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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

土地に係る固定資産税 ~計算の基本・見直し・縦覧制度~

【1】はじめに
固定資産税の納付書がお手許に届く時期になってまいりました。
固定資産税は、不動産(土地・建物)を所有されていることで税金がかかります。景気の悪いときや資金繰りが厳しいときにも毎年税金の支払が発生し負担になります。
そこで、今回は、毎年発生する固定資産税の内、土地の計算の基本や見直しのポイント・縦覧制度についてご説明します。

【2】土地に係る固定資産税の計算の基本

土地の固定資産税は、下記の算式により計算されています。

zu_1.jpg

 

【3】土地に係る固定資産税の見直し

土地に係る固定資産税は、(1)用途(住宅用地・農地等)や(2)土地の形状等により、【2】の課税標準より一定額が減額されます。このうち、土地に係る固定資産税の代表的な見直しの項目である(I)住宅用地の課税標準の特例と(II)土地の形状による減額(不整形地の補正率)について以下説明します。

  1. (I)住宅用地の特例による見直し <例:駐車場用地の見直し>
    住宅用の土地については、住宅政策上の観点から、他の用途の土地に比べ減額措置があります。
    その中で、見直しの可能性があるものは、賃貸アパートと併設されている「駐車場」の土地です。賃貸アパートと併設されている駐車場は、賃貸アパートと「一体利用」しているか、していないかで、固定資産税等は、次のように取り扱われます。

    区  分

    住宅用地の課税標準の特例

    減額割合

    固定資産税

    都市計画税

    賃貸アパートの
    入居者専用の併設駐車場

    2/3※
    (66.7%)

    1/3
    (33.3%)

    駐車場(月極等単独で貸付または、
    アパート入居者以外の方のみに貸付)

    ×

    なし

    ※小規模住宅用地(1戸当たり200m2までの住宅用地)の場合には、 固定資産税は、5/6(83.3%)、都市計画税は、2/3(66.7%)が減額されます。

    賃貸アパートの併設駐車場で
    (ア)賃貸アパートの入居者以外の方に駐車場を貸されている場合
    (イ)賃貸アパートと駐車場との間にフェンスや塀がある場合
    には、一体利用でなく駐車場部分面積の全部を住宅用地以外として固定資産税を課税している場合があります。このような場合の一体利用かどうかの判断は、実態を基に役所の担当者との折衝によることになります。折衝の結果、住宅用地と認められた場合には、その面積部分の固定資産税は、一般の駐車場用地の3分の2(小規模住宅用地の場合には、6分の5)減額されますので、一度確認された方がよいと思います。
  2. (II)不整形な土地等による見直し
    所有されている土地の形が整形(長方形や正方形)でないときは、固定資産税が減額される可能性があります。これは、基本的に固定資産税は、整形の土地を基準に計算されているためです。減額される割合は下記の通りです。

蔭地割合(注)

普通住宅地区・
家内工業地区

左記以外の地区

蔭地割合(注)

普通住宅地区・
家内工業地区

左記以外の地区

10%未満

0%

0%

40%以上50%未満

18%

13%

10%以上20%未満

4%

2%

50%以上60%未満

28%

20%

20%以上30%未満

8%

4%

60%以上

40%

30%

30%以上40%未満

12%

8%

 

(注)蔭地割合とは、整形の土地(整形想定地の面積)と比較したときの、利用できない土地の面積(不足する面積=蔭地面積)割合をいいます。

zu_2.jpg



なお、蔭地割合方式によらない場合の不整形補正率もありますが割愛しております。

zu_3.jpg


固定資産税の不整形地の補正(割合)については、必ず適用されているとは限りません。 都市区町村の担当者が、実測ではなく、航空写真のみで判断している場合には、不整形地であっても減額されていない可能性がありますので、確認が必要となります。


【4】固定資産税の還付

上記【3】-I.II. 等により固定資産税が減額される場合には、過去に支払っていた固定資産税について、還付を受けることができる場合もあります。 還付の期間を過去5年としている都市区町村が多いため早めの見直し・手続きをされることをお勧めします。


【5】固定資産税の縦覧制度

土地・建物(家屋)を所有されている方が所有する土地・家屋の評価額が適正かどうかを、縦覧帳簿に記載されている他人の土地・家屋の評価額と比較できる制度です。
概要は下表のようになりますが、市によって期間・詳細は多少異なります。

  1. 期間

    4月1日~4月30日(土・日・祝日は除く)。

    場所

    資産の所在する市区町村の固定資産税担当課(係)

    ご覧いただける方

    土地または家屋を所有する納税者

    縦覧できる内容

    所有する資産と同一区内にある資産の下記の項目
    土地…所在、地番、地目、地積、価格
    家屋…所在、家屋番号、種類(用途)、構造、床面積、価格
    *土地・家屋とも所有者の氏名・住所は記載されておりません

    必要なもの

    官公署発行の写真付きの身分証明書(運転免許証など)

    手数料

    無料

なお、所有されている土地については、(土地)評価資料の交付請求により評価(減額割合や評価方法)内容を確認することができます。


【6】最後に

都市区町村役場等は、毎年4月・5月に固定資産税の納付書を送付します。土地建物を所有されている方は、税金が大幅に増減していない場合には、毎年かかるものとして支払われているかと思います。今回説明しましたケース以外でも固定資産税が減額されるケースや非課税となるケースもありますので、一度、不動産鑑定士や税理士等にご相談下さい。

2011.06/07

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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