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特集記事

イベントレポート

21世紀型不動産業の展望「空室対策とバリューアップ」 リスクマネージメントとコンサルティング

主催:(財)日本賃貸住宅管理協会 兵庫県支部

講師:(株)リアルタイムズジャパン
(株)ワンダーライフ
代表取締役 千葉祐大 氏

 去る12月17日に、日本賃貸住宅管理協会 兵庫県支部によるセミナー『21世紀型不動産業の展望「空室対策とバリューアップ」リスクマネージメントとコンサルティング』が行われました。内容の一部を抜粋して、以下に掲載致します。

住宅事情と時代背景
 はじめに、今の賃貸住宅事情と時代背景をご説明します。
 残念ながら物件は供給過多になり、かなりの数が余っている状態です。その状態で客付けを行うには、
・直営の仲介店舗があっても、他仲介業者にも情報を出す
・物件データは白黒のFAXではなく、写真付のカラーで用意する
・ライバル物件には無い付加価値を用意する
など、客付けの間口を広く取り、書類で目立ち、付加価値のある物件を作る必要があります。また、出生率が1.29と、少子高齢化が進みます。高齢者への対応、設備や保証人などを一度考える必要があります。

 間口を広げることで、トラブルが発生する恐れがあります。しかし、トラブルについては空室であることよりも「良い」と考えましょう。何故なら、優良な入居者は多くありません。となると、入居者を選ぶ事で空室のリスクは埋まることは無いのです。トラブルを解決すれば、大家さんへのアピールになりますし、社員が成長するチャンスでもあります。様々な現場を経験することで、社員は大きくなることでしょう。
 これからは仲介手数料は0円になります。また、礼金は返金するものという判例が出ています。敷金に関しても、原状回復のガイドラインや東京ルールを多くの入居者が知っています。こうした収益が無くても、儲かる収益構造を考えなければ生き残れなくなるでしょう。

覚えておきたい住宅施策と法律

 次に、覚えておかなければいけない住宅施策と法律をご紹介します。これらを知らなければ、大変な問題に巻き込まれるリスクを負うことになります。・少額訴訟制度(H16.1.1)・住宅品格法と住宅性能表示(H12.4.1)・消費者契約法(H12.5.12)・建設リサイクル法(H12.5.31)・高齢者住居法(H13.10.1)・土壌汚染対策法(H14.5.22)・個人情報保護法(H15.5.30)・建築基準法の一部改正とシックハウス対策(H15.7.1)・担保物件及び民事執行制度の改善の為の民法などの一部改正する法律(H15.8.1)・裁判員制度(H16.5.28)・東京都ルール(H16.10.1)・防犯性能表示 全ての内容を理解し、トラブルに備えましょう。

 

資産とリスクを考えるのが今後の管理業のあり方

 管理業者にこれから求められるの能力は、まずオーナーの資産を考えられること。今までのように家賃を回収するだけでは、管理業は廃れてしまいます。昔の土地神話は崩れ去りました、税制の改革も行われています。収益もキャピタルゲインからインカムゲイン、つまり収益還元法に変わりました。資産運用と資産管理のできるAM、PM、FM、BMなど多くの考え方が生まれました。大家さんから貸家業、法人オーナーが増加しています。超低金利時代により、不動産投資家が台頭しています。こうした背景から、資産を考えることのできない管理業者は淘汰されます。 また、資産運用と資産管理には、リスクがついて回ります。リスクとは「予想と現実の差」であり、予想がしっかり立っていれば、リスクは回避できるのです。リスクには大きく分けてマーケットリスク(取り巻く環境)とユニークリスク(商品の環境)があります。何事もリスクとひとくくりにするのではなく、見方を変えて対応する必要があります。そして、有効なのがポートフォリオの発想、つまりリスクをヘッジ(分散)させることです。あとは経験や調査によるリスクマネージメント、リスクを読むことです。リスクを読むことが出来れば、リスクをコントロール(リスクマネージャー)することも可能です。


 総じて、必要となる能力は、
・法律と経済の知識
・建築とリフォームの知識
・リスクマネージメント能力
・リスクコントロール能力
・税務と金融コンサル能力
・トラブル処理能力とネットワーク
 これからの賃貸管理業者には必須となる能力です。

賃貸管理業務の検証

 賃貸管理業務とは賃貸住宅経営のリスクマネージメント代行業であり、その見返りとして管理料を頂いているのです。また、管理と管利の融合で、ハード面の管理と、ソフト面(オーナーの経営代行業)の管利を行うべきです。オーナーに対しては、常に情報発信と啓蒙活動を行い、こちらの行動に対して、深い理解を示してもらう必要があるのです。忘れてはいけないのは、オーナーと我々の関係は「所有」と「経営」の分離であるということです。


 賃貸住宅経営のリスクは以下のことが考えられます。
・空室のリスク
・滞納者などの不良入居者のリスク
・原状回復に伴う修理費負担のリスク
・設備などによる事故のリスク
・訴訟のリスク
・金利上昇などの経営のリスク
・その他のリスク

 こうしたリスクを回避する為に、以下のリスクマネージメントを徹底してください。
・リスクは常にあるというアットリスクの考え方
・予知、予見の徹底
・損害賠償責任の回避
・予見可能性の有無の検証
・結果回避の可能性の有無を検証
・善管注意義務

 それでは、具体的に賃貸管理の実務と照らし合わせて考えてみましょう。
・入居者審査と契約可否
→不良入居者はそもそも入居させない
・入居者募集
→空室リスクを生まない為の努力
・不良入居者の定義の確立
→離婚者、無職者、保証人無しは、不良入居者とは言えない。入居できるシステム作りを行う
・入居者の啓蒙と教育
→優良入居者で居てもらう為の活動
・テナントリテンションと入居者サービス
→退去させないことで空室リスクを防ぐ
・クレーム対応とクレームシートの活用
→クレームは入居者、オーナーの満足度を上げる
・滞納者への対処と解約処理
→空室以上のリスクとなる滞納処理を素早く行う
・保証人の選定基準とトラブル対応
→保証人によっては、保険などに加入してもらい、トラブルに備える
・保証人代行会社の活用
→保証人が居なくても入居できるシステムを作る
・原状回復と敷金清算
→トラブルになりやすいので、入り口から対処する
 賃貸管理の実務は全てと言って良いほど、リスクを回避する要素が盛り込まれています。ひとつひとつリスクマネージメント、リスクコントロールを行ってください。

 

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詳細・関連

(財)日本賃貸住宅管理協会 兵庫県支部
http://www.e-jpm.com/

(財)日本賃貸住宅管理協会
http://www.jpm.jp/

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