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弁護士・亀井英樹先生の法律ノウハウ

大阪高裁平成22年5 月27日判決について

平成22年5月27日大阪高裁判決の紹介
更新料支払特約について、平成22年5月27日、大阪高裁で新に判決がありましたので下記のとおり報告致します。

本判決の評価

  1. 従前の判決との違い

    本判決は、これまでの判決とは全く異なる立場に立つものであるといえます。それは、従前の判決においては、平成21年8月27日判決では更新料支払い特約を無効とし、平成21年10月29日判決では更新料支払い特約を有効としていますが、いずれの判決も更新料支払い特約に定められている更新料の金額が適正な金額の範囲に留まっているかが主要な争点でした。
    しかし、本判決においては、全国平均から算出して更新料金額が2か月でも異常に高いと判断したもので、従来の2か月を超える場合には異常に高いと判断されていたことからすると、更新料の金額の適性の範囲についての判断基準に変更があったと判断せざるえないものです。  

  2. 判決の内容の特徴

    また、判決の内容についても、判旨に記載のあるとおり、借地借家法上の法定更新との関係で、更新料支払特約は相当の範囲であれば借地借家法26条、28条に反しないというのが、これまでの判例のほぼ確立された見解でした。しかし、今回の判決では従前の判断を無視して、更新料支払特約自体を借地借家法26条、28条違反と判断しており、その点で従来の判例法理とは異なった見解に立っている点は非常に着目すべきではないかと思います。今回の判決が更新料支払特約と借地借家法との関係について、従来の判例法理と異なる見解に立ったことについては、今後もその判断が維持されるのか大いに注目されるところです。
    現在、更新料判決については8月判決及び10月判決のいずれも最高裁において審理されておりますので、本判決の是非についても最高裁の判断を待って判断すべきではあります。しかし、本判決が上記のとおり既に出されている判決とも矛盾していることから、更新料支払特約に関する判例としての先例的価値を見いだすのは困難ではないかと考えられます。

===================【判決原文】=========================

平成21年(ネ)第2548号 更新料支払請求控訴事件
(原審・京都地方裁判所平成20年(ワ)第1286号)
口頭弁論終結日 平成22年3月11日

判決

主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1 当事者の求めた裁判
1 控訴人

  1. (1)原判決を取り消す。
  2. (2)被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して10万6000円及びこれに対する平成20年5月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  3. (3)控訴費用は、第1、2を通じて被控訴人らの負担とする。
  4. (4)仮執行宣言

2 被控訴人ら
主文と同旨


第2 事案の概要
1 事案の要旨

  1. (1)本件は、被控訴人●(以下「被控訴人●」という。)に対し、居住用建物(マンション)を賃貸していた控訴人が、約定の更新料を被控訴人●が支払わないとして、更新料の支払合意(以下「本件更新料条項」という。)に基づき、被控訴人●及び同人の連帯保証人である被控訴人●(以下「被控訴人●」という。)に対し、連帯して、更新料10万6000円(以下「本件更新料」)という。)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成20年5月11日から支払済みまで民事所定の年5分の割合による遅延損害金を求めた事案である。
  2. (2)原判決は、本件更新料条項は消費者契約法10条により無効であるとの理由で、控訴人の本件更新料請求を棄却したので、控訴人が控訴した。

2 前提事実

  1. (1)本件賃貸借契約の締結

    控訴人は、平成18年3月12日、●(以下「●」という。)の仲介により、被控訴人●との間で、●所在の●号室(以下「本件ワンルームマンション」という。)を、次の約定で賃貸する契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し(甲1、乙12)、同年4月1日、同人に対し、本件ワンルームマンションを引き渡した(当事者間で争いがない)。

    1. 物件の内容-間取り1K、専有面積25.75㎡
    2. 賃料-月額5万3000円
    3. 共有費-月額5000円(水道料金を含む)。
    4. 保証料(敷金)-30万円、保証料引(敷引)15万円
    5. 契約期間-平成18年4月1日から平成20年3月31日までの2年間
  2. (2)被控訴人●の認識
    1. 本件賃貸借契約書(甲1)には以下の記載があり、被控訴人●は、仲介業者から重要事項説明書(乙12)を読み上げられて説明を受け、本件賃貸借契約書に署名押印しており、被控訴人●は、本件賃貸借契約書を締結した時点で、本件賃貸借契約には本件更新料条項があることや、本件賃賃借契約を更新するときは、本件更新料を支払わなければならないという認識はしていた(被控訴人●の本人尋問での供述)。

      本件賃貸借契約が更新された場合は、法定更新、合意更新を問わず、被控訴人●は、2年毎に、期間満了の2か月前までに、控訴人に対し、更新料として、賃料の2か月分(10万6000円)を支払わなければならない(3条2項)。

    2. しかし、被控訴人●は、本人尋問で、仲介業者からは、本件更新料は、法定更新・合意更新を問わず支払うという説明や、本件更新料がどういうものかの説明は受けておらず、本件賃貸借契約締結時点で、本件更新料がどのような性質のものか、考えたこともなかったと供述している。
      そして、被控訴人●は、仲介業者からは、「法定更新、合意更新を問わず」の説明を受けて折らず、その点についての認識と理解はなかったと主張している。
  3. (3)被控訴人●の認識

    本件賃貸借契約書(甲1)には下記記載があり、被控訴人●は、本件賃借契約の連帯保証人になる認識はあったが、「本件賃貸借契約に定めた契約期間のみならず、法定更新、合意更新を問わず、更新後も連帯して保証する。」との具体的認識はなかったと主張している。

    被控訴人●が、控訴人に対し、被控訴人●が本件賃貸借契約に基づき控訴人に対し負担する一切の債務につき、本件賃貸借契約に定めた契約期間のみならず、法定更新、合意更新を問わず、更新後も連帯して保証する(18条1項)

  4. (4)本件更新料の不払

    本件賃貸借契約期間が平成20年3月31日に満了し、被控訴人●が平成20年4月1日以降も引き続き本件ワンルームマンションに居住したのに、被控訴人らは、控訴人に対し、本件更新料を支払わなかった(当事者間に争いがない)。

3 争点
本件の争点は次のとおりである。

  1. (1)争点(1)-本件更新料条項は有効であるか

    争点(1)については、さらに次の2点が争点となる。

    1. 争点(1)ア

      本件更新料条項は、消費者契約法10条により無効か。

    2. 争点(1)イ

      本件更新料条項は、借地借家法30条により無効か。

  2. (2)争点(2)-被控訴人●●の保証責任
    本件更新料条項が有効であるとすると、被控訴人●●には、本件賃貸借契約の連帯保証人として本件更新料の支払い義務があるかが争点となる。

4 争点に関する当事者の主張
本件の争点は次のとおりである。

  1. (1)

    争点(1)ア(本件更新料条項は消費者契約法10条により無効か)

    1. 被控訴人らの主張

      1. (ア)

