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リプロス代表・松尾充泰の賃貸経営ノウハウ

損益分岐点とキャッシュフロー分岐点

 皆さんご存知のように「損益分岐点」という言葉は、会計上の利益がゼロになるところを指すのが一般的です。

 私はこれとは少し違う分岐点も別に見ることをお勧めします。

 それは、キャッシュフローがゼロになる分岐点です。

 会計上は適当な呼び名もないので、ここでは便宜上「キャッシュフロー分岐点」と呼ぶことにします。

 このキャッシュフロー分岐点には、ローンの支払い額も含めて計算します。

 含めないのは、所得税だけです。

 所得税以外はすべて収入と支出に分けて、いくら手元に現金が残るかを知るために使います。

 現金の動きを把握する為ですので、減価償却費は含めません。

 これはお金が動く訳ではないからです。

 これらから何がわかるかを以下で説明致します。

例)

cashflow1.jpg cashflow2.jpg

 まず、「B」キャッシュフロー分岐点を見てください。

 キャッシュフローが年収の30%あります。

 つまり、年収の30%が手元に残る現金です。

 (所得税は考慮せず)言い換えれば、稼働率や賃料ダウンは70%以内に維持しないとローンの支払いができなくなることがわかります。

 実際には、固定資産税以外に所得税の支払も必要になりますので、所得税を支払って残るキャッシュがどれぐらいあるかを把握する必要があると思います。

 ただ、所得税は他の所得などと合算して計算するのでキャッシュフロー分岐点から省いています。

 次に「A」と「B」を比較してみてください。

 利益は550万円あるのに、キャッシュは300万円しか増加していません。

 もし、稼働率が30%下がり、年収が700万円になったとしても会計上の利益は250万円発生しています。

 しかし、所得税を支払うお金はありません。

 つまり、自分の手持ちの現金から出す必要があります。

 キャッシュフロー的にはマイナスになっています。

 減価償却費が大きければ、場合によっては、逆のパターンもあります。

 いずれにしても、それらの分岐点を知ることで、例えば、設備の減価償却が終わり、その分、利益が増加し前年度より多めに所得税の発生があると事前にわかれば、老朽化した設備を交換し、新たな減価償却費を作り出して所得税を抑えながら、物件を維持し継続して安定した収益を生み出す経営計画を立てるといったことを考える必要があります。

 オーナーの皆さんは如何でしょうか?
 これらの分岐点をしっかりと計算されていたでしょうか?

 賃貸経営とは利益目標を持ち、このような計算に基づき計画し、それを実行することを意味します。

 もし、ご自身でできない場合は、信頼できるコンサルタントにご相談し、アドバイスを受けて賃貸経営を行うことをお勧めします。

2006.12/26

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松尾充泰 (まつおみつひろ)
(賃貸不動産経営コンサルタント)
昭和43年大阪生まれ。
96年に賃貸不動産業界での職務経験を生かし、賃貸不動産業界向けソフトウェア開発会社、アクセス株式会社を設立。その後、賃貸不動産会社に対する業務コンサルティング、大家さん・賃貸不動産業界のビジネス支援サイトを運営する、株式会社リプロスを2003年に設立。