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弁護士・亀井英樹先生の法律ノウハウ

金融商品取引法の施行と宅建業法の改正

金融商品取引法における宅地建物取引業法の改正内容

 

平成18年6月14日に公布された証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第66号)(金融商品取引法)において、宅地建物取引業法も改正され、宅地建物取引業者が、宅地又は建物を原資産とする信託受益権や組合持分権等の販売を行う場合には、原資産である宅地又は建物の状況に関し、取引関係者への事前説明義務が課せられました(改正後の法第35条第3項)。
そして、金融商品取引法は、平成19年9月30日から施行されておりますので、改正後の宅建業法も同日から施行されております。
そこで、金融商品取引法の施行に伴う宅建業法の改正についての概要を説明します。

不動産投資商品の販売と金融商品取引法の適用

 

 不動産投資商品(信託受益権、組合持分権)を金融商品取引業者が投資家に販売する場合、1金融商品の販売・勧誘に関する市場ルールは、証券取引法の改正により横断化(金融商品取引法の制定)し、2不動産が原資産となった金融商品(信託受益権、組合持分権)は、原資産のリスク情報(権利関係等の瑕疵)が取引関係者に的確に説明されるよう措置(宅地建物取引業法の改正)を施すこととなりました。

 ただし、一方で、円滑な取引を確保する視点から、プロ間取引に適用されるルールは思い切って弾力化する必要があり、このため、重説義務について除外事項を設けました。すなわち、不動産投資市場の一層の拡大を図る観点からプロ間取引等保護を要しないものは重説義務の対象外としました。
 具体的には、宅建業法第35条第3項ただし書の国土交通省令で定める場合宅地建物取引業者が、自らが保有する宅地又は建物を信託し、その信託受益権の売主となる場合に事前説明義務を課さなくとも取引の相手方の保護に支障を生ずることがない場合として以下の場合が規定されています。

(1)金融商品取引法では、いわゆる投資のプロとされる特定投資家に対しては、契約締結前の書面交付義務が適用除外(金融商品取引法第45条第2号)とされていることから、重説義務においても取引の相手方が特定投資家である場合は除外されております。
(2)金融商品取引法では、「金融商品取引契約の締結前一年以内に、当該顧客に対し金融商品取引契約と同一内容の金融商品取引契約について契約締結前交付書面を交付している場合」には、契約締結前の書面の交付義務は適用除外とされていることから(内閣府令第82条第1項第2号)、重説義務においても、契約締結前の一年以内に相手方に対し当該契約と同一の内容の契約について書面を交付して説明している場合は除外される。なお、書面を交付して説明をした日(書面を交付して説明をしたものとみなされた日を含む。)から1年以内に当該説明に係る売買の契約と同一の内容の売買の契約の締結を行った場合には、当該締結の日において書面を交付して説明をしたものとみなされます。(内閣府令第82条第2項)
(3)金融商品取引法では、顧客に対し同法第2条第10項に規定する目論見書(契約締結前交付書面に記載すべき事項のすべてが記載されているものに限る。)が交付されている場合には、契約締結前の書面の交付義務は適用除外とされていることから(内閣府令第82条第1項第3号)、重説義務においても当該目論見書が交付されている場合は除外されるものとされております。

 

 

販売・勧誘のルール

 

 上記のとおり、金融商品取引法の施行に伴い、宅建業法が改正された結果、宅建業者が第二種金商品取引業として、信託受益権の売買を仲介する場合には、通常の重説義務と共に金融商品取引法上の次のような義務が課されることとなりました。

(1)書面の交付(契約締結前書面の交付)


1.他の金融商品と共通の項目の記載事項

・金融商品取引契約の概要
・手数料、報酬等に関する事項
・市場リスクの有無
・証拠金、保証金の損失リスクの有無等

2.不動産投資商品に固有の項目の記載事項

 当該業者が宅建業者である場合には取引のプロである取引主任者が下記の事項等を説明する必要があります。

・登記された権利の種類、内容、登記名義人
・法令に基づく制限の内容
・私道負担等

(2)行為規制(金融商品取引法)


1.虚偽の説明の禁止
2.損失補填の禁止
3.適合性の原則(顧客の知識等に照らして不適当と認められる勧誘の禁止) 等

 なお、「信託受益権販売業」の登録を行っている者は412社、そのうち宅建業者は380社(92.2%)(平成18年2月10日現在)であり、これまでの信託受益権販売業は平成19年9月30日以降は、第二種金融商品取引業とみなされますが、施行日から3カ月以内に新規の登録手続と同様の書類の提出、及び6カ月以内に第二種金融商品取引業の要件を満たす必要があります。

 

宅建業法上の重説義務と金融商品取引法上の契約締結前書面交付義務との相違

 

(1)説明義務の対象

 宅建業法は、不動産の売買等の媒介代理行為のみが重説義務となりますが、金融商品取引法は不動産投資商品の販売の媒介契約の締結にも契約締結前書面の交付が必要となります。

(2)説明義務の内容


 宅建業法上の重説義務は原則として35条で定められた事項の事前説明義務であり、重要事項説明書の交付に加えて面前での説明が必要となりますが、金融商品取引法上は、契約締結前書面の交付で足り、その内容は、金商法37条の3に定められた事項の記載で足ります。しかし、最近の行政処分事例では、実質的に重要事項説明書と同様の記載が求められるようになってきております。

2007.12/25

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亀井英樹(かめいひでき)
東京弁護士会所属(弁護士)
昭和60年中央大学法学部卒業。平成4年司法試験合格。
平成7年4月東京弁護士会弁護士登録、ことぶき法律事務所入所。
詳しいプロフィールはこちら ≫

【著 作 等】
「新民事訴訟法」(新日本法規出版)共著
「クレームトラブル対処法」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修
「管理実務相談事例集」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修
「賃貸住宅の紛争予防ガイダンス」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修