        本件更新料条項の不合理性

        1. a更新料発生の経緯
          借家契約における更新料は、昭和30年代終わりころから始まった。
          地価の高騰が賃料に反映されていないために、賃料の値上げをしたい賃貸人が、賃料増額訴訟手続をとることなく、更新料という名目で脱法的に金銭を受け取るようになった。特に賃貸物件がマンションやアパートになると、管理業者(不動産業者)が入り、管理業者が更新料手数料を取得できるので、管理業者にとって、更新料は極めて旨味のある制度となった。
          以上の更新料発生の経緯に照らしても、本件更新料条項は不合理である。
        2. b更新料の法的性質
          本件更新料には、賃慮補充の性質、本件賃貸借契約更新の異議権放棄の対価としての性質、賃借権強化の対価としての性質がなく、本件更新料の合理性を基礎付けることができず、本件更新料条項は不合理なものである。
        3. c更新料に対する社会的承認全国的には、借家契約における更新料は例外的である。国土交通省の標準契約書(乙8)でも、更新料に関する規定はない。旧住宅金融公庫の融資物件について、賃貸人は更新料を請求してはならないとされている(乙9)。更新料は、賃貸借の広告においても、表示されていない(乙10)。
          以上のとおり、借家契約における更新料は社会的承認を受けておらず、本件更新料条項は不合理である。
      2. (イ)消費者契約法10条前段
        更新料は、民法601条の賃料支払義務に加えて、更新料の支払という賃借人の義務を加重するものであるから、消費者契約法10条前段の 要件を充足する。
      3. (ウ)

        消費者契約法10条後段

        1. a本件更新料条項の不合理性
          前記(ア)a(更新料発生の経緯)、同b(更新料の法的性質)、同c(更新料に対する社会的承認)記載のとおり、本件更新料条項は不合理である。
        2. b情報・交渉力の格差
          賃借人と賃貸人(仲介、管理をする不動産業者)とは、情報力の格差が著しい。更新料は賃貸情報雑誌等においては、金額どころか、その存在すら隠蔽されているのが通常である(乙10)。賃借人と賃貸人(仲介、管理をする不動産業者)との間には、交渉力の格差も著しい。
        3. c賃料額
          本件ワンルームマンションの賃料1㎡当たり2058円であり、近隣物件の1㎡当たりの平均賃料が1500円(乙13)であることに比べても、本件ワンルームマンションの賃料が、本件更新料条項があるために低く設定されているわけではない。
        4. dまとめ
          以上によると、本件更新料条項は、消費者契約法10条後段の要件も充足する。
    2. 被控訴人の反論

      1. (ア)

        本件更新料条項の合理性

        1. a更新料に対する社会的承認
          借家契約における更新料の授受は、昭和30年代末ころから始まったもので、
          その後40年以上の長きにわたって、京都のみならず大都市圏を中心に各地で行われてきた歴史があり、全国的に社会で承認されてきた慣行というべきものである。
          借家契約における更新料合意は、これまでの裁判実務でも、「相当な内容の合意」として承認されてきており、国の生活保護行政においても、賃借人である生活保護受給者に対し、賃貸借契約における更新料の扶助が行われている。現在も、全国で100万契約以上の更新料設定物件が存在し、生活保護の更新料扶助として、平成18年当時で、年間5万件、約25億円もの国家予算が支出されている(甲44の1・2)。
        2. b更新料の法的性質
          本件更新料には、賃料補充の性質、本件賃貸借契約更新の異議権放棄の対価としての性質、賃借権強化の対価としての性質があり、本件更新料条項は法的にも合理性が裏付けられたものである。
      2. (イ)消費者契約法10条前段
        本件更新料条項は、主たる給付(本件ワンルームマンションを使用収 益させる給付)の対価として、控訴人と被控訴人●●との間で合意されているものである。主たる給付に関する対価を定める条項(中心条項)は、当事者が最も適切に選択・決定できるもので、あらかじめ定められ た任意規定等の基準がないので、消費者契約法10条前段の「消費者の 権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」には該 当しない。
        上記(ア)bのとおり、更新料には賃料の補充としての性質があり、賃料 支払義務は民法601条に定めがあるので、この点からも、消費者契約法10条前段の要件を充足しない。
      3. (ウ)

        消費者契約法10条後段

        1. a本件更新料条項の合理性
          前記(ア)a(更新料に対する社会的承認)、b(更新料の法的性質)記載のとおり、本件更新料条項は合理性がある。
        2. b情報・交渉力の格差
          消費者は、賃貸物件の情報について、インターネットや賃貸情報誌により容易に接することができる。本件賃貸借契約については、●●●●(仲介業者)が、被控訴人●●に対し、更新料を含む賃貸条件について、重要事項の説明をしている(乙12)。
          被控訴人●●は、本件賃貸借契約を締結した当時、大学の法学部を卒業した社会人で法科大学院の入学直前であり、法的能力も十分に備えていた。
          賃貸物件は有り余っており、現在の借り手市場の下では、賃借人が更新料
          担のない物件を選択することは十分に可能であり、控訴人と被控訴人●●とでは、交渉力においても格差はない。
          したがって、本件では、控訴人と被控訴人●●との間では、情報・交渉力の格差はない。
        3. c賃料、更新料額
          本件更新料の金額は10万6000円であり、契約期間(2年)、月額賃料(5万3000円)に照らしても過大ではない。本件賃貸借契約では、更新料の定めがあることから、その分、賃料額を低く設定している。
        4. d控訴人の不利益
          控訴人は、本件賃貸借契約において、保証金(敷金)や更新料等を含めて全体の収支を計算し、その上で月額賃料を決定している。控訴人は、更新料を収入として税務申告して税金を支払い、賃貸経営の諸経費や生活費等を見込んでいる。
          本件更新料条項が無効となれば、本件ワンルームマンションの他の部屋の賃貸借関係にもその結果が波及し、控訴人は、全ての賃貸借契約について、受領した更新料を返還しなければならなくなるという、甚大な損害を被る。
        5. eまとめ
          以上によると、本件更新料条項は、消費者契約法10条後段の要件(本件更新料条項が被控訴人●●(消費者)の利益を一方的に害することも充足しない。
  2. (2)

    争点(1)イ(本件更新料条項は借地借家法30条により無効か)

    1. 被控訴人らの主張
      法定更新の場合にも更新料の支払義務があるとすると、更新料を払えない賃借人は、期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃貸人に対し賃貸借契約を更新しない旨の通知をし、期間が満了した後建物の使用を止めることを余儀なくされ、借地借家法26条1項、同2項の適用を受けることができなくなる。このように、賃貸人は、更新料支払特約を設けることによって、借地借家法26条1項、同2項の適用を事実上排除することができる。これは正に、「この節に反する特約で建物の賃借人に不利なもの」であるから、本件更新料条項は借地借家法30条により無効である。
    2. 被控訴人の反論
      借地借家法26条は、更新の合意がなくとも、一定の要件の下に賃借人が賃借物件の使用を継続した場合に契約の更新を認め、賃借権を保護する趣旨であって、その際の更新料の支払義務の有無まで定めてはいない。
      したがって、借地借家法26条から当然に法定更新の場合に更新料の支払義務がないことが導かれることを前提にする被控訴人らの主張は、同条項の解釈を誤っており失当である。
  3. (3)

