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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

民主党政権により税制はどう変わるか?

先の衆議院選挙により民主党政権が誕生しました。そこで、民主党が掲げている政策のうち、税制に関する部分について一部抜粋してご紹介いたします。なお、この政策の中には現在も議論・検討中のものが多数含まれており、流動的であることをご了承下さい。

法 人 税

  1. 中小企業への軽減税率
    中小企業に対する年間800万円以下の所得に対する法人税率を「当分の間」11%(現行18%)とすることとしています。自民党・麻生政権時に22%から18%まで下げましたが、民主党はさらに下げるといいます。従来の22%から11%へ半減するということでしょう。年間800万円を超える所得に対する法人税率は30%のままです。
  2. 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入措置の廃止
    「一人オーナー会社」(特殊支配同族会社)の役員給与に対する損金不算入措置は廃止することとしています。

所 得 税

  1. 給付付き税額控除制度の導入
    相対的に高所得者に有利な所得控除を整理し、必要な人に確実に支援ができる「給付付き税額控除制度」を導入するとされています。給付付き税額控除とは、税額控除の額より税額が低い場合、控除しきれなかった額の一定割合を給付するものであり、税額控除と手当の両方の性格を併せ持つ制度です。
    現行の制度では、税額がゼロになるまでしか控除が受けられません。
    例えば税額控除の限度額が15万円あるとして、所得税が10万円しかない場合は10万円を控除し、残りの5万円は切り捨てられていましたが、この給付付き税額控除では、残りの5万円のうち一定割合が現金で支給されるというものです。
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  2. 所得控除
    「1」の所得控除の整理として、まず「配偶者控除」・「扶養控除」の廃止があげられます。これらの控除を廃止する代わりに、中学卒業までの子供がいる世帯には子ども手当を支給するので、実質の手取り収入は増えるということです。ところが、中学卒業までの子供がいない世帯は増税になります。
    さらに、これまで特定扶養控除を受けていた世帯はどうでしょう。特定扶養控除(63万円)が廃止され、子ども手当も受けられず、ということになれば、一番お金がかかる高校生・大学生のお子様がいる世代に厳しい税負担を求めることになってしまいます。
    年金生活者に対しては負担増を避けるため、公的年金等控除額の引き上げ、及び老年者控除を復活させます(所得制限は設けます。)
  3. 住宅ローン減税等
    住宅ローン減税については、いたずらに最大控除可能額を拡大するのではなく、バリアフリー化や省エネなどの社会ニーズの高い分野に対して重点的な負担軽減策を講じるとしています。
    また、自己資金により住宅を新改築・購入した場合でも、住宅ローン減税と同程度の負担軽減を受けることが出来る制度(投資減税)を創設し、団塊世代などの建て替えやリフォームのニーズに応えるということです。
  4. 更正の請求期限の見直し
    更正の請求とは、税務申告に誤りがあり、過大に税金を払いすぎていた分を税務署から返してもらう手続きのことです。例えば、平成20年の確定申告をします。その後にその申告に間違いがあり、税金を納めすぎていたとしましょう。
    そうした場合、現状では、原則的に申告期限より1年間しかこの更正の請求が認められません。つまり、平成20年分の確定申告は平成21年3月15日が期限ですから、平成22年3月15日までしか更正の請求が認められません。しかし、反面、税金を過小に払っていた場合、税務署は過去7年にわたって追徴課税をしてきます。つまり返すのは1年、追徴は7年ということなのです。この点を見直していくとしています。

消 費 税

  1. 消費税の目的税化
    その税収を決して財政赤字の穴埋めには使わないということを約束した上で、国民に確実に還元することとなる社会保障以外には充てないことを法律上・会計上明確にするとしています。
  2. 税率の維持
    現行の税率5%を維持し、税収全額相当分を年金財源に充当するとしています。将来的には、全ての国民に対して一定程度の年金を保障する「最低保障年金」や国民皆保険を担保する「医療費」など、最低限のセーフティーネットを確実に提供するための財源とします。
  3. インボイス制度導入
    インボイス制度(仕入税額控除の際に税額を明示した請求書等の保存を求める制度)を早急に導入することにより、消費者の負担した消費税が適正に国庫に納税されるようにするとしています。
  4. 給付付き消費税額控除の導入
    家計調査などの客観的な統計に基づき、年間の基礎的な消費支出に係る消費税相当額を一律に税額控除し、控除しきれない部分は給付をする、という内容の制度で、最低限の生活に係る消費税については、実質的に免除することができる、としています。

 

相 続 税

  1. 相続税・贈与税改革の推進
    相続税については、「富の一部を社会に還元する」考え方に立つ「遺産課税方式」(被相続人の遺産総額に対して課税する方式)への転換を検討します。
    相続税の課税ベース、税率の見直しについては、わが国社会の安定や活力に不可欠な中堅資産家層の育成に配慮しつつ検討します。
    さらに、相続税の課税方式の見直しに合わせて、現役世代への生前贈与による財産の有効活用などの視点を含めて、贈与税のあり方も見直します。
年末の税制改正に向けた動きはかなり大きなものになると予想されます。 民主党政権下で税制はどのように変わっていくのか?
税制のみならず会社を経営し、生活をしていくうえで、どのような影響を受けることになるのか?
今後の動きをいち早く押さえ、対策を講じていくことが非常に重要です。
2009.12/08

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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