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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

中小企業における企業再生

はじめに
平成19年夏のサブプライムショック以降、急速に世界経済が悪化しました。それにともない日本経済も急速に悪化し、たいへん厳しい状況におかれています。特に中小企業においては、不況により資金繰りが悪化しているところが多くなってきています。
一時的に資金繰りの都合がついたとしても、昨今の経済状況の悪化から会社そのものを続けていくことが難しくなり倒産に至ることも予想されます。資金繰りなどの財務上の問題をかかえ続けて会社を存続させることが非常に難しい時代になってきました。
そこで今回は、中小企業における企業再生の手法として代表的なものをまとめてみました。
 

倒産とは
(1)倒産の意義
明確な定義はありませんが、インターネット事典のウィキペディアによれば『経済主体が経済的に破綻して弁済期にある債務を弁済できなくなり、経済活動をそのまま続けることが不可能になった状態、または不可能になること、例えば、破産、会社更生、民事再生、破産、特別清算などのいわゆる法的倒産手続を総称する概念』とされています。


(2)倒産の類型

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倒産には、悪いところを切ってやり直す再生型(民事再生手続など)、会社そのものを閉じてしまう清算型(破産手続など)の2つがあります。最近は、倒産という烙印を押されるのを避けるために、主に再生型手続において「私的整理手続」も選択されています。


民事再生(法的整理)
(1)民事再生法とは
民事再生法は、主として中小企業等の再生をはかるため、再生型の倒産手続として平成12年4月1日から施行されました。
民事再生法は、法的な手続であるため拘束される面があるものの、債務者の自主性や柔軟な手続運用といった利用し易さが評価され、再生の手段として相当数利用されています。


(2)特徴
民事再生法は、以下の特徴がある事業再建を目指した制度です。
1.公平かつ透明性の高い法的な手続
2.変化の激しい現代社会に対応したスピーディーで機能的な手続
3.比較的規模の小さい中小企業等でも利用しやすい

特   徴 内  容  説  明
対象の範囲

株式会社・有限会社などの会社組織だけではなく、医療法人などの特殊法人も対象です。

また、個人も対象です。
適用時期 経営が破綻する前でも申立をすることができます。
経営権 従来の経営者が引続き経営できます。
担保権 担保権実行の中止命令のほか、対価の支払いによる担保権消滅請求の制度があります。

再生計画案の

可決要件
債権者集会に出席した債権者の過半数、かつ決議債権の2分の1以上の賛成で可決されます。

監督委員

申立後直ちに監督委員が選任され、債務者及び再生計画の遂行を監督します。
否認権 不公平な財産処分等の行為は、否認されます。

 

 (3)注意点
民事再生手続の申立により『倒産』というイメージが広がり、信用(ブランド)が失墜することや、新規の資金調達が困難になることの影響も十分考慮する必要があります。
 
中小企業再生支援協議会(私的整理)
中小企業再生支援協議会とは、産業活力再生特別措置法により各都道府県に設置された中小企業の再生を促進するための公的な機関です。兵庫県では、近畿経済産業局からの委託を受け、神戸商工会議所内に平成15年2月28日から設置されています。
相談対象企業は、経営上の(特に、財務上の)問題を抱えているが、事業再生の可能性が高い中小企業です。
 

例えば、次のような条件の企業が該当します

1.事業再生意欲があり、本業は順調に推移し単年度ではキャッシュフロー(=当期純利益+減価償却費)を生み出しているが、過去にバブルまたは震災復興投資などの影響で過剰債務に陥り、返済に必要な全体のキャッシュフローが不足している会社。
2.取引金融機関などの関係者の支援を受けて事業存続の見通しはあるものの、関係者間の調整が必要となっている会社など。

 

(1)窓口相談(第1次対応):原則、事前予約制
専任の窓口専門家が常駐し、様々な経営上の問題点を抱えている中小企業に対して、決算書および経営状況について全般的にヒアリングの上、その具体的な課題を抽出します。その結果、再生支援(第2次対応)に進むのがよいのか、連携支援機関(政府系金融機関、ひょうご産業活性化センター、商工会議所・商工会等)をご紹介するのがよいのかのアドバイスをします。


(2)再生支援(第2次対応):経営改善計画の策定
第2次対応では、再生支援スキームにもとづいて、財務面(貸借対照表)と収益面(損益計算書)の両面で適正かつ合理的な企業再生計画の策定支援を、必要に応じて中小企業診断士・弁護士・公認会計士・税理士などの専門家による個別支援チームを編成して実施します。また、当該企業再生計画の実施とフォローアップによる支援も行います。

 

最後に
中小企業を支援するための措置として、平成20年10月末に導入されたセーフティネット保証制度を利用して資金繰りの手当てをし、なんとか年を越された会社も多いと思います。一時的に資金繰りの手当てが出来たとしても、景気の回復がみえない経済状況の中で猶予されていた元本の返済が始まることも予想されます。
ある程度の段階(例えば、新規融資が受けられない状態)になれば、弁護士、公認会計士などの専門家に早めに相談し、会社の行く末を考える必要があります。
 

2009.04/07

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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