    争点(2)(被控訴人●●の保証責任)

    1. 控訴人
      被控訴人●●は、平成18年3月12日、控訴人との間で、被控訴人●●が、控訴人に対し、本件賃貸借契約に基づき負担する一切の債務につき、本件賃貸借契約に定めた契約期間のみならず、法定更新、合意更新を問わず、更新後も連帯して保証するとの合意をしている(甲1-18条1項)。
      したがって、被控訴人●●には、本件賃貸借契約の連帯保証人として、控訴人らに対し、本件更新料の支払義務があることは明らかである。
    2. 被控訴人ら
      被控訴人●●は、平成18年3月12日当時、本件賃貸借契約の連帯保証人になるとの認識はあったが、「本件賃貸借契約に定めた契約期間のみならず、法定更新、合意更新を問わず、更新後も連帯して保証する。」との具体的な認識まではなかった。
      したがって、被控訴人●●には、本件賃貸借の連帯保証人として、控訴人に対し、本件更新料の支払義務があるとは認められない。

第3 当裁判所の判断

  1. はじめに
    更新料がいかなる性質のものであるかは、当該賃貸借契約成立後の当事者双方の事情、当該更新料の支払の合意が成立するに至った経緯その他諸般の事情を総合考慮したうえ、具体的事実関係に即して判断されるべきものである(最高裁昭和59年4月20日第二小法廷判決・民集38巻6号610頁)。
    したがって、本件でも、一般的に賃貸借契約で定められた更新料条項が消費者契約法10条により無効であるか否かを検討するのではなく、あくまでも、本件賃貸借契約を巡る具体的な事実関係のもとにおいて、本件更新料条項が消費者契約法10条により無効であるか否かについて、以下判断することになる。
  2. 事実の認定

    証拠(甲1、2、11、50、60、61の1~4、乙12、17~19、23、被控訴人●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

    1. (1)

      本件賃貸物件等

      1. 本件賃貸物件
        本件賃貸借契約の対象物件は、●●●●●●●●●●●●●●●●●に所在し(別紙1(1)(2)の地図,写真のとおり)、鉄筋コンクリート造の3階 建共同住宅(以下「本件3階建共同住宅」という。)の●●●号室(本件ワンルームマンション)であり、その専有面積が25.75平方メートル、間 取りが1Kである(甲1、50、乙12、17)。
        本件3階建共同住宅は、平成14年6月6日に新築され(甲50)、その後、平成18年3月に本件賃貸借契約が締結されるまでの間、改築や補修などはされていない。
        本件3階建共同住宅の最寄り駅は、京都市営地下鉄烏丸線●●駅であり、同住宅は、同駅から京都市バスに約15分乗車し、●●で下車し、徒歩1分のところに位置する(甲60)。本件3階建共同住宅は、京都市の中心街から外れた北部郊外の未だ田園が残る山裾の交通の便が悪い場所にある(乙19)。
        本件3階建共同住宅の敷地入口の路線価は、平成18年、19年、21年が1平方メートルあたり15万5000円であり、平成20年が1平方メートルあたり16万円であった(甲61の1~4)。
      2. 本件賃貸借契約の締結
        被控訴人●●は、平成18年3月3日、●●店において、本件賃貸借契約の内容について、●●店の従業員から、重要事項説明書(乙12)を読み上げてもらって説明を受け、本件賃貸借契約期間は平成18年4月1日から平成20年3月31日までの2年間であり、2年後に本件賃貸借契約を更新する場合は、更新料10万6000円(賃料の2か月分)、更新手数料1万5000円を支払わなければならないことの説明を受け、それを了解して、本件賃貸借契約を締結することを決めた(乙12、乙23、被控訴人●●本人)。
        その上で、被控訴人●●は、正式に、平成18年3月12日付けで、控訴人との間で、●●(不動産業者)の仲介により、本件賃貸借契約を締結した(甲1、乙12)。
      3. 本件賃貸借契約の内容

        1. (ア)賃料、共益費、賃貸借期間、更新料、更新手数料
          本件賃貸借契約では、賃料が月額5万3000円、共益費が月額5000円(水道料金を含む)、賃貸借契約期間が平成18年4月1日から平成20年3月31日までの2年間、更新料が10万6000円(賃料の2か月分)、更新手数料が1万5000円(別途消費税750円)と定められていた(甲1、乙12)。
          したがって、被控訴人●●が本件賃貸借契約の更新を希望すれば、2年毎に更新料10万6000円(2か月分の賃料)と、更新料手数料1万5000円(別途消費税750円)を支払わなければならない。そして、更新料の支払先は控訴人、更新料手数料の支払先は●●(本件ワンルームマンションの管理会社)と定められており(甲1-3条2項)、更新料10万6000円は控訴人が受領し、更新料手数料1万5000円は●●が受領することが予定されていた。
        2. (イ)敷金、保険料、仲介報酬料
          被控訴人●●は、本件賃貸借契約締結時、控訴人に対し、敷金(保証金)30万円、保険料1万5000円を支払い、●●に対し、仲介報酬料2万6500円(別途消費税1325円)を支払っている(乙12)。
          そして、本件賃貸借契約においては、敷金(保証金)は、本件賃貸借契約に基づき被控訴人●●が控訴人に負う債務の負担となるが、被控訴人●●が本件ワンルームマンションを明け渡したときには、控訴人は、1か月後、保管中の敷金(保証金)を返還すると合意されており、敷金(保証金)のうち15万円は、本件賃貸借契約終了時に、敷引がされると規定されている(甲1-7条、甲1添付の承諾書3項)。
        3. (ウ)原状回復費
          しかも、本件賃貸借契約では、賃借人(被控訴人●●)に対し、本件賃貸借契約の終了時に、本件ワンルームマンションの厳格な原状回復義務(室内クリーニング代〔1万8000円~5万円程度〕を含み、入居時と同じ状態にする全ての回復をいう〔ただし、経年変化、自然損耗した畳、クロス、カーペット、ペンキ等は除く〕。)が課されている(甲1-14条①、甲1添付の承諾書のマンション1戸あたり復元費用基準表)
          したがって、被控訴人●●(賃借人)が、本件賃貸借契約を更新せずに、本件ワンルームマンションを明け渡すときには、敷金(保証金)30万円から、15万円と、厳格な原状回復費(室内クリーニング代は1万8000円~5万円を含む。)が差し引かれる。
    2. (2)

