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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

相続税の申告書が送られてきたら、必ず申告しなければならないの?

 今回は、リキさんからいただいた疑問に答えていきたいと思います。
 「税務署には何の通知もしていないのに、どうして父が亡くなった後、相続税の申告書が勝手に送られてくるのでしょうか?また、その場合申告しなければならないのでしょうか?」

どうして相続税の申告書が勝手に送られてくるの?

リキさん: 先生、父が亡くなったのですが、税務署には何の連絡もしていないのに、相続税の申告書が送られてきました。どうしてですか?
 
友弘先生: 人が亡くなった場合には、同居の親族等が亡くなった事を知った日から7日以内に、その死亡地の市町村長に対し「死亡届け」を提出することになっているのはご存知ですよね?
 
リキさん: ええ、それは知っていますよ、ちゃんと出しましたから。
 
友弘先生: その死亡届けの提出を受けた市町村長は死亡届けを受けた日の翌月末までに「死亡届け」を管轄内の税務署長に通知しなければならないという法律があるのです。この法律によって税務署は、人が亡くなったことを知ります。
 
リキさん: なるほど、私たちが市町村長に出した死亡届を通じて、だいたい1ヵ月以内に税務署の方に通知がいくのですね。
ところで、先生、私たちのところは父が亡くなっても相続税の申告は必要ないと思うのですが、相続税を払う必要のないところにまで税務署は相続税の申告書を送ってきているのですか?
 
 
友弘先生: 結論から言うと、相続税の申告書を送ってこられたからといって、全員が必ず申告しなければならないということはありません。税務署は相続税を支払わなければならないだろうと思われる方に対して送っているのであって、必ずその方に支払いが必要だというわけではありません。
 
リキさん: どういう基準で送っているのでしょうか?
 
友弘先生: (1)相続税を絶対支払わなくてはならないであろう大口資産家さんにはもちろん送っています。
(2)相続税が課されるであろうと思われる人のひとつの基準として複数の不動産を所有している人に対してはほとんど相続税の申告書が送られてきているのが実情です。複数の不動産を持っていても評価が低い場合とか、小規模宅地の減額を使えば相続税額が発生しない場合もあります。
 
リキさん: そうすると、相続税の申告書が送られてきたからといって必ずしも申告しなければならないという事はないのですね。
 
友弘先生: そんなことはありません。今、基礎控除額の見直しが検討されていますが、基礎控除額以下であれば、申告書の提出は不要です。ただし、配偶者の税額軽減とか、小規模宅地等の減額を適用してはじめて税額が0になる場合は注意が必要です。これらの規定の適用は申告書の提出が条件となっているからです。
 
リキさん:
ということは、先生、相続税の申告書が送られてきてなくても、申告しなければならない人もいるのではないのでしょうか?
 
友弘先生: そうなのですよ。申告書が送られてきてなくても、基礎控除を超える方は申告が必要です。
 
リキさん: 相続税の申告書が送られてこなかったからといって、本当は申告しなければならないのに、申告しなかったら後で、無申告加算税等がかかってくるのでしょうか?
 
友弘先生: そうなのですよ。日本の税法では自主的に納税者の方が申告することになっていますので、申告書がたとえ送られてこなくても納税が必要な場合に納税を忘れていれば、無申告加算税とか、延滞税とかが課せられますので注意が必要です。
 
リキさん: よくわかりました。ありがとうございます。

2004.07/20

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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