には「住宅耐震改修に要した費用の額」も証明されます。
2住宅耐震改修特別控除の適用年度は耐震改修が完了した日の年分となります。
3確定申告書に添付する「住民票の写し」の住所は、この控除の規定の適用を受ける家屋の所在地の住所と同じである必要があります。
4すでに住宅借入金等特別控除の適用を受けている場合についても、それぞれの適用要件を満たしていれば、控除を受けることが可能です。
地震保険料控除の創設と損害保険料控除の廃止
平成19年1月から「地震保険料控除」が創設されました。
この「地震保険料控除」とは、本人や生計を一にする親族の有する居住用家屋等を保険の目的とし、かつ地震等を直接または間接の原因とする火災等による損害により生じた損失の額を補填する保険料等が支払われる地震保険料等を支払った場合には、その支払った金額の合計額(最高5万円)を総所得金額から控除することができます。
なお、この「地震保険料控除」は平成19年分の所得税から適用されます。
また現行の火災保険・損害保険等の損害保険料控除は平成18年12月末をもって廃止となります(ただし平成18年12月末以前始期の保険期間10年以上の満期返礼金がある積立型保険契約等は、一定の場合を除き従前の損害保険料控除が適用されます)。
忘れた頃に…
日本は、世界で有数の地震大国であり、今後いつどこで巨大地震が発生してもおかしくはありません。 阪神・淡路大震災がおこってから12年になりますが、地震は忘れた頃にやってきます。
この住宅耐震改修特別控除は、住宅借入金等特別控除の適用を受けている場合についても、それぞれの適用要件を満たしていれば、重ねて控除を受けることができます。
これらの制度の創設を期に自宅の耐震改修をして住宅耐震改修特別控除や地震保険に加入して地震保険控除を受けてみられてはいかがでしょうか。