      本件賃貸借契約の当事者

      1. 控訴人(賃貸人)
        控訴人は、60歳を超える個人であり、本件3階建共同住宅のほか1棟の小規模マンションの賃料収入で生活している。控訴人は、本件ワンルームマンションを営利目的で賃貸するために、被控訴人●●との間で、本件賃貸借契約を締結した。控訴人は、賃貸マンションの入居者募集や管理業務は、不動産業者である●●に依頼していた。
      2. 被控訴人●●(賃借人)
        被控訴人●●は、京都市で生まれ育ち、大学の法学部を卒業して、平成18年3月当時(本件賃貸借契約締結時)24歳で、●●でアルバイトとして勤務し、物流倉庫で集配業務を担当していた。被控訴人●●は、同年4月に、本件ワンルームマンションに入居して、●●に入学し、本件賃貸借契約の更新当時(平成20年4月1日)は、同法科大学院の2年から3年に進学する時期であった(乙23、被控訴人●●本人)。被控訴人●●は、平成20年4月1日以降も本件ワンルームマンションに居住し、同法科大学院に通学していた。
        被控訴人●●は、平成18年2月3日、●●大学法科大学院(法学未修コース、履修期間3年)入学の合格通知を受けた。しかし、被控訴人●●は、平成18年2月末から3月初めにかけて、アルバイト先の仕事繁忙が続き休日がほとんどなく、平成18年3月3日、何とか時間をみつけてアルバイト先を抜けだし、●●大学近隣の不動産やに駆け込み、二軒目の不動産屋(●●店)で、本件ワンルームマンションに決めた。被控訴人●●は、最初の不動産屋では、紹介された物件の家賃が高かったのでやめ、二軒目の不動産屋では、賃料額と大学に近いことを重視して、本件ワンルームマンションに決めたのである(乙23、被控訴人●●本人)。
        その際、被控訴人●●は、本件賃貸借契約の内容について、●●店の従業員から、重要事項説明書(乙12)を読み上げてもらい、本件賃貸借契約期間は平成18年4月1日から平成20年3月31日までの2年間であり、同年4月1日以降も本件ワンルームマンションに居住する場合は、更新料10万6000円(賃料の2か月分)、更新料手数料1万5000円を支払わなければならないことの説明を受け、それを了解して、本件賃貸借契約を締結することを決めた(乙12、乙23、被控訴人●●本人)。
  3. 本件更新料条項の合理性

    1. (1)

      更新料発生の経緯からの検討

      1. 事実の認定
        証拠(甲9~11、20、乙1~4、26、29、31)及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。

        1. (ア)更新料は地価高騰期に始まった
          借家契約における更新料は、昭和30年代末ころから、都市圏を中心として始まった。当時は地価の高騰が激しく、長期にわたる借家契約では、地価の高騰を賃料に反映させることができず、新規賃料と継続賃料との差があるために、賃借人は、正規の法律手続である賃料増額請求権があるにもかかわらず、更新料という名目で金銭を受け取ることによって、脱法的に賃料の値上げを図ったことが、更新料徴収の慣行が始まった契機である。
          このような脱法手段である更新料が、地価の高騰している都市圏を中心として普及したのは、当時は住宅の絶対量が不足しており、賃貸人と賃借人との地位の不平等性からくる交渉力の格差も原因していた。
        2. (イ)更新料が地価の高騰がおさまっても続く理由
          しかし、平成3年以降、地価の高騰がおさまり、逆に、地価が下落して、賃料相場の横ばいないしは下落が認められるようになってからも、さらには、都市部でも住宅事情が改善し、逆に住宅の空き家が目立つようになってからも、一部の地域では、更新料徴収の慣行は改まらなかった。
          つまり、従前の地価が高騰していたことや賃貸借期間が長かったことから、継続賃料と新規賃料との間に格差が生じ、それを是正するために始まった更新料徴収の慣行が、都市部住民の生活スタイルが変化して、賃貸マンションや賃貸アパートの経営が盛んになっていくと、今度は、賃貸借契約期間を1、2年の短期に設定して、契約更新時に更新料をとるという利益獲得方法の旨味に目をつけた賃貸人側が、そのような新しい賃貸業者の経営形態では、従前と異なり、賃貸人と賃借人との人間関係が希薄になっていることも手伝い、一部の地域で、賃貸業者側の利益のために、引き続き、積極的に更新料徴収制度の導入を進めたという背景がある。
          しかも、新しい借家契約の形態として、アパートやマンションの賃貸借契約が普及していくと、賃貸経営には素人っである個人の零細賃貸人に代わって、不動産賃貸業のプロとしてのノウハウを蓄積している不動産業者が、賃貸物件の仲介人、管理人として関与するようになり、素人の賃貸人を指導して、賃貸借契約に更新料の支払条項を設けさせて、更新料の一部を不動産業者が更新料手数料として徴収できる方法を取り入れ、一部の地域で、不動産業者の利益のために、従前にも増して、積極的に更新料徴収制度の導入を進めたことを指摘できる(乙29参照)。
          不動産業者にとって、賃貸借契約の更新時に取得できる更新料は、新規契約を取得するときのようなコストと時間(賃貸物件の賃貸借条件の設定、広告・紹介・案内、借主募集・審査)を要せず、更新された賃貸借契約書作成の手間だけであるのに、ある程度の更新手数料を取得することができるために、賃貸不動産の管理業者にとっては、更新料制度は、極めて旨味のある制度となっていたのである。
        3. (ウ)本件更新料条項
          本件賃貸借契約についても、●●(不動産業者)が仲介人、管理業者として関与しており、本件賃貸借契約でも、●●は、本件賃貸借契約の締結時に仲介報酬料として2万6500円、2年毎の契約更新時に更新料手数料1万5000円が取得できる内容におなっている(前記2(1)ウ)。
          ●●は、賃貸借契約の締結にこぎ着け、仲介手数料2万6500円を取得するためには、多大の費用とある程度の時間を要したが、2年毎の契約更新時に更新料手数料1万5000円を取得するためには、それに要するコスト、時間がほとんど不要であり、●●にとって、本件更新料条項を設けることの旨味は大きかった。
        4. (エ)本件3階建共同住宅の地価推移
          ちなみに、本件3階建共同住宅の敷地入り口の路線価は、平成18年から平成21年にかけてほぼ横ばいであり(前記2(1)ア)、地価が高騰して新規賃料と継続賃料との間に格差が生じたため、本件更新料条項の合理性が認められるという状況には全くない。
      2. 検討
        上記アの事実によると、地価の高騰が続いていた当時は、借家契約における更新料について、合理性がなかったとまでは言えないが、地価の高騰が収まり、むしろ賃料相場の横ばいないしは下落が認められるようになった平成18年時点では、更新料を認めることの合理性はなく、賃借人(被控訴人●●)の利益を害し、賃貸人(控訴人)や賃貸物件管理業者(●●)の利益確保を狙った不合理な制度といえる。
    2. (2)

