賃貸マンション、アパートの市場価値を高める方法を考えた事があるでしょうか?
今回はアパート、マンションなど賃貸物件の市場価値を高めて、少しでも高い価格で売却できるようにする為の考え方をご紹介します。
ところで、ここで私が言う市場価値とは何かを先に定義する必要があるかもしれません。それはつまり、物件を売却しようとした場合に市場で売れる価格のことです。
日本では、地主さんと呼ばれる人達が所有している土地にアパート、マンションなどを建てて、大家さんになっているケースが多くあり、取得した不動産を長期間保有し、売却の事は考えていない、という人もいるかと思います。
しかし、いずれは相続などの機会に売却する事もあるでしょうし、そもそも、一般的には市場価値が低いより、高いほうが良いはずです。
ご自身が売却を考えなくても、資産を子孫に残すにしても、この事は、しっかりと考えなくてはなりません。
では、どのようになれば、市場価値が高まるのでしょうか?
答えは、簡単です。
賃貸マンション、アパートから発生する収入を増やせば良いのです。
誰もが知っている事です。
しかし、現実には物件が古くなるにつれて、賃貸収入がダウンしていく状況の中でも何をすることもなく、ただ指をくわえて見ているだけではないでしょうか。
アパート、マンションの賃貸経営では、計画的に物件のメンテナンス、改修などを行う事で物件の魅力を維持し、賃料の下落を防ぐ必要があります。
例えば、ホテルや旅館を想像するとわかりやすいかもしれません。
古くても、綺麗に維持しているところと、古くてボロボロとがあれば、どちらに、宿泊したいですか?
もちろん、宿泊費によるでしょうけど、多くの人は綺麗に維持しているところに宿泊したいと思うはずです。賃貸マンション、アパートも同じことが言えます。
多くの大家さんは、計画的なメンテナンスや改修をすることもないまま、賃貸収入に対して所得税が課税されて年月が経過し、ボロボロになった頃には、メンテナンスや改修をする資金がなかった、などといったことになっています。
本来は、計画的にメンテナンスや改修をすることで、経費や減価償却を使って無駄な所得税を減らし、物件の魅力を維持しなくてはなりません。
ファンドやプロの不動産投資家は収益力の衰えた物件を敢えて購入し、改修をして収益力を高め、市場価値を高くしてから物件を売却して短期間で利益を得ています。
この場合、いくらの投資をして、いくらのリターンがあるのかを予め予測して投資しています。
物件の市場価値を上げる為のテクニックは、メンテナンスや改修などによるものだけではありません。
例えば、ファンドやプロの不動産投資家は市場での競争が厳しくても、賃料をそう簡単に下げたりはしません。
その代わりに、賃料を一定期間、無料にするサービスをしたりします。これは、一般的にはフリーレントと呼ばれています。
どうして、そのような事をするのか。それは、物件の市場価値を下げていないように見せる為です。
不動産業界の人にとっては日常的に馴染みのある考え方ですが、ここでは、一般の大家さんやサラリーマン大家さんにもご理解いただくために、具体例をあげ、単純な表面利回りで計算してみようと思います。
市場に、表面利回りで10%の投資物件を求めている投資家がいるとします。
この投資家にとって、1千万円の年収がある物件の物件価値は、いくらでしょうか?
1千万円÷0.1(10%)=1億円
この投資家にとっては、1億円の物件価値があることになります。
もし、賃料が10%ダウンして900万円になったとしたら、いくらでしょうか?
900万円÷0.1(10%)=9,000万円
この場合は投資家にとって、9,000万円の物件価値があることになります。
つまり、100万円の年収ダウンにより、物件価値が1千万円ダウンするのです。
だとすれば、6ヶ月間フリーレントにして、500万円を損しても、売却時には1千万円高く売る事ができれば、500万円得する事になるのです。長期保有の場合は、あまり意味のないテクニックですが、ファンドやプロの投資家から物件を購入する場合には、このような事もありえると考えて、慎重に物件を買わなくてはなりません。
さて、費用に見合った効果があるのかどうか、わからないままでメンテナンスや改修をするのでは賃貸経営とは言えませんので、次回は効果の計算方法をご紹介します。