財産の調査の必要性
相続税は原則として自らが所有する全ての財産にかかります。財産といえば土地、家屋、預金、株式、絵画や骨董品など様々ですが、相続税額を計算する場合、まず、ご自身がお持ちの全ての財産を金銭に置き換えるとすれば一体いくらになるのかということを把握しなければなりません。この、所有財産を金銭価値におきかえることを財産の評価といいます。そして、この評価額に基づいて相続税の計算が行なわれます。
あなたは、今、万が一のことがあった場合、自分の財産の評価がいくらになり、相続税がいくらかかるのかを知る必要があります。
まず、財産を種類別に把握する
1資産
土地・建物、預貯金、有価証券、ゴルフ会員権、生命保険金、絵画、美術品などいわゆる財産となるもの
2負債
借入金、税金や社会保険料の未払など債務となるもの
3収益
アパート、駐車場からの収入、自らが経営する事業からの報酬など
財産の把握には次の資料が必要
1土地・家屋
名寄帳、固定資産評価証明書、登記簿謄本、公図、測量図、路線価図
2預貯金、有価証券、生命保険その他の財産
残高証明書、取引報告書、保険証券、その他財産の明細
3借入金などの債務
借入金の明細、預り敷金の内訳等
4所得税の確定申告書の控え
5自社株の評価
同族会社の直前期以前三期分の法人税申告書、決算報告書、勘定科目内訳書
どこで評価をしてもらえるの?
財産を把握するための資料は準備できました。さて、実際にそれらを用いて財産評価するためにはどうすれば良いのでしょうか。
(1)自分で相続税の勉強をし財産評価を行なう
(2)銀行、不動産住宅会社等の無料税務相談を活用する
(3)資産税を得意とする税理士に相談する
まずは(1)方法ですが、自分で相続税の勉強をして財産評価を行なうのは理想的ではありますが、忙しい方にはあまりお薦めできません。しかし、自分自身の相続の問題ですので、ある程度の枠組みや知識の習得は必要となってくるでしょう。(2)(3)の方法を活用して専門家の意見を聞きながらご自身の理解を深めていかれるのが良いでしょう。
現状を基に相続税対策を考える
将来の相続税額が分かれば、財産を区分します。
1今後も引き続き所有したいもの
相続税の納付に備えるもの
3上記1又は2以外で有効活用できそうなもの
有効活用が出来そうな財産を節税対策にどう活かすかを考えます。
節税対策案を考え、実行に移す
1節税対策案を具体的に作成します
例えば…
・誰にどの財産を相続させるのか
・生前に贈与できないか
・遊休地に建物を建てるのはどうか
・ 法人をうまく活用できないか
2作成した対策案の効果を検討します
・相続税の節税効果
・対策の実行によって他の税金が増えることにならないか
・対策の実行によって収入が減ったり、支出が増えることはないか
3最適な対策案ができたら、直ちに実行に移します