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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

種類株を使った新たな事業継承

平成19年度より国税庁は、中小企業の事業継承を円滑に進めるため、無議決権株など「種類株」の新たな相続税の評価ルールが作られました。

種類株とは
会社は、剰余金の配当や残余財産の分配、株主総会での議決権、譲渡制限の有無、役員の選任権などについて、その内容の異なる株式を定款に定めて登記することにより、さまざまな株式を発行することができます。これらの内容の異なる株式の総称を種類株といいます。相続による事業継承をスムーズに進める上で、これらの種類株の活用が注目されています。

【 種類株の活用例 】
1議決権制限株の発行
議決権制限株とは、株主総会での特定の議決権が制限された株をいいます。後継者に議決権のある株を相続させ、後継者以外の相続人に議決権制限株を相続させることにより、後継者に議決権を集中させることが可能となります。

2拒否権付種類株の発行
拒否権付種類株(黄金株)とは、株主総会の特定の決議事項について、拒否権を有する株をいいます。現経営者が一定期間黄金株を保持して、後継者の独断専行などを防ぐことが可能となります。

会社法の改正
旧会社法では、これまで議決権を制限する株の発行量について発行済み株式の半分以下として限定していましたが、平成18年5月に施行された新会社法では、中小企業などについては、その発行枠を完全撤廃することになりました。
その撤廃により議決権のない無議決権株の大量発行ができるようになり、事業継承策として活用することがより有効になりました

無議決権株等の相続税評価の5%減

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これまで相続税での種類株の評価方法が固められてはいませんでした。しかし新会社法での無議決権株の発行制限の撤廃などの改正に基づき、国税庁は、中小企業の事業継承を円滑に進めるため、この無議決権株などの「種類株」の新たな相続税の課税ルールを固めました。

新ルールでは、無議決権株の相続税の評価を5%低く見積もり申告できるようになります。そのことにより、後継者以外の無議決権株を相続する者は、税負担が軽くなるため納得が得られやすく、相続した議決権株が分散して争いの火ダネになるリスクを抑えることができると考えられます。この場合には、相続人全体での評価額が下がらないよう無議決権株の評価減分を議決権株の評価に上乗せすることになります。また従来どおりに議決権の有無に関係なく1株当たりの評価を同じ金額で申告することも可能とされています。

会社の合併や取締役の選任などで拒否権を発揮することができる「黄金株」については、その利用をしやすくするため、黄金株については加算評価をすることなく普通株と同じ評価で取り扱うとされています。

なお、この新ルールは平成19年1月1日以後に相続が発生したケースから適用されることとなります。

円滑な事業継承のために
中小企業白書の2006年度版によると、年間廃業企業29万社のうち約1/4は、その廃業理由の第一に後継者難を挙げています。相続税においても、中小企業のオーナー経営者の株を相続する場合、優良な中小企業ほど相続税の納付額が1千万円単位になる事案が多く、事業承継の妨げになっています。

このため平成19年度の税制改正では、相続時精算課税制度において、非上場株を生前贈与する場合の非課税枠を引き上げるなど特例が創設されます。円滑な事業継承に新会社法の改正に伴う「種類株の活用」及び「無議決権株等の相続税評価の5%減」などの制度を有効に利用してみてはいかがでしょうか。

2007.05/15

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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