はじめに
年末調整では行なわれないのが医療費控除。そのため、見過ごしている方もおありです。今回・次回は医療費控除についてのお話です。
医療費控除とは
下表をご覧ください。※のように一定の足切り金額があります。
例えば、公的年金の収入が200万円の方
(65歳以上)の所得金額は80万円ですから、
80万円×5%=4万円が足切り金額となり、4万円を超える医療費の支払があれば、医療費控除が使えることになります。
また、足切り金額の上限は10万円です。それを超える医療費を支払った場合は、必ず控除対象になります。
家族とは?
『家族』と最初に簡単に書きましたが、「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族」が法律の難解な文言です。
では、『生計を一にする』とはどういうことでしょうか?
同じ家屋で暮らしている親族は、明らかにお互いに独立した生活をしている場合を除き、「生計を一にする」と認められます。例えば、食費や家賃・光熱費などの家計が一緒であれば「生計を一にする」ことになります。つまり、同居していれば、大概「生計を一にする」になります。
同居していない場合でも、常に生活費・学資などの仕送りがされており、その仕送りで親族の方が生活を維持しているときは「生計を一にする」ことになります。仕送りで生活している下宿暮らしの子供や、故郷に住んでいる親が子供の仕送りで生活している場合も「生計を一にする」になります。
気をつけたいのは、この「生計を一にする」の判断においては、扶助されている親族の所得の多少は問わないことです。生活維持のお金を誰が負担しているかの実態で判断します。ここが、対象者の所得要件(38万円)がある配偶者控除や扶養控除との大きな違いです。
なお、親族とは6親等内の血族および3親等内の姻族をいい、想像以上に広い範囲です。
医療費の範囲
次回のノウハウをお待ちください。
支払った時?
控除の対象となる医療費は、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払いがあったものに限ります。従って、請求書が例えその年の10月のものであっても、支払をその翌年の1月にした場合は対象になりません。多額の医療費を分割して払っているときは実際支払った金額だけ、また、治療が年をまたぐときでもその年内に支払った金額は控除の対象となります。
ただし、クレジットカード支払いの場合、そのカードを使ったときが支払日で、口座引落し日ではありません。
領収書がない!
医療費控除を受けるには、原則領収書が必要になります(健保組合等の「医療費のお知らせ」は使えません)。ですから、領収書は大切に保管してください。
万一、領収書をなくした場合、診察券や家計簿などで支払先・支払金額の特定をすることになります。
また、病院までの電車・バス代などは領収書が普通ないわけですが、この場合、日付・金額等のメモで対応します。診察券などで日付が確認できれば万全です。
いずれにしても、税務署にきちんと説明できることが必要ですから、税務署に確認をしてみてください。
どんな手続を
医療費控除を受けるためには、税務署に医療費の領収書等を添付した申告書を翌年の3月15日までに提出することが必要になります。
最後に
スペースの都合上、かなり簡単なご案内になりましたが、家族の範囲など判断に迷ったときは、税務署や税理士などの専門家に相談することをお勧めします。