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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

事業承継に新手法!! ~非上場株式に係る贈与税の納税猶予制度~

平成21年度税制改正で創設された非上場株式に係る贈与税の納税猶予制度について、関心をお持ちの経営者のみなさまも多いのではないでしょうか? 
今回は、創設された贈与税の納税猶予制度は一体どんな制度なのか、手続の流れなどをご紹介致します。

贈与税の納税猶予制度はこんな制度

後継者(経営承継受贈者)が、先代経営者から非上場株式の一括贈与(贈与前に後継者が保有する株式と合わせて発行済株式総数の3分の2に達するまでの部分)を受けた場合には、後継者の贈与税の全額が猶予される画期的な制度です。

ポイント
I.3分の2部分だけ贈与を受けた場合には贈与税は一切かかりません。
→3分の2部分だけ贈与をされて残りは先代経営者が保有し続けてもかまいません。
II.既に贈与を受けて保有している自社株式は猶予の対象外
→発行済株式総数×3分の2-既に保有している自社株式数=納税猶予対象

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手続の流れ~贈与前から贈与時まで~

このように先代経営者が保有する自社株式のうち発行済株式総数の3分の2までの贈与については、贈与税の全額の納税が猶予される、極めて効果の大きい制度ですが、煩雑な手続と厳しい適用要件があります。
納税猶予の手続の流れと適用要件をご紹介します。

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1.会社の要件

 ア.円滑化法の経済産業大臣の認定を受けた会社であること

 イ.中小企業基本法の中小企業であること

 ウ.非上場会社であること

 エ.資産管理会社又は資産運用会社に該当しないこと

2.贈与者(先代経営者)の要件

 ア.会社の代表者であったこと

 イ.役員を退任すること ※贈与者が登記簿謄本の役員から除かれているか確認しましょう。

 ウ.贈与の直前(既に代表権を有していないときは代表権を有していた期間内のいずれかの時及び
   贈与の直前)において、先代経営者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超の株式を
   保有し、かつ、同族関係者のうちいずれの者の有する数を下回らないこと

3.受贈者(後継者)の要件

 ア.贈与の時において会社の代表者であること

 イ.先代経営者の親族であること

 ウ.贈与の時において20歳以上であり、かつ、役員就任から3年以上経過していること
   ※後継者が登記簿謄本の役員に記載され、3年以上経過しているか確認しましょう。

 エ.贈与の時において、後継者と同族関係者で発行済議決権株式総数の50%超 の株式を保有し、
   かつ、同族関係者のうちいずれの者の有する数を下回らないこと

 


手続の流れ ~贈与後~

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最後に

これまで、後継者が会社の代表者となっても、先代経営者保有の株式は贈与税が多額となるため移転することができず、その結果、後継者は株主総会で自分の意見を通せるのかがわからないという不安定な場合が多くありました。
本制度を利用することで、先代経営者から後継者への株式の移転が税務上容易になり、上記問題点が解決できるというメリットがあります。ただし、贈与後にも、煩雑な手続が必要とされ、かつ、適用要件がとても厳しいというデメリットもあります。
ご利用にあたっては、自社に有利であるかどうかなど、事前に時間をかけて税理士等とご相談されることをお勧めします。

2010.02/16

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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