      更新料の法的性質からの検討

      1. 賃料補充の性質について

        1. (ア)平成3年以降、地価高騰がおさまり、逆に地価が下落して、賃料相場の横ばいないしは下落が認められるようになってからは、賃貸借契約の更新時に、継続賃料と新規賃料との差を更新料で補充するという前提事実が崩れている。
          特に、本件賃貸借契約では、平成18年4月時点での本件ワンルームマンションの新規賃料と、平成20年4月時点での新規賃料との間に差が生じているので、同賃料の不足分を更新料で補充するなどという議論は、およそ合理性のないことである。
        2. (イ)賃貸借契約における賃料は、使用収益に対する対価であり、賃料はその使用収益期間に対応して発生するのに、本件更新料条項では、2年毎の更新時に本件更新料の支払を求めており、使用収益の期間と更新料の額は対応していない。
          すなわち、本件賃貸借契約では、賃貸借契約が当初の賃貸借期間の2年で終わり、賃貸借契約の更新がなければ、本件更新料の支払は不要であるが、本件賃貸借契約の更新があれば、本件更新料の支払が必要となる。そして、賃借人(被控訴人●●)が、本件賃貸借契約の更新(2年)をして、再度の2年間の賃貸借契約期間中に退去した場合は、仮に更新後1か月経過した時点で退去した場合でも、本件更新料の精算を求めることはできないから、本件更新料につき、使用収益期間との対応が全く認められない。
        3. (ウ)以上の次第で、本件更新料は、賃料の補充としての性質を有するものとは認められない。
      2. 賃貸借契約更新の異議権放棄の対価としての性質について
        本件ワンルームマンションは、平成14年6月に新築された賃貸用の収益物件である(前記2(1)ア、同(2)ア)。本件賃貸借契約では、契約更新時点(平成20年4月1日時点、平成22年4月1日時点等)で、賃貸人(控訴人)の本件ワンルームマンションの自己使用の必要性から、賃貸人(控訴人)には、本件賃貸借契約の更新拒絶について正当事由が存在し、契約更新の異議権が発生するなどということは、およそ考えられないことである。
        むしろ、本件賃貸借契約の更新時点で、賃借人(被控訴人●●)が引き続き本件ワンルームマンションの賃借を希望しているのに、賃貸人(控訴人)が同マンションの明渡しを希望する場合は、賃貸人(控訴人)が賃借人(被控訴人●●)に相当多額の立退料を提供しなければ、賃貸借契約の更新拒絶について正当事由が認められないであろう。
        したがって、本件賃貸借契約では、賃借人(被控訴人●●)の更新料の支払を対価として、賃貸人(控訴人)が本件賃貸借契約更新の異議権を放棄するなどということは、およそ考えられない議論であり、本件更新料が賃貸人の異議権放棄の対価としての性質を有するなどということは、全く合理性のない議論である。
      3. 賃借権強化の対価としての性質について
        上記イでの考察を前提とすると、本件ワンルームマンションの賃貸借契約では、契約期間2年の更新毎に、賃借人(被控訴人●●)が賃貸人(控訴人)に本件更新料を支払うことによって、賃貸人(控訴人)からの正当事由に基づく賃貸借契約の更新拒絶を防ぐということは、およそ考えられない議論である。
        したがって、本件更新料は、賃借権強化の対価としての性質もない。
      4. まとめ
        以上の次第で、更新料の法的性質(賃料補充の性質、賃貸借契約更新の異議権放棄の対価としての性質、賃借権協会の対価としての性質)から、本件更新料の合理性を基礎付けることはできず、以上の観点からも、本件更新料条項は全く合理性がないものである。
    3. (3)

      更新料に対する社会的承認からの検討

      1. 全国的な実施条項

        1. (ア)国土交通省が平成19年3月に実施した賃貸住宅管理会社(有効回収175社)を対象としたアンケート調査では、平成17年4月から平成18年3月に契約した賃貸物件について、更新料を徴収している割合及びその額は、別紙2のとおりであり(甲11)、厚生労働省が平成21年3月12日付けで行った弁護士照会に対する回答では、平成18年度及び平成19年度の生活保護費の住宅扶助のうち、自治体別扶助件数と扶助金額は、別紙3(1)(2)のとおりである(甲44の1・2)。
        2. (イ)別紙2、3(1)(2)によると、現在における民間賃貸住宅における更新料支払条項は、全国的にみると決して一般的なものではなく、首都圏、愛知、京都、滋賀、奈良、沖縄等が多いが、大阪、兵庫等の大都市でも更新料はほとんど徴収されておらず、地域によって大きなばらつきがある。その意味では、本件更新料が、日本全体で社会的な承認を得ていると評価できるものではない。
        3. (ウ)しかも、別紙2によると、更新料額は月額賃料の1か月未満が殆どであり、更新料額が全国で最も高い京都でも月額賃料の1.4月であるのに、本件更新料は月額家賃の2か月分であり、全国的にみても多額の更新料額であることが分かる。
        4. (エ)以上によると、本件更新料及びその金額が、全国的にも実施されているもので、社会的にも承認を得られているものであるとは認められない。
      2. 国土交通省の標準契約書
        国土交通省は賃貸借契約をめぐる紛争を防止し、借主の居住の安定及び貸主の経営の合理化を図ることを目的として、賃貸住宅標準契約書を作成し、地方公共団体、関係業界等に対し通達及び通知を行うとともに、パンフレットを作成・配布し、この賃貸住宅標準契約書の普及に努めている(乙8)。
        この賃貸住宅標準契約書(乙8)には、貸主が更新料を取得する旨の規定は置かれていない。実際にも、公営住宅や住宅都市整備公団の住宅では、更新料は徴収されていない(当裁判所に顕著な事実)。更新料が合理的な制度であるとはいえず、更新料の徴収について社会的な承認が得られていないからである。
      3. 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)融資建物旧住宅金融公庫法35条、同施行規則10条は、旧住宅金融公庫が融資して建築された賃貸用建物について、賃借人にとって不当な負担となることを賃貸の条件とすることを認めず、賃貸人が賃借人から更新料を徴収することを禁止していた。
        現在でも、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫が組織変更)は、旧住宅金融公庫が融資して建築された賃貸用建物について、賃貸人が賃借人から更新料を徴収することは、賃借人にとって不当な負担にとなることを賃貸の条件とする場合に当たるとの理由で、禁止している(乙9)。
        エ 生活保護費(住宅扶助のうちの更新料)
        控訴人は、「現在でも、生活保護制度において、賃借人である生活保護受給者に対し、賃貸借契約における更新料の扶助が行われていて、平成18年当時、年間5万件、約25億円もの国家予算が支出されている。」ことを理由に、更新料に対する社会的承認が得られていると主張する。
        しかし、以上(1)、(2)、(3)のアないしウの認定判断を総合すると、更新料は、地価高騰時代に発生した制度であり、地価高騰が収まり、合理的な存在理由がなくなった平成18年3月時点でも、賃貸人や不動産業者の利益を確保する制度として、引き続き一部の地域で行われてきた問題点の多い慣行であり、合理的な制度であるとはいえない。けれども、現実問題として、国の生活保護行政において、生活困窮者が更新料を支払えず、それを理由として、賃貸住宅から退去を迫られる事態は避けなければならないことから、平成18年3月時点でも一部の地域で行われていた更新料徴収の慣行を追認せざる得ず、賃借人である生活保護受給者に対し、賃貸借契約における更新料の扶助を続けているのである。
        このように、国の生活保護行政において、賃貸住宅の更新料を合理的な制度と認め、賃借人である成果保護受給者に対し、賃貸借契約における更新料の扶助が行われているものではないので、控訴人の上記主張は採用できない。
    4. (4)小括
      以上の次第で、住宅の賃貸借契約において、更新料の徴収が40年以上にわたり一部の地域で行われてきたことは認められるが、そのことを理由に、一部の地域で根強く続いている更新料徴収の慣行が、更新料に対する社会的承認を得られた合理的な制度であるとは到底認められず、むしろ、本件更新料条項は、賃借人(被控訴人●)の利益を犠牲にし、賃貸人(控訴人)や賃貸住宅管理業者●の利益確保を優先にした不合理な制度であることが認められる。
  4. 消費者契約法10条前段の要件充足

