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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

生命保険の上手な活用方法 ~目的に合った生命保険の見つけ方~

【1】はじめに
保険業界を取り巻く環境は、近年めまぐるしく変化しており、多様な顧客ニーズに対応して保険会社各社は新商品の開発を進めています。また保険商品と税務は切っても切り離せない関係となっています。今回は理解できているつもりで、なかなか理解できていない保険生命保険の上手な活用方法 ~目的に合った生命保険の見つけ方~ の基本的な説明をしていきます。

【2】生命保険の性質(※保障重視か資産形成重視か)

  1. (1)保障重視(代表例:定期保険)
    死亡や病気、ケガといった不測の事態が発生した場合に、保険金や給付金を受け取る事が目的。保険料の負担は抑えたいが、一定期間に大きな保障が必要な場合に適しています。
  2. (2)資産形成重視(代表例:終身保険・養老保険)
    死亡時の保障を確保しつつ、満期時や中途解約した場合、ある程度の解約返戻金が得られることが目的。保険料負担は増えても保障も貯蓄も兼ね備えたい人に適しています。

【3】保険証券のチェックポイント

  1. (1)保障内容
    生命保険の契約には、主契約と特約があります。この主契約が契約の基本で、特約とは主契約に付加するオプションであり、特別約款に書かれているもので主契約の約款に追加したり、異なる取り扱いをしたりするための規定が記載されています。
  2. (2)保険金額
    死亡原因等により、支払われる保険金額が異なる場合があります。どのような状態のときにいくら支払われるのか確認が必要です。
  3. (3)保険契約者 被保険者 保険金受取人
    ・ 保険契約者とは、保険会社と契約を締結した人で保険料を支払う人
    ・ 被保険者とは、保険の対象者 被保険者の性別や年令によって保険料の計算等がされるので、加入時には正確に記載しておく必要があります。
    ・ 保険金受取人とは、文字通り保険金を受取る人
    1人でも複数人でも大丈夫です。
    ☆「保険契約者」「被保険者」「保険金受取人」により課税関係が異なります。
  4. (4)保険料
    保険料については「月々いくら」ということも大切ですが、「将来にわたってどれくらいの負担になるか」ということもしっかり考えておいたほうがよいでしょう。

【4】個人の所得税の生命保険料控除

納税者が生命保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることが出来ます。これを生命保険料控除といいます。
税制改正により、平成24年1月1日以降締結の保険契約から取扱いが異なります。

平成23年12月31日以前の契約

年間の支払保険料等

控除額

25,000円以下

支払保険料等の全額

25,000円超  50,000円以下

支払保険料等 × 1/2
 + 12,500円

50,000円超 100,000円以下

支払保険料等 × 1/4
+ 25,000円

100,000円超

一律50,000円

 

平成24年1月1日以降の契約

年間の支払保険料等

控除額

20,000円以下

支払保険料等の全額

20,000円超  40,000円以下

支払保険料等×1/2
+ 10,000円

40,000円超  80,000円以下

支払保険料等 × 1/4
+ 20,000円

80,000円超

一律40,000円

※平成24年1月1日以降の契約については、一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除として、それぞれ最高4万円、合計12万円が控除されることになりました。

 

【5】法人向けの生命保険

法人が生命保険契約をする場合には、いろいろな理由があります。例えば、従業員の福利厚生への備え、経営者の退職金や弔慰金への備え、借入金などの会社のリスクへの備え、そして、法人税の節税という意味でも法人にとって、生命保険は必要不可欠なものとなっています。ここでは法人が加入する代表的な保険について紹介していきます。

  1. (1)定期保険
    定期保険とは、保障機能を重視した一般的に掛け捨てと呼ばれる保険です。その為、貯蓄性のある保険と比較して、割安な保険料で大きな保障を実現できます。
    1. I.長期平準定期保険
      保険期間が満了するまで保険金額が一定の定期保険
    2. II.逓増定期保険
      保険期間の経過とともに保険金額が逓増する定期保険
    3. III.逓減定期保険
      保険期間の経過とともに保険金額が逓減する定期保険
  2. <法人の税務処理>
    通常の定期保険は損金処理ですが、それぞれ税務上の処理が異なりますので注意が必要です。
  3. (2)養老保険
    養老保険とは積立て型で、保険期間内に被保険者に万が一の事がおきた場合には死亡保険金が、保険期間満了時に生存している場合には満期保険金が支払われる保険をいいます。保険料の多くが将来の保険金の積立てにまわされるため、加入してから短期間の解約をのぞき、解約時には解約返戻金が受け取れるといった貯蓄性をもっています。保険料は満期保険金がある分高くなっています。
    <法人の税務処理>
    原則資産計上ですが、保険契約の形態により処理が異なります。
  4. (3)終身保険
    終身保険とは、保険期間を終身とする保険で、解約しない限り、死亡時に保険金を受け取ることができる生命保険で、保険料の仕組みは養老保険と同じです。
    <法人の税務処理>
    保険の性格から、養老保険に係る保険料に準じて処理することになります。

【6】まとめ

上記は、保険商品のごく一部の説明であり、保険商品の種類は複雑で、これに伴い税務上の取り扱いはますます多岐にわたります。
保険に加入する前には、ぜひ税理士やFP等の専門家に相談のうえ、加入されることを検討して下さい。

2011.07/26

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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