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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

土地評価 ~現場からの提言~

 あたりまえのように、または仕方なく請求されるまま支払っている固定資産税について、今回はお話したいと思います。
 例えば、広い自宅敷地があるために高い相続税の支払いを余儀なくされる相続人が、自宅を処分することも考えられます。そのようなときに、相続税評価額で処分できる可能性が危ぶまれる現状に何らかの対応策はないものかと考えています。
今回は、土地評価減に数多く携わってきた経験から、何が大事かをお話します。

固定資産税(土地)の本当の見直し
 最近の話ですが、高圧電線下の土地をお持ちの方で、畑として利用しておられました。市街化農地ですから、それほど固定資産税が安くありませんでした。ご本人も高いとは思われていたようですが、隣接地に比べれば少し安い状態でしたので、あまり疑問をお持ちではなかったようです。
 固定資産税は自治体によって独自の評価方法により土地・建物が評価され、賦課税(申告納税ではなく自治体が割り当てる税金)として毎年課税されます。納税者からすれば比較検討する材料があまりなく、近隣土地の固定資産税と比較して金額的に少し安ければなんとなく納得してしまうような状態になって、毎年の固定資産税を納税しているのではないでしょうか。
 高圧電線下の固定資産税評価の仕方は自治体によって評価の仕方が様々ですが、特に建物の建築制限があって、まったく建物が建てられない土地の固定資産税は通常の土地(建築制限のない土地)に比較すると約半額になっているのです。高圧電線のボルト数にもよりますが、およそ27万5千ボルト以上の電圧であれば、各自治体の高圧電線下の固定資産税は近隣土地のそれと比較して、毎年の固定資産税は約半額になっているものと考えられます。
 私がこの度、固定資産税の減額のお手伝いが出来たのは、たまたまお客様との雑談のなから生じた固定資産税への疑問が現実の話となったものです。納税者の皆さんは、日ごろ固定資産税が高いとは思っておられても、いざ安くできるところは有るか無いかと考えると、なんとなく面倒くさくなってしまうようです。また建築できない土地の利用方法として、青空駐車場などを経営していると、その土地の固定資産税は所得税の計算上必要経費として認めてもらえることからも、泣き寝入りしているといっても過言ではありません。毎年納税している固定資産税ですから日ごろから何とかならないかという疑問が節税につながります。

自宅敷地の評価は高すぎる
 平成4年に土地神話が崩壊して干支でひと回りしました。
一部地域では都心回帰といわれて地価が上昇している話もありますが、全国的にはまだまだ土地の実勢価格は下げ止まっていないのが現状です。
 相続税評価は従来から税務署が毎年8月に発表する路線価を基に計算していますが、これとても評価時点から半年以上経過した公示価格の約8割が税務上の路線価と考えられています。
 この路線価を基にして相続税や贈与税が計算されます。
 引かれた1本の路線価に応じてその年分として税務署に税金を納める可能性は少ないのです。つまり、路線に面した土地に関係する贈与もしくは相続がなければ税金は計算されません。しかし、固定資産税で言うところの1本の路線価からは必ず毎年の固定資産税・都市計画税が賦課決定されているわけです。税務署が発表した路線価と地方自治体が算出した固定資産税の路線価は使い分ける必要がありますが、双方の路線価は互いに影響を及ぼしていると考えてもよいのではないでしょうか。つまり、税務署の路線価と固定資産税の路線価の違いを検討する必要があると思います。双方比較して疑問に感じるところはしっかり確認してみましょう。
 ところで、土地の相続税評価額を計算するには様々な補正を納税者が適切に計算する必要があります。一番身近な相続財産である自宅の敷地の評価については小規模宅地の評価減がはたらきますので敷地面積が240m2(72坪)以下であればあまり心配はないのですが、相続税を心配される方の自宅の敷地は以外に広い(500m2以上の敷地をお持ちの割合は過去の当社データから232件中56件〔平成7年からの当社の累計〕前頁円グラフ)にもかかわらず、小規模宅地評価で減額できる面積は最大240m2にとどめられているのです。
相続人の住む自宅の相続税評価額は、m2単価は安くても、広い敷地(500m2超)を抱えておられる方の相続での承継は一大事と考えてもおかしくありません。
 そこで、考えられることは、財産評価基本通達による広大地(都市計画法上まだ開発行為が行われていない広い土地)に関する評価減と租税特別措置法上の小規模宅地の評価減とのダブル適用を考えようとする動きがあります。
 相続税を納税するために自宅を手放す場合を考えてみましょう。このような悲劇があっても、その自宅敷地はマンション用地として考えると法律上公共的なスペースが必要とされたり、建売分譲すると進入道路部分が必要となり、相続人の思うような処分価格にならないのが実情です。私どもは実情に見合った相続税評価額にしていこうとする考え方を堅持していきたいと思います。

2004.11/16

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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