    1. (1)消費者契約法10条前段等の規定
      消費者契約法10条前段は、「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」について、同項後段の要件を充足する場合に、かかる消費者契約の条項を無効とする旨を定める。
      そして、消費者契約法10条前段の「消費者契約」とは、消費者(消費者契約法2条1項)と事業者(消費者契約法2条2項)との間で締結される契約をいう(消費者契約法2条3項)。
    2. (2)

      いわゆる中心条項論の検討

      1. 控訴人は、「本件更新料条項は、主たる給付(本件ワンルームマンションを使用収益させる給付)の対価として、控訴人と被控訴人●の間で合意されているものである。主たる給付に関する対価を定める条項(中心条項)は、当事者が最も適切に選択・決定できるもので、あらかじめ定められた任意規定等の基準がないので、消費者契約法10条前段の『消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する消費者契約の条項』には該当しない。」と主張する。
      2. しかし、賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とすることを要素とする契約であるところ、更新料の特約は、付随的なものであって、契約の主要な要素(中心条項)であるということはできない。
        しかも、本件更新料条項については、任意規定等の基準として、民法601条、借地借家法26条、28条との関係が門外となっており(後記(3)(4))、あらかじめ定められた任意規定等の基準があるから、消費者契約法10条前段の「消費者の権利を制限し、または消費者の義務を果汁する消費者契約の条項」に該当する。
      3. それゆえ、控訴人の上記アの主張は採用できない。
    3. (3)民法601条との対比
      民法601条は、「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と定める。
      ところが、本件更新料条項は、民法601条が定める賃料支払義務に加えて、賃借人に賃料の補充という性格を有しない合理性のない金員である更新料の支払を求め、賃借人の義務を加重するものであるから、消費者契約法10条前段の「民法601条の適用による場合に比し、被控訴人●の義務を加重する契約条項」に当たる。
    4. (4)借地借家法26条、28条(法定更新)との対比
      借地借家法26条、28条(法定更新)は、賃借人が賃貸借契約の期間満了後も引き続き賃貸物件を使用する場合は、賃貸人が賃貸物件を自己使用する場合等、正当事由がある場合でなければ賃貸借契約は更新され、賃借人は引き続き賃貸物件を使用することができると定めている。
      ところが、賃貸借契約の更新料支払条項が設けられていると、賃借人は、賃貸借契約の期間満了に際し、更新料を支払わなければ賃貸借契約は更新されず、賃貸物件を明け渡さなければならない状態に追い込まれるので、借地借家法26条、28条が定める法定更新の要件を加重することになり、賃借人の義務を加重するものであるから、消費者契約法10条前段の要件を充足する。
      この点については、本件更新料条項は、合意更新に関する定めであり、更新料を支払わない場合は、本件賃貸借契約上の合意更新は認められないが、借地借家法26条、28条が定める法定更新は認められるので、本件更新料条項は、借地借家法26条、28条が定める法定更新の要件を加重するものではない、との反論が予想される。しかし、本件賃貸借契約では、法廷更新においても更新料を支払うことになっているので(甲1-3条2項)、本件更新料条項については、上記反論は認められない。
      したがって、本件更新料条項は、消費者契約法10条前段の「その他の法律(借地借家法26条、28条)の適用による場合に比し、被控訴人●の義務を加重する契約条項」に当たる。
    5. (5)消費者契約法の該当性
      控訴人は、本件ワンルームマンションを営利目的で賃貸するために、本件賃貸借契約の当事者となったのである。(前記2(2)ア)から、消費者契約法2条2項所定の「事業者」に該当し、被控訴人●は、本件ワンルームマンションを借りて居住するために、本件賃貸借契約の当事者となった個人である(前記2(2)イ)から、消費者契約法2条1項所定の「消費者」に該当する。
      したがって、本件賃貸借契約は、消費者(被控訴人●)と事業者(控訴人)との間で締結された契約であり、消費者契約法10条前段の「消費者契約」に該当する。
    6. (6)まとめ
      以上によると、本件更新料条項は、消費者契約法10条前段の要件を充足していることが認められる。
  5. 消費者契約法10条後段の要件充足

    1. (1)

      消費者契約法10条後段の規定

      1. 消費者契約法10条後段は、「民法第1条第2項(権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。)に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する消費者契約法条項は、無効とする。」旨を定めている。
      2. そして、本件更新料条項が消費者契約法10条後段の要件を充足するか(消費者の利益を一方的に害して信義則違反と評価されるか)を決するに当たっては、消費者契約条項締結時を判断の基準時として、消費者契約法1条所定の下記目的に照らし、消費者契約条項の内容のみならず、契約当事者の有する情報力、交渉力の格差の程度、同条件を無効とすることによ(以降P.26)り事業者が受ける不利益等諸般の事情を総合的に考慮して、判断すべきである。

        消費者契約法は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、消費者の利益を不当に害することとなる条項の全文又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
    2. (2)本件更新料条項の合理性
      前記3(4)のとおり、住宅の賃貸昔契約において、更新料の徴収が40年以上にわたり一部の地域で根強く続いている更新料徴収の慣行が、更新料に対する社会的承認を得られた合理的な制度であるとは到底認められず、むしろ、本件更新料条項は、賃借人(被控訴人●)の利益を犠牲にし、賃貸人(控訴人)や賃貸住宅の管理業者●の利益確保を優先した不合理な制度であることが認められる。
    3. (3)

