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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

事業用資産の買換えは今年中が望ましい

事業用の不動産を売却した場合には、一定の要件を満たすと「買換え特例」を適用できます。しかし、来年以降から、この「買換え特例」(21号買換)の適用が難しくなる可能性が出てきました。

 「21号」買換えとは?
平成17年暮れに平成18年度の税制改正大綱が公表されました。この平成18年の税制改正の中で、次のような項目がありました。
「特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、一定の見直しを行ったうえ、その適用期限を5年延長する。」
今回の改正で「見直し」の対象にならなかったものは5年間延長されるものだと誰もが思っていました。
例えば、「21号買換え」と呼ばれる事業用資産買換特例の制度があります。(個人の場合は「21号買換え」、法人の場合には「22号買換え」と呼ばれていました。)
具体的には、10年超所有の事業用の土地建物等を売却して、事業用の土地建物を買換資産とすれば、買換特例を適用でき、譲渡所得税が最大8割引きになるという制度です。
かつての買換制度は制約が厳しかったのですが、平成10年度税制改正で景気対策及び地価対策として「21号買換え」が新規創設されてからは、極めて自由に土地建物の買換えができるようになりました。
「21号買換え」ができてからはじまった動きには次のようなものがあります。

1都市部の賃貸ビル等や貸し駐車場、貸宅地を売却して、都市部の賃貸ビル等を買換資産として買う。
2地方の地主さんが事業用資産を売却して都市部の賃貸ビル等を買換資産として買う。

税制改正大綱が公表されたときに、前記のような「5年延長」という文言で、多くが「21号買換え」の適用期限が5年間延長されたものと思い込みました。

 「21号買換え」は今年で廃止?
しかし実際には、次のような内容で改正が行われました。
「平成18年3月31日で期限が到来する特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、一定の見直しを行った上、その適用期限を平成23年3月31日まで5年延長する。」
「21号買換え」については、平成18年12月31日までが期限であるため、今回の改正では適用期限の延長の対象になっていないというのです。
つまり、買換特例は確かに平成23年まで5年間延長されました。ただし、旧「21号買換え」については延長されずに平成18年末で制度が終了してしまうのです。
この「21号買換え」が平成19年以降に延長され継続するかは平成19年度税制改正に委ねられることとなり、延長されるか否かは現在不明です。判明するのは平成18年12月中旬です。
もしも延長されずに旧「21号買換え」が消滅すると、一般的には「1号買換え」という買換えが使われることになります。
こ れは既成市街地等(東京圏・大阪圏・名古屋圏の都市部の一定地域)の内にある事務所・工場・営業所・店舗・倉庫等として使用されている建物(貸付用可・福 利厚生施設不可)又はその建物の敷地を売った場合(所有期間10年超)で、既成市街地等以外の地域で土地建物を買い換えた場合に限られます。

結果的に事業用資産の買換えは困難に

「1号買換え」の適用は、「21号買換え」に比べると、極めて制限が厳しくなります。
例えば、神戸市内の土地を売って地方へ買換える場合は適用されますが、神戸市内の土地を売って神戸市内へ買換えたり、地方の土地を売って神戸市内に買換える場合には適用されません。
事務所等以外、つまりアパート売却での買換えも適用されません。貸宅地や駐車場の売却は、建物の敷地にあたらないため、この場合も適用されません。
つまり、従来行われた買換特例適用の多くが不可となります。
「21 号買換え」を適用する前提で不動産を売却したいという方は、今年中(平成18年12月末まで)に売却をした方が賢明かもしれません。遅くとも平成18年 12月31日までに売買契約を締結し(引渡は翌年になってもかまいません。)、平成18年分所得として申告すれば「21号買換え」が適用されることになり ます。

2006.07/04

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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