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公認会計士・友弘正人先生の税制ノウハウ

路線価が上昇しましたが・・・。

都市と地方とでは地価の動向にバラツキが残りますが、この夏の路線価発表では、都市部で路線価が上昇に転じたところが多くありました。
この上昇傾向を機に、税制を活用し将来を見据えて上手に相続対策を見直してはいかがでしょうか。

8月に路線価の発表がありました。お持ちの土地の路線価が久しぶりに反転して、ホクホク顔の方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、ちょっと待ってください。相続税では土地の評価は路線価に基づいて行われます。路線価が上がるということは相続税額が増える可能性を意味するのです。

どうしたら…
都市部と郊外で二極分化が進んでいるようですが、どうやら土地の価格も底入れしたようです。(表参照)。今後も地価が上昇するという保証はありませんが、地価の上昇が見込まれる物件については、もう一度相続対策を検討してみたいものです。

では、どうするのか?
相続税に使う路線価は、相続財産の評価の基準のみならず、実は贈与財産の評価にも用いられています。そこで路線価が上昇していく前に贈与をしていくのはどうでしょうか。しかし、不動産の上昇が見込まれるからといって単純に贈与をすれば、最高税率50%での高額な贈与税を課せられます。

まずは、贈与税の配偶者特別控除の利用が考えられます。路線価が低い段階で贈与をすれば、より大きい土地が配偶者に贈与できます。しかし、控除枠が2000万円となっていますし、居住用不動産の贈与、相手方が配偶者に限定、と使い勝手はよろしくありません。

 

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本命は相続時精算課税
やはり本命は相続時精算制度の活用ではないでしょうか。平成15年に創設された同制度もかなり浸透してきたようですが、その内容を簡単にご紹介します。親から子への一定の贈与(財産の内容や回数の制限はありません)については、生涯2500万円までは非課税、2500万円超については税率一律20%の贈与税とする制度です。注意すべき点はこの制度を用いて贈与した財産は相続の際にもう一度相続財産として相続税の計算に取込むこと(相続財産の持ち戻しといいます)が必要となることです。ただし、既に支払った贈与税がある場合は、相続税額から控除します。つまり、相続税の前払い制度ともいうべき制度です。

相続の際に再計算するならば、なにがお得なのか?贈与税を先に支払う分、損になるのではないか?

ここで、思い出して欲しいのは、贈与の場合の土地の評価は路線価で行うということです。相続時精算課税制度においては相続の際の再計算は贈与時の評価、つまり、土地ならば贈与時の路線価を基準とした価額となります。と、いうことは今後路線価が上昇する見込みがある土地は早めに相続時精算課税を用いてお子様に贈与しておけば、将来の相続時の評価額を現在の贈与時の評価額に固定することができます。地価の反転が見込まれるようになった昨今、同制度の見過ごされてきた側面が浮き彫りになってきました。ただし、相続時に路線価が下がった場合も評価は固定されますが。

もちろん、この制度は収益物件の贈与にも使えます

さらに
路線価は公示価格(時価)の8割程度といわれています。ただし、最近の地価上昇により実勢価格と路線価の乖離が拡大している場所が生じています。これは、評価時点による差ですので、将来的には解消されていきます。つまり、実勢価格が高いところは来年以降路線価が上昇する可能性を秘めているということです。その面では、相続時精算課税制度を含め、贈与のご検討は早めに済ませておきたいところです。

最後に
以上、贈与を用いた相続対策を検討してみました。路線価の上昇という久し振りの事態に対応した観点からのご紹介です。この検討の際には、地価の先行きを読むことがたいへん重要になります。

2007.12/04

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友弘正人 (ともひろまさと)
(公認会計士・税理士・CFP・行政書士)
昭和24年生まれ。
中央大学商学部卒業。昭和50年公認会計士第2次試験合格開業。監査法人大成会計、アクタス監査法人社代表社員を経て、平成12年株式会社トータル財務プラン代表取締役。株式会社アート相続プラン代表取締役を兼任している。
NHK文化センター、商工会議所、日本経済新聞社、中小企業センター、三和総研、日本総研、その他講義・講演マネジメントサービス活動を展開。
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