      更新料のメリット、デメリット

      1. 控訴人は、更新料が月額賃料に併用して設定されるときは、当該賃貸物件の月額賃料が低く設定されるので、更新料は、月額賃料を少なくして賃借する際の賃借人の初期設定を抑える役割を果たしており、短期の賃借人には利点があり、また、賃貸借契約後に収入が増加する賃借人にとっても利点があると主張する。
      2. 確かに、更新料については、控訴人の主張するメリットがある場合もあることは否定できない。
        しかし、賃借人が、当初の2年間の月額賃料の安さに目を奪われて、2年後の賃貸借契約の更新時には、更新料の支払は何とかなるだろうと安易に考え、契約更新時の負担について十分な検討をしないままで、更新料支払条項のついた賃貸物件を選択し、2年後に更新料が払えなくなって、賃貸物件から退去せざるを得ない事態に追い込まれたり、無理して更新料を工面したりすることにより、賃借人の生活が破綻される事態に追い込まれる可能性があることからすると、居住用物件の賃貸借契約の更新料については、控訴人が主張するメリット以上にデメリットがあるといえる。
        殊に、居住用物件の賃貸借契約の更新料は、賃借人(消費者である一般国民大衆)が賃貸物件を選定する際にまず賃料額に着目する点に着目して、賃借人に対し当面必要な賃料については格安な印象を与えて契約を誘引し、結局は割高な賃料を取るのと同じ結果を得ようとする欺瞞的な目的で利用される危険があり(前記2(2)イ、後記(5)アの認定判断に照らすと、本件賃貸借契約についても、そのような感じがしないわけではない。)、消費者保護、賃借人の生活の安定という観点からは、更新料はデメリットの方が大きいといえる。
    4. (4)

      情報力、交渉力の格差

      1. 控訴人側

        控訴人(賃貸人)は、本件賃貸借契約締結当時(平成18年3月)、60歳を越える個人事業主で、賃貸物件の賃貸条件(賃料、共益費、敷金、敷引金、更新料、原状回復義務の内容等)の決定、仲介・管理業務を不動産業者である●●に委ねていた(前記2(2)ア)。
        ●●は、賃貸物件の仲介、管理業務のノウハウを蓄積した不動産業者であり、本件ワンルームマンションについても、どのような内容の賃貸条件を設定すれば、顧客(賃借人)を誘引でき、かつ、賃貸人(控訴人)や自己●●が最大の利益を上げられるかについて、十分に検討する能力と時間を有していたと推認できる。
        殊に、甲1の賃貸借契約書の契約条項、並びに、堂契約書に添付された承諾書、損耗・既存の事例区分一覧表、賃借人の原状回復義務等負担一覧表の記載内容からも、●●が、賃貸物件の仲介、管理業務について、高度の専門知識を有する不動産業者であることが推認できる。
        それゆえ、本件ワンルームマンションの賃貸条件についても、●●がその専門知識を最大に活用して、事前に十分な検討加えた上で、控訴人に助言、指導を与えた上で決められたものと推認する。
      2. 被控訴人●●
        被控訴人●●(賃借人)は、本件賃貸借契約締結当時(平成18年3月)、大学法学部を卒業して●●大学法科大学院への入学が内定していた24歳の社会人であり、●●でアルバイト勤務をして、物流倉庫で集配業務を担当していた(前記2(2)イ)。
        しかし、被控訴人●●は、平成18年2月末から3月初めにかけて、アルバイト先の仕事繁忙が続き休日がほとんどなく多忙を極め、本件ワンルームマンションを決定するに際しても、事前に他の賃貸物件の内容や賃貸条件を調べる時間や余裕がなく、何の予備知識もないままで、勤務先を抜け出して、●●大学周辺の不動産屋に飛び込み、賃貸物件の内容や賃貸条件について十分な検討もしないままで、本件ワンルームマンションの賃貸を決定している(前記2(2)イ)。
      3. 情報力、交渉力の格差の検討

        1. (ア)客観的な事情

          平成18年3月当時も、被控訴人●●は、賃貸物件の情報について、インターネットや賃貸情報誌により容易に接することができた。(甲21~42、乙10~13)。
          本件賃貸借契約については、●●(仲介業者)が被控訴人●●に対し、本件更新料を含む賃貸条件について、重要事項の説明をしている(前記2(1)イ)。
          当時も賃貸物件は有り余っており(甲9、10)、控訴人が、被控訴人●●との間で、同人が賃貸物件を探すのが困難な窮状につけ込み、強い立場で本件賃貸借契約を締結したものではない。
          被控訴人●●は、平成18年3月当時、大学の法学部を卒業し、法科大学院に入学直前の社会人であり、アルバイトをして社会経験を積み、法的能力も十分に備えていた(上記イ)

        2. (イ)賃借人(被控訴人●●)側の具体的な事情

          しかし、居住用物件の賃借人(消費者である一般国民大衆)は、賃貸物件を決めるに際し、事前に時間をかけて賃貸物件情報を調査・検討し、賃貸人側から提示された賃貸物件の内容、賃貸条件について時間をかけて吟味・検討を加え、他の同種の賃貸物件の内容、賃貸条件と比較検討した上で、賃貸物件を決める者は少ないと思われる。
          賃借人が慎重に時間をかけて賃貸物件を決めるのが望ましいことではあるが、多忙を極める賃借人が、賃貸物件についての十分な調査、比較、検討もせずに、賃貸人側から示される賃貸物件、賃貸条件の説明を鵜呑みにして、短時間のうちに、控訴人●●のように、賃貸物件を決めている者が多数いるのも実情であるといえる。
          現に、被控訴人●●も、平成18年3月当時多忙を極めていたことから、事前に他の賃貸物件の内容や賃貸条件を調べることなく、何の予備知識もないままで、控訴人(●●の従業員)から説明された本件ワンルームマンションの内容や賃貸条件について、他の賃貸物件との比較検討もしないままで、短時間で本県ワンルームマンションの賃借を決定している(上記イ)。
          本件更新料条項を含む賃貸条件について、十分な検討もせずに早々と本件ワンルームマンションの賃借を決定した被控訴人●●について、その落ち度を一方的に攻めるのは酷である。

        3. (ウ)賃貸人(控訴人と●●)側の具体的な事情

           他方、控訴人(賃貸人)は、個人で零細な賃貸業を経営しているとはいえ、賃貸物件の仲介、管理についての十分な専門知識とノウハウを兼ね備えた不動産業者●の指導、助言を得て、本件更新料条項を初めとして、賃貸物件の賃貸条件(賃料、共益費、敷金、敷引金、更新料、原状回復義務の内容等)を設定している(上記ア)。
          控訴人の指導、助言、協力者である●は、本件ワンルームマンションについても、どのような内容の賃貸条件を設定すれば、顧客(賃借人)を誘引でき、かつ、賃貸人側(控訴人や●)が最大の利益を上げられるについて、十分な時間をかけ、その持てる専門知識を最大限に活用して、納得できるまで検討を加えて上で、賃貸条件を決定しているものと推認できる(上記ア)。

        4. (エ)

          まとめ
          以上によると、被控訴人●と控訴人側(控訴人と●)とでは、平成18年3月当時(本件賃貸借契約の締結時)、情報力、交渉力の格差が著しかった(被控訴人●の情報力、交渉力が著しく劣っていた)と認めることができる。

    5. (5)

      賃料額、更新料額の妥当性

      1. 賃料額
        1. (ア)1㎡あたりの賃料

          本件ワンルームマンションの賃料は、1㎡当たり2058円(賃料月額5万3000円÷専有面積25.75㎡)である(甲1、乙12)。被控訴人らは、本件3階建共同住宅の近隣物件の1㎡当たりの平均賃料は1500円であると主張し(被控訴人らの平成20年9月17日付け準備書面5頁下から2行目から6頁末尾まで参照)、具体的な証拠(乙13)を提出して立証している。
          ところが、控訴人は、上記被控訴人らの主張・立証に対し、具体的な反論・反証はしていない。

