1.配偶者税額軽減 小規模宅地等の特例
相続税の申告期限までに遺産分割されていない財産については、配偶者の税額軽減制度や小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。
ただし、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告し、その後分割されていない相続財産が、相続税の申告期限から3年以内(やむを得ない事情があって所轄税務署長の承認を受けたときは、分割できることとなった日の翌日から4月以内)に分割された場合は、「更正の請求」をすることにより、配偶者の税額軽減制度、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
3年以内に分割できないやむを得ない事情があることにつき所轄税務署長の承認を受けたいときは、申告期限後3年を経過する日の翌日から2ヶ月の間に、「相続税法施行令4条の2の届出」を税務署長に提出しなければなりません。
2.農地等についての相続税の納税猶予
農地等についての相続税の納税猶予については当初の相続税の申告期限までに納税猶予の特例を受けるための遺産分割協議又は遺言により相続人を特定し、なおかつ農業委員会から適格者証明の交付を受けておく必要があります。
したがって、「更正の請求」による農地等の相続税の納税猶予は適用されません。もめているケースでなくても、納税猶予をお考えの方には、遺言書の作成は効果的でしょう。
3.分割協議の結果分筆された場合
農地等についての相続税の納税猶予については当初の相続税の申告期限までに納税猶予の特例を受けるための遺産分割協議又は遺言により相続人を特定し、なおかつ農業委員会から適格者証明の交付を受けておく必要があります。
したがって、「更正の請求」による農地等の相続税の納税猶予は適用されません。もめているケースでなくても、納税猶予をお考えの方には、遺言書の作成は効果的でしょう。
■具体例
・宅地は路線価地域(普通住宅地)に所在するものとする。
〇奥行価格補正率
8m以上10m未満 0.97
10m以上24m未満 1.00
〇二方路線影影加算率 0.03
I.未分割財産(一画地)として評価した場合
{(280千円×1.00) +(250千円 × 1.00 × 0.03) } × 320m2 = 92,000千円 ・・・
1
II.分割財産として評価した場合
長男のA土地(280千円 × 0.97) ×
160m2 = 43,456千円
次男のB土地(250千円 × 0.97) × 160m2 = 38,800千円
合計 82,256千円 ・・・ 2
差額 2 - 1 = △9,744千円
4.土地の評価額等の計算誤り等
申告後に実際の土地の面積が公簿上より少ないことが分かった場合、どの様な書類を揃えればよいでしょうか。
「更正の請求」をする場合は、事実を証明する書類を添付する必要があります。添付がないだけを理由に「更正の請求」を却下できないことになっていますが、添付を失念していた場合は、所轄税務署から提出の請求があればそれに応じる必要があると思われます。敷地面積の相違が判明した場合など、自宅を建築した当時の建築確認申請書の写しで、敷地面積が少ないことが明らかであれば、その図面を所轄税務署に提出すればよいでしょう。土地家屋調査士や測量士による厳密な測量図があれば、それを添付することも考えられます。