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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

「マンション投資」そのメリットとリスク

近年、マンション投資を始める人が多くなっています。昔は、限られた富裕層だけのものというイメージがありましたが、今では、30代のサラリーマンの方が副業として始めたり、60代の定年を迎えて退職金をもらった人が始めたりと、様々な人が行っているようです。今回は、実際にマンション投資をする際に留意したいメリットとリスクについて簡単にご紹介します。

■マンション投資のメリット
(1)生命保険代わり
マンションをローンで購入する場合には、団体信用生命保険に加入する必要があります。オーナーの方に万一のことがあった場合、この保険で残りのローンを完済することになります。よって、ご家族には、無借金で換金(売却)も可能の資産(マンション)が残り、月々の家賃が実収入として入ります。ご家族に長期にわたる安定した収入源を残してあげられることになります。この保険料は、通常ローン返済額に含まれていますので、別途支払う必要はありません。マンション投資を機会に、今まで加入していた生命保険の見直しをしてみるのもいいかもしれません。

 

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(2)節税効果
借入金利子や「1.」の保険料等を費用化できるなどのメリットを活かせば実質的な負担を軽くすることが期待できます。特に、購入初年度は登記費用や礼金その他のコストが費用になるため、赤字になることが考えられます。サラリーマンの場合、この不動産所得の赤字と給与所得を損益通算して所得税や住民税の還付が受けられる場合もあります。 マンション投資の節税効果には、所得税の節税と並んで相続税の節税が挙げられます。相続財産の評価をする際に、現預金で保有していればそのままの金額で評価されてしまいますが、現預金をマンションという資産に変えれば、土地については路線価等により、建物については固定資産税評価額により評価され、現預金で保有している場合よりも評価額は下がります。また、マンションを賃貸していれば、土地は自用地評価から貸家建付地評価に、建物は自用家屋評価から貸家評価になりますので、さらに評価を下げることができます。

 

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(3)安定した家賃収入
バブル期にはキャピタルゲイン(値上り益)を期待して、転売目的でマンションを購入する人が大半でしたが、今や値上り益は期待できません。しかし、マンションの価格が下落して購入しやすくなり、かつ、長期に渡って安定した家賃収入を得られるメリットがあります。家賃収入は毎月定額で安定しており、支出も限定され、ある程度予想できることから、安定したインカムゲインが期待できるのです。

(4)高い運用利回り
投資用のワンルームマンションなどでは、利回りが5%以上となっているケースもあるようです。低金利の時代ですから、銀行に預けてもほとんど金利はつきません。株式に運用する場合には、値下がりという大きなリスクを負う必要があります。それに対して、マンション投資は、低いリスクで、長期的に安定した収入をもたらす資産運用法です。バブル期に比べて、マンションの価格が下落したことにより、利回りが高くなっているわけです。 ただし、将来的には修繕費の負担が生じる可能性があります。年数の経過とともに部屋の修繕が必要になりますし、毎月積み立てている修繕積立金が不足した場合には追加負担が生じるかもしれません。利回りを考える場合には、この点にも注意が必要です。

(5)私的年金の確保
保険料の負担率アップや給付金の減額など、将来の年金制度は不安だらけです。仮に公的年金が給付されたとしても、決してゆとりある老後生活は望めません。そんな中、マンション投資による安定した家賃収入を自分の私的年金にしようという考えが出てきています。家賃収入は、自分が労働しなくても得られるものですから、老後の収入としてもとても魅力的です。また、ローンを利用して、大きな支出なしにマンションを購入するケースも多いようです。家賃収入によってローンの返済を賄っていき、ローンの返済が終わった後は、家賃収入は自分の手元に残りますから、これが自分の私的年金になるのです。

(6)ペイオフ対策
ペイオフの解禁により、一つの金融機関につき基本的に1,000万円までしか預金が保証されません。したがって、金融機関に預けるのであれば、自己責任において金融機関を選ばなければなりません。全額保護される預金もありますが、この場合には全く金利がつきません。そこで、預金のうち保証されない金額については多少のリスクを覚悟して何か他の投資対象で運用していこうという考えから、マンションを現金で一括購入するケースが増えてきているようです。

■マンション投資のリスク
(1)空室リスク

(2)家賃の値下がり
賃貸用にマンションを購入したものの、借り手がすぐに見つからないということが考えられます。また、将来、マンションの老朽化や景気動向などによって、当初の家賃が値下がりしてしまうことも考えられます。空室リスクに関しては、購入物件を選定する際に、学生が多く住んでいる地域、OLに人気のある地域など需要をよく検討して、多少なりともリスクを減らすことが必要です。また、投資用マンションを販売している業者では、借り上げ保証をしてくれるところもあります。この場合、利回りは下がってしまいますが、空室リスクはなくなります。

(3)マンション価格の変動

購入したマンションが10年後や20年後に思ったような金額で売却できるのか、マンション価格の変動リスクも伴ってきます。先のことはわかりませんが、メンテナンス次第でマンションの価格は、将来大きく変わる可能性もあります。マンションの管理は、管理組合が行っていますが、管理会社に委託するケースも多いようです。マンションを賃貸する場合は、所有者が自分自身で住んでいないため、管理を管理会社に任せきりにしてしまいがちですが、管理次第で将来のマンション価格が大きく変わってしまう可能性もありますから注意が必要です。

(4)金利の上昇
マンションをローンで購入する場合には、金利の上昇リスクも出てきます。現在は低金利の時代ですが、将来は金利が上昇するかもしれません。返済を元利均等払にしていると最初のうちはあまり元本が減りませんから、将来の金利上昇の影響は結構大きいといえます。金利が上がればその分実質利回りが下がってしまうことになります。

2006.05/02

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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