        2. (イ)本件3階建共同住宅の立地条件 

          本件3階建共同住宅は、平成14年6月6日に新築され、その後、平成18年3月に本件賃貸借契約が締結されるまでの間、改築や補修等はされていない。
          同共同住宅は、最寄り駅(京都市営地下鉄烏丸線●駅)から京都市バスに約15分乗車し、ゴルフ場前停留所で下車して、徒歩1分を要する交通の便が悪い場所に立地し、京都市の中心街から外れた北部郊外の未だ田園が残る山裾に位置する。
          本件3階建共同住宅の敷地入口の路線価は、平成18年、19年、21年が1平方メートルあたり15万5000円であり、平成20年が1㎡あたり16万円であった(以上につき前記2(1)ア)。

        3. (ウ)

          検討

          1. 以上によると、本件ワンルームマンションの賃料月額5万3000円が、本件更新料条項が定められているので、近隣物件に比して安い水準にあった、とは認められない。
          2. bしかも、本件賃貸借契約では、敷金30万円、敷引15万円と定められているので(甲1)、この敷引も考慮すると、ますます、本件ワンルームマンションの賃料が、本件更新料条項が定められているので、近隣物件に比して安い水準にある、とは認められないものである。
          3. c本件ワンルームマンションの実質賃料は、2年に1度支払わなければならない更新料10万6000円、更新手数料1万5750円(消費税込み)も加算すると、月額5万8073円(下記算式参照)をなる。

            10万6000円+1万5750円=12万1750円
            12万1750円÷24か月=5073円(1円未満を四捨五入)
            5万3000円+5073円=5万8073円
          4. dその上、被控訴人●は、本件ワンルームマンションの退去時に、敷引15万円、ハウスクリーニング代(1万8000円~5万円)を含めた厳格な原状回復費も負担しなければならないことを考慮すると(前記2(1)ウ(イ)(ウ))、専有床面積がわずか25.75しかなく、京都市の中心街からはずれた北部郊外の未だ田園が残る山裾に位置し、交通の便がよくなく、地価も高くない所に建っている本件ワンルームマンションの実質賃料が、月額5万8073円というのは、近隣物件に比して安いとは認められない。
        4. 更新料額
          別紙2によると、一部の地域で徴収されている更新料額は月額賃料の1か月未満が殆どであり、更新料額が全国で最も高い京都でも月額賃料の1.4月であるのに、本件賃貸借契約の更新料は、月額賃料の2か月分であり、全国的にみても多額の更新料額といえる(前記3(3)ア(ウ))。
    6. (6)借地借家法26条、28条の抵触のおそれ
      前記4(4)のとおり、借地借家法26条、28条(法定更新)は、賃借人が賃貸借契約の期間満了後も引き続き賃貸物件を使用する場合は、賃貸人が賃貸物件を自己使用する場合等、正当事由がある場合でなければ賃貸借契約は更新され、賃借人は引き続き賃貸物件を使用することができると定めている。
      ところが、賃貸借契約の更新料支払条項が設けられると、賃借人は、賃貸借契約の期間満了に際し、更新料を支払わなければ賃貸借契約は更新されず、賃貸物件を明け渡さなければならない状態に追い込まれるので、借地借家法26条、28条が定める法定更新の要件を加重することになり、本件更新料条項は、強行規定である借地借家法26条、28条(同法30条参照)に抵触する可能性がある。
    7. (7)

      控訴人の不利益

      1. 控訴人の主張
        控訴人は、次のとおり主張する。
        1. (ア)控訴人は、本件賃貸借契約において、保証金(敷金)や更新料等を含めて全体の収支を計算し、その上で月額賃料を決定している。控訴人は、更新料について、収入として税務申告して税金を支払い、賃貸経営の諸経費や生活費等を見込んでいる。
        2. (イ)もし、本件更新料条項が無効となれば、本件3階建共同住宅の他の部屋の賃貸借関係にもその結果が波及し、控訴人は、全ての賃貸借契約について、受領した更新料を返還しなければならなくなるという、甚大な被害を被る。
      2. 検討
        1. (ア)控訴人は、不動産業者●から指導、助言、協力を受けて、本件3階建共同住宅の他の部屋の賃貸借契約書にも、更新料支払条項を付して、2年毎に月額賃料の2か月分の更新料を受領してきたものである。
        2. (イ)しかし、前記(5)アの認定によると、控訴人が、本件3階建共同住宅に設定していた賃料額は、近隣賃貸マンションの賃料相場に比べて、更新料支払条項が付されているために安かったとはいえないことが推認でき、本件更新料条項が無効と判断され、本件3階建共同住宅の他の部屋の賃貸借関係にもその結果が波及し、全ての賃貸借契約について、受領した更新料を返還しなければならなくなったとしても、やむを得ないこととして、甘受しなければならないことと言える。
        3. (ウ)しかも、本件更新料条項に限っていうと、控訴人が、本件更新料状況が無効であると判断されても、被控訴人●からわずか10万6000円の更新料の徴収が不能になるだけであり、控訴人が被る不利益の程度はごく軽微であることが認められる。
        4. (エ)したがって、控訴人の上記アの主張も採用できない。
    8. (8)総括
      前期(1)(消費者契約法10条後段の規定)、(2)(本件更新料条項の合理性は認めることができず、むしろ、本件更新料条項は、賃貸人(被控訴人●)の利益を犠牲にし、賃貸人〔控訴人〕や管理業者〔●〕の利益確保を優先した不合理な制度であること)、(5)(本件ワンルームマンションは、更新料額が高額であるのに、賃料額が低額であるとはいえないこと)、(6)(本件更新料条項は、強行規定である借地借家法26条、28条〔法廷更新〕に抵触するおそれがあること)、(7)(本件更新料条項が無効と判断されても、被控訴人の不利益が大きいとはいえないこと)を総合すると、本件更新料条項は、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して被控訴人●の利益を一方的に害する内容であることが認められ、消費者契約法10条後段の用件も充足することが認められる。

第4 結論

  1. 以上によると、本件更新料条項は消費者契約法10条により無効であることが認め
    られ、控訴人は被控訴人らに対し更新料を請求することはできない。
  2. それゆえ、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。
2010.06/22

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亀井英樹(かめいひでき)
東京弁護士会所属(弁護士)
昭和60年中央大学法学部卒業。平成4年司法試験合格。
平成7年4月東京弁護士会弁護士登録、ことぶき法律事務所入所。
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【著 作 等】
「新民事訴訟法」(新日本法規出版)共著
「クレームトラブル対処法」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修
「管理実務相談事例集」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修
「賃貸住宅の紛争予防ガイダンス」((公財)日本賃貸住宅管理協会)監修