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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

平成21年度の中小企業対策の税制改正

はじめに
去る3月27日、平成21年度予算が成立。税制改正法なども同日の衆院本会議で可決成立されました。
今回の税制改正には、昨今の経済状況の悪化から景気回復を目的とした各種の減税措置が盛り込まれました。資金繰り等で大変厳しい状況に追い込まれている中小企業の方も多くおられると思います。
今回は、税制面で中小企業を支える関連項目についてご説明いたします。

中小法人等の軽減税率の引下げ
(1)概要

対 象 法 人 現  行 改 正 後

資本金の額又は出資金の額が1億円以下である普通法人

・通常の一般社団法人等

・持分の定めのない医療法人等

年800万円まで22%

年800万円まで18%

資本又は出資を有しない普通法人

・非営利性が徹底された一般社団法人等

・公益社団法人等
一般社団法人等
人格のない社団等
協同組合等(※) 一律22%
公益法人等
(学校法人、社会福祉法人、 宗教法人、一部の厚生連等)
一律22%
特定医療法人 一律22%


(2)適用時期

平成21年4月1日から平成23年3月31までの間に終了する各事業年度

(2年間の時限的措置)


(3)減税の効果

【各事業年度の課税所得が800万円以上の場合】

     【1】改正前

法 人 税 800万円  × 22%  = 176万円

      法人住民税 176万円  × 17.3%  ≒ 30万円

       合 計  (176万円 + 30万円)× 2年間  = 412万円

     【2】改正後

法 人 税 800万円  × 18%  = 144万円

      法人住民税 144万円  × 17.3%  ≒ 25万円

       合 計  (144万円 + 25万円)× 2年間  = 338万円

     【3】減税額合計

      【2】 - 【1】 =  △74万円

 

中小企業の欠損金の繰戻し還付の復活
(1)欠損金の繰戻し還付の内容

適用 要件

(1)内国法人の青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において生じた欠損金額があること。

(2)欠損事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に所得金額が生じており法人税を納付していること。

(3)(2)のいずれかの事業年度(還付所得事業年度という。)から欠損事業年度の前事業年度までの事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。

(4)欠損事業年度に青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。

(5)所定の事項を記載した還付請求書を納税地の所轄税務署長に確定申告書の提出と同時に提出していること。
還付請求額   090414_1.gif

※改正前の規定では、平成4年4月1日から平成22年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金について、解散等が生じた場合等の特例を除き、繰戻し還付制度の適用が停止されています。
 
(2)適用時期
平成21年2月1日以後に終了する各事業年度から復活(恒久的措置)

(3)イメージ

 

090414_2.gif

090414_3.gif

 

 

まとめ
今回の税制改正は、全法人の税率の引下げではなく、初めて中小法人等の軽減税率のところのみに限定したものでした。法人税率では、4%の引下げに止まりました。
欠損金の繰戻し還付は、前期は黒字で税金を支払っていたが、今期業績が悪化し赤字になり欠損金が発生する中小企業に適用されるものです。今までできなかった税金の取戻しができるようになるため資金繰りに苦労している中小企業にとっては朗報といえるものだと思われます。
しかし、この制度は法人税のみの規定であり、地方税(事業税、都道府県民税及び市町村民税)にはこのような還付制度はありませんので注意して下さい。また、過去の税金の還付ではなく、翌事業年度以降7年間繰り越せる欠損金の繰越控除の制度もあるのでどちらを適用するか事前に税理士等に相談する必要があります。

2009